先輩と隣人

「神白先輩とリディアさんって、そういう関係だったんですね。俺、ビックリしていますよ。まさか婆ちゃんの部屋の隣だなんて!」

「ああ、こっちもだよ。お隣さんだったとはね」


 神白先輩も驚いていた。

 こんな縁があるなんて。

 助けた程度の関係ではあったけど、実はこんな繋がりがあったとはな。


「先輩はこれからどこへ?」

「俺たちは旅行だよ。岐阜にね」

「って、まさか。リディアさんもいるんです?」

「そんなところだ。挨拶していく?」

「いえ、邪魔になっては悪いので……って、歩花」


 歩花と紺が戻ってきた。

 どこかで見たことあるような銀髪の女性と。


「あ、お兄ちゃん。ねえねえ、偶然なんだけどリディアさんと会ったよー!」

「な、なんて偶然だよ。そっちも会っていたのかよ」

「うん。トイレでね」


 よりにもよってトイレで!

 お互いにトイレ休憩だったってわけか。


「え、ちょっと待って! もしかして回くんなのー!?」


 太陽のようなまぶしい笑顔で駆け寄ってくるリディアさんは、俺の手を握ってぶんぶんと揺らした。テンション高っ!


「お、お久しぶりです。それと婆ちゃんがお世話になっています」

「うん、春夏冬あきなしさんとは仲良くさせてもらっている、っていうか、久しぶりー!!」


 またブンブンと揺らすリディアさん。この元気はいったい、どこから湧き出てくるのだろうね。



「今、そこで神白先輩と出会ったので」

「ああ、大二郎と会ってたんだ!」


 今度は神白先輩に抱きつくリディアさん。なんか幸せそうだな。


「ええ、まあ。二人とも旅行中なんですね」

「そそ。わたしと大二郎はラブラブなの!」


 いや、そこは聞いてないけどな!?

 まあいいか。


 それから神白先輩とリディアさんと別れることに。


「じゃ、俺たちは行くよ。回くん、またどこかで!」

「ええ、丁度良いので弁天島へ行ってみます」

「おぉ! マジか! 間に合えば合流したいな」

「会えれば向こうで」

「おう」


 二人とも行ってしまった。

 いやぁ、まさかこんな場所で出会えるとは……分からないものだな。


「ねえねえ、お兄ちゃん。あの男の人……すっごくイケメンだったね」

「あの人は高校時代から、すっげぇモテていたよ。なんかいつも女の子が周囲にいたし」

「そうなの?」

「俺が見たかぎり、三人はいたな」


「「そんなに!?」」


 歩花も紺も驚いていた。

 いや、事実だしな。

 といっても、一瞬見た程度。

 俺は神白先輩とは、本当にわずかに話したくらいだからな。



「凄いよなぁ。ちょっとうらやましいよ」

「でも、お兄ちゃんには歩花がいるじゃん」

「そ、それはそうだが……マジな口調で言われると、照れるな」


 しかも、紺も「あたしもいるじゃないですか!」と言い切った。そこ、それはどういう意味かね!?


 その後、俺たちは飲み物を買ったりして休憩を満喫。アルフレッドさんとも合流し――再び出発へ!

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