第14話 パリ 人の好い 綺麗な元寵姫

「あの首飾り‥王様が私の為に購入しようとした」彼女は微笑む

人の良さそうな笑顔だった

青い大きな瞳の目尻はやや、下がり気味 淡い金のくせ毛を綺麗にまとめている

パリ郊外の大きな屋敷でくつろいでいる貴婦人


「発注したものの 王様はお亡くなりに 仕方ないわよね

200万ルーブル(約15億円前後?)の品物ですもの 私には無理だわ」

マリー・ジャンヌ・べキュー‥

ルイ14世の公式愛妾デュ・バリー夫人は

マカロンを口にして 次にはメイドが入れた紅茶を飲む


「有難うシモンヌ 紅茶が美味しいわよ」

その言葉にメイドは頬を紅潮させて頷く


「王様亡き後、修道院に幽閉されて‥でもシスターたちが優しくて

彼女たちシスターたちの嘆願でルイ16世様からのお許しで幽閉を解かれて

こうしてお茶を飲み貴方達と歓談していられるわ」


「デュ・バリー夫人」明らかに身分の低い貴族の奥方たちが労るように

彼女の様子を見ていた

「夫人に助けて頂けなかったら 私達は‥」奥方の一人

「あら、そんなに気にしなくていいわ 大した事ではないもの ふふっ」

世話好きな彼女は危うく無実の罪に女性ゆえの不実な苦しみで裁かれようとした者達を赦してもらうように幾度も14世に頼む事も多かった


「明日は御世話になった大臣との茶会に馬の競技会だったわね」そんな事も呟く


「あの評判の美しい若い元ボアルネ子爵夫人 

とても素敵な人だと言う話 会えるのが楽しみだこと ほほっ」


元は庶子として生まれ 母親にも父親にも捨てられて店のお針子となったり

貴族の愛人ともなった彼女だったが 

愛する寵姫のポンパドール夫人を失ったルィ14世の寵愛を得て

王妃のように君臨したのだった。

しかし、それももう昔の話 そう、彼女にとっては‥‥


革命の刃が彼女を捕まえるまでは‥





22,4,20




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