浜名湖サービスエリア
高速道路をひたすら走り続け、ついに名古屋に。
豊田市、岡崎市と抜けていく。
さすがにここまで二時間は走りっぱなしで疲れてきた。
歩花に頼み、紺に電話してもらう。
『こちら紺だよ』
「紺ちゃん。お兄ちゃんがそろそろ休憩しよって。この先の浜名湖サービスエリアに入るよ~」
『分かった~。アルフレッドに伝えておくね』
「うん、お願い」
いよいよ目的地の付近である浜名湖に入ろうとしていた。
というかもう『静岡』に突入していた。
ここまで結構あっと言う間だったな。
とりあえず、いったん浜名湖サービスエリアに入った。
かなり広くて快適だ。
駐車場はいくつあるんだ?
100、200はありそうな雰囲気だ。
大型バスやトラックがズラリと並び、観光客も多いようだ。この辺りでは最大級のサービスエリアらしい。
適当な場所に車を止め、俺はようやく休憩にありつけた。さすがに足腰が痛い。
「ん~、疲れた……」
「お疲れ様、お兄ちゃん。あ、このサービスエリアってスターボックスあるみたい!」
「マジか!」
スターボックスといえば、全世界展開する有名なカフェだ。もともとはアメリカのチェーン店らしい。今や日本でも馴染み深いコーヒー屋だ。
「スタボと言えばフラペチーノだよね!」
「いいね、チョコとか期間限定のメロンとか美味いんだよなぁ。歩花、好きだよね」
「うん、甘くて最高だから!」
「いいね、たまには飲むか」
「うんうん!」
車を降り、紺たちとも合流して俺はスタボに行こうと提案した。
「おぉ、スタボですか! あたしも賛成です!」
「では、私も」
紺もアルフレッドさんも乗り気だ。
「へえ、アルフレッドさんもスタボを?」
「ええ、まあ。海外で仕事をしていた時も普通に利用していましたよ」
そう言われれば外国人なのだから、利用していても不思議ではないか。
納得したところでスタボへ向かい、列に並んだ。さすがに人気店だけあって多くの人が利用している。特にカップルだとか女性が多い印象だ。
しばらくして番が回ってきた。
えーっと……なんだこのショートだとかトールだとか。グランデ? ベンティ? なんの呪文だよ。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「歩花……ドリンクって普通、SとかMじゃないの?」
「あ、そっか。いつもわたしが注文してるもんね」
そう、俺はいつも歩花に任せっぱなしだった。だから、このメニューを見て俺は混乱していた。どれを選べばいいんだよォ!?
「……うぅ」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。フラペチーノは大体がトールだから」
「そういうものなのか?」
「そういうものなの」
歩花のおかげで注文することができた。
料金を支払いしばらく待つとドリンクが出てきた。
それを受け取り、そのまま外へ。
「……ふぅ。妙な緊張感に襲われた」
「あはは。分かる。歩花も最初は意味不明だったもん」
どうやら初心者には優しくない仕様らしいな。あんなもん、分かるかってーの。
そのまま奥にある公園の方へ向かった。
丘になっており、見晴らしも最高にいい。
ここは『浜名湖』が一望できるのか。すげえや。
「あのお山に“
渋い声で解説してくれるアルフレッドさん。スマホで調べてくれたらしい。
さすがの俺もアレは知っていた。
婆ちゃんに連れられてきたことがあるからな。
「あの辺りに浜名湖パルパルという遊園地とかオルゴールミュージアムがあるんだよな」
「おや、回様は御存知でありましたか」
「まあね」
フラペチーノを飲みながらも景色を楽しむ。
すると紺が俺の服を引っ張ってきた。
「回お兄さん、あの……よかったら、あたしのコーヒーひと口いかがですか?」
「え、いいのかい……?」
「はい。飲み比べとかしてみたいので」
「わ、分かった――うぉ!?」
歩花の殺気が漂ってきた……。やっば。
「紺ちゃん……ずるい」
「こういうのは早い者勝ちだよ、歩花ちゃん」
バチバチと花火を散らす二人。おいおい、ケンカはしないで欲しいが。
「ねえ、お兄ちゃん。わたしの飲んで!」
「ちょっと、歩花ちゃん。あたしが先よ!」
二人ともストローを俺に向けてくる。
どうしてこうなる!?
しかし拒否するわけにもいかない雰囲気。
ええい、こうなったら……!
「いっぺんに飲んでやる!」
俺は二つのストローを口に含み、フラペチーノとコーヒーを味わった。味が交わって甘ったるい……! けど、美味いぞ……!?
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