第15話 トプカプ宮殿(エーメ) 麗しき妃は微笑む

トプカプ宮殿 後宮の権力者の一人 シリアンナ妃は微笑む

「ああ、いい子ね エーメ 私のナクシディル」

流暢なフランス語でエーメに話しかける妃


「シリアンナ妃さま」

綺麗な声でエーメことナクシディルが はにかみながら笑顔を見せた。


「先程は見事な舞だったわ 楽器の演奏も素敵よ

さあ、こちらにいらしゃい 美味しいお菓子を用意させたわ それに‥」

「え?」「それに仏蘭西のマカロンも」シリアンナ妃


「あ、ありがとうございます 妃さま」ナクシディル(エーメ)


ナクシディル(エーメ)の身体をそっと抱きしめて、フランス語で囁くように

「綺麗な貴方が大好きよ 私のエーメ、ナクシディル」


まるで姉か年の離れた親しい友達のようにふるまうシリアンナ妃


シリアンナ妃は時折、悲哀に満ちた目をするのだった


可愛いフランス生まれの小鳥さん‥後宮で生き残るには

皇帝の子を産むか、権力を握るか‥


何処の時代、何処の場所でも 

女はいずれ決められた男と婚姻するのが定めですもの


私が庇護者になってあげるから だから…ね


貴方にも最高の栄誉をあげるのだから‥



昔の法

コンスタンティノープルを奪い取った皇帝が定めた法律

後継者について 次の皇帝の座


閉じ込めるか

殺し合い、残った者を皇帝にすると定めた法律


それは この時代では無効となり

皇子たちは母親が違っても仲良く笑い、あるいは不仲となって距離を置く

スレイマン大帝の場合は 一人息子だったという


さりとて、その法律が無効になったからと言っても

後宮を始め、宮廷内での権力争いが収まる事はない…昔の時代でも、今もなお


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る