弁天島、到着!

 再び高速道路を走行していく。

 浜北インターを降りて、そのまま弁天島駅を目指す。

 浜北からは片道三十分だ。


 ひたすら一般道を走ると湖が見えてきた。

 浜名湖だ。


 広大な湖が出迎えてくれた。


「歩花、久しぶりの浜名湖だな」

「うん、半年ぶりだったかな。おばあちゃん元気だと良いな」

「そうだな。久しぶりだから、喜んでくれると思う」

「楽しみっ」


 いよいよ弁天島に入り、アパートを目指した。

 あと少しで到着だ。


 キャンピングカーの速度を落とし、近くの公園に止めた。幸い、この辺りはリゾートホテルが立ち並び、公園もあった。無料駐車場に止め、到着。


「よし、ここから歩いて行くぞ」

「やっとだねえ~!」


 車を降りて、紺たちとも合流した。


「ここが弁天島なんですね、回お兄さん」

「ああ、紺は初めてだったか」

「はい、初めてです! 綺麗な場所ですね~!」


 紺は楽しそうに湖を眺めていた。


「ちなみに、この湖は海と繋がっていて汽水湖なんだ」

「へえ、回お兄さん物知りですねぇ~」

「いや、何度か訪れているからな」


 みんなを連れ、アパートへ。

 二階の隅から二番目の部屋こそが、ばあちゃんの部屋だ。階段をあがり、扉の前まで来て俺はチャイムを押した。


 しばらくすると反応があった。


「はいはい、どなたかな。……おや」

「おっす。ばあちゃん、俺だよ、俺」

「回! それに歩花ちゃんも、久しぶりだね。それに……」


「ああ、こちらは歩花の友達で紺というんだ。あと執事のアルフレッドさん」


 紹介すると、ばあちゃんは驚いていた。特に執事という部分に。


「へえぇ、執事さんとは珍しいねぇ」

「いつもお嬢様がお世話になっております。よろしくお願いします」


 アルフレッドさんは丁寧に頭を下げて挨拶を交わしていた。


「これはご丁寧に」


 それから、ばあちゃんの部屋にお邪魔することに。渋いお茶をもらい、まったりとした時間を過ごした。


「――でね、長野と岐阜を回ったの」


 歩花は、これまでのことを、ばあちゃんに話していた。とても楽しそうに。

 俺もいろいろ経験したことを話した。

 紺やアルフレッドさんも混じって和気藹々と談笑を進めていく。

 そうしていると日が暮れて、夜になっていた。


 俺もみんなも腹が減った。


 どこか外食へ行こうとしたが、ばあちゃんが飯を作ってくれることに。


「もう少しゆっくりしていきなさい、回」

「でも、いいのか? こんなに人数多いし」

「こんな時だからこそよ」


 ばあちゃんは張り切っていた。

 あんな生き生きとしているところを見せらえては、止められないな。


 歩花と紺も手伝うことになり、俺とアルフレッドさんはそんな三人の姿を見守るしかなかった。


「回様、ちょっとよろしいでしょうか」

「はい? どうしましたか、アルフレッドさん」

「少しお話があるのです」


 なんか真顔で怖いぞ。

 けどまぁ、俺も少し話しておきたかった。


 三人に少し散歩に出ると伝え、俺とアルフレッドさんは夜となった外へ。


 アパートの少し離れた場所に向かい、話しを聞くことに。


「それでなんでしょうか?」

「はい、お嬢様のことです」

「紺のことですか」

「ええ、今後のスケジュールについてになります」

「どこか行きたい場所でも?」


「そうなんです! どうしても寄りたい場所が……」


 俺はアルフレッドさんの要望を聞くことに。

 そこはとても意外な場所だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る