目指せ万舟券!(予想のみ)

 ボートレース浜名湖の入場に100円が必要だ。

 料金を払い、中へ。


 すでに多くの客で賑わっている。

 最近は若い人も多いと聞くが、確かに家族連れや暇そうな大学生もいるな。そういえば、ボートレースの売り上げ規模は年々上がっていると聞く。

 今は数年連続で兆単位の売り上げだとか。


 その背景に“アプリ”の存在があるらしい。


 気軽に登録でき、気軽に映像を見ながら賭けられるものだから、その気軽さで賭ける人が多いのだとか。

 実際、親父もよくボートレースで遊んでいたっけ。


 しかし、やっぱり現地で遊ぶ方が楽しい。

 今回はアルフレッドさんが賭けてくれるそうだし、こっちは予想をするだけ。それを偶然、彼が見てしまって賭けるだけの話。今日は他人・・だ。


「さて、出走表を貰いにいくか」

「出走表~?」

「ああ、歩花。その辺りのテーブルにあるだろ。ほら、マークシートの横」

「あ、ホントだ。みんな紙を取っていくね」


「出走表や液晶に映し出されているデータを見ながら、みんなマークシートに記入していくんだ。で、発券機で購入するという流れ」


「えー、お兄ちゃん詳しいね!」


「昔、よく親父に連れて来られたからね。ここじゃないけど」

「なるほどねえ」


 歩花が義理の妹になるもっと前の話だからな。俺が小学生の頃のお話である。


「予想だけします~?」

「そうだな、紺。予想しながら眺めよう」


 あとは背後からアルフレッドさんが偶然通り掛かって俺たちの予想を書き込んでくれるさ。そう、たまたま俺たちの会話が聞こえちゃったのだから仕方ない。


「ちなみに基本的には1号艇がいいぞ」

「え、なんでです?」

「インコースだからね。勝率がかなり高いんだ」

「へえ、そうなんですね!」


 鉄板レースなら、ほぼ1~3号艇で良い場合もある。もちろん、番狂わせもあるけどね。そういう時こそ万舟券を獲得しやすくもあるが。



「婆ちゃん、このレースはどう思う?」

「う~ん、そうね。一番人気でいいと思うわ」

「無難だね」


 一番人気はA1の選手。

 A2、B1、B2などレーサーのランクがある。これがA1の場合、最上位の階級なので、勝率もかなり高い。期待していい。


 今回、その一番人気がA1の選手なのだ。


 確かにデータを見ても、かなり期待できるな。固いだろうな。


「でもね、単勝はオッズが低いから二連単か三連単あたりで買わないとね」


 婆ちゃんの言う通りだ。

 単勝のオッズは1.1倍と、賭けても意味がない状態だ。他の方法で買わないと儲けが少なすぎる。てか、そのまま返ってくるだけ。


 だとすれば三連単か三連複あたりで賭けるのが高配当で面白い。


 実際に俺たちが賭けるわけではないが、きっとアルフレッドさんが的中させてくれるさ。


「今回のレースは練習で予想しよう」

「うん、わたしもやってみるね」


 歩花もはじめてボートレースに挑戦してみるようだ。もちろん、予想のみで。


「あたしもがんばってみますねっ」


 紺は選手の気になった名前だけで決めているようだ。初心者ならそうするよなぁ。分かる分かる。


 そんなわけで第二レースが始まった。


 さて、どうなるかな?

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