熱海港海釣り施設で車中泊
高速道路を再び真っ直ぐ走る。
富士川サービスエリアから、約一時間。
ついに『熱海市』に到着した。
いったんコンビニに車を停め、休憩とした。さすがに疲れた。疲労もだいぶ蓄積した。
「――ふぅ。もう熱海か」
「この辺りになると街の雰囲気も変わるね~」
歩花は、熱海の風景を楽しんでいた。
確かにちょっと変わっているんだよな。道が狭いというか、建物が密集しているというか。
プチ休憩後、すぐに『熱海港海釣り施設』を確認した。
改めて確認しても車中泊可能とあった。
1日500円と格安。
ただ、釣り客が多いようだ。それくらいなら気にならない。
紺に電話を掛け、熱海港のことを話した。
『へえ、500円で一泊できるんですね。安い~!』
「俺と歩花は、軽キャンピングカーで一泊する。紺たちは予定通りかい?」
『はい。わたしとアルフレッドは、ホテルを取ったのでそちらで休みます!』
聞いてはいたが、羨ましい。
俺もどちらかといえばホテルにしたい。
だが、せっかくの軽キャンピングカーだ。車中泊がメインだからな。熱海の夜景を楽しみながら車中泊――最高じゃないか!
紺たちと別れ、俺は車をスーパーへ走らせた。
数分もすればスーパーに到着。
「歩花、好きなものを買っていいぞ」
「ほんと~!」
「ああ、もう最終日だからな。最後に贅沢しよう」
「そうだね。夏最後の車中泊になるんだよね」
「残念だがタイムリミットだからね」
「ちょっと寂しいけど、でも最後にお兄ちゃんと二人きりで車中泊できて嬉しいなっ」
「俺もだよ、歩花。やっぱり、締めは車中泊で終わりたい」
「うん、賛成!」
とはいえ、明日は少しだけ観光する。
やっぱり熱海に来た以上は少しはスポットを回らないとな!
スーパーで車中飯用の食材やらお菓子やデザートをたっぷり買った。
さすがに買い過ぎたな。
車へ戻り、熱海港海釣り施設を目指した。
少し車を走らせると到着。
料金を払おうとしたが、スタッフの姿がなかった。朝に徴収されるっぽいな。
車を適当な場所へ停めた。
もう十七時を回った。
幸い、日はまだ沈んでいないが、夕焼けが綺麗だ。
夏だけあって釣り人がいる。
車中泊目的らしき車もいくつかいた。
意外と利用者は多いようだ。
「飯にはちょっと早いが、準備はしておくか」
「そうだね、お兄ちゃん。わたし、お米炊いておくよ」
「おう。任せた」
ミニ炊飯器を使い、歩花にはお米を炊いてもらう。
俺はバッテリー残量を確認。
走行充電とソーラー充電で100%の満充電。問題ないな。
それからポップアップルーフを上げたり、冷房のスイッチを入れたり環境面を整えていく。
まだまだ夏で暑い。現状の車内は快適とは言えない。
幸い、断熱材とシェードで高温は抑えられているが、それでも汗が噴き出るほど暑い。歩花なんか今にも脱ぎだしそうだ。
「お~、涼しくなってきたね」
「さすが車体を改造して取り付けただけあるよ、12Vのエアコン」
車内は直ぐに冷えてきた。
日が傾いてきたのと、サーキュレーターも回しているから直ぐにキンキンだ。
ゆっくりと晩飯の準備を進めていく。
動画配信サイトの海外ドラマを見たり、ネットを閲覧したり……まったりとした時間が過ぎていく。
気づけばもう二十時。
そろそろ飯を作るか。
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