ホットサンドメーカーで朝食を

 夏の朝は直ぐに熱を帯びた。

 車内温度はグングン上昇。27℃を超えた。俺と歩花は抱き合って寝ていた為、汗を掻いた。


「……暑」


 まぶたを開けると、歩花はまだぐっすり寝ていた。胸元を大胆にあけ、谷間を露わにしていた。女子高生にしては大きすぎる谷間だ。

 これはを直視するなって方が無理だ。


 ホント、どうしてこんな大きく育ってしまったんだかな。


「ふぁぁ……お兄ちゃん。おはよう」

「起きたか、歩花。汗凄いぞ」

「ふにゃ……」


 寝惚けてるな。

 それにしても、谷間の汗が凄いな。あんな滴るように……ちょっと、いやかなりエロいぞ。


「起きろって。早くしないと汗まみれになるぞ」

「――え、それはイヤ!」


 ばっと離れる歩花。汗臭いのをとにかく嫌うからな。まあ、女子なら当然か。

 ようやく俺から離れた歩花はボディシートで汗を拭いた。風呂後のような爽快感があって気持ちがいいんだよな、このシート。


「しかし、暑いな。冷房を入れるか」

「うん、扇風機と網戸だけじゃキツイよぅ」


 バッテリー残量は問題なし。むしろ、ソーラーパネルでポータブル電源とサブバッテリーを発電しまくり。さすが真夏日だ。おかげで電力に関しては問題ない。太陽が出ている限り、無限に使えるぞ。

 エアコンを入れ、車内温度を冷やしていく。


 その間、俺は朝食を作る。


 ポータブル冷蔵庫の中をチェックすると、タマゴ、ベーコン、チーズ、それとケチャップがあった。これだ!


 食パンの余りもあるし、これをホットサンドメーカーで調理してしまおう。


 幸い、IH対応のホットサンドメーカーがある。

 この車中泊の旅をする前に一度使ったことがあったし、これでいこう。


「歩花、特製のホットサンドを作ってやる」

「わぁ、それ久しぶりだね!」

「これで作る料理は美味いぞ」


 さっそく食パンをプレートの上に置く。更にパンの上に具材を敷いていく。更に更にケチャップをふんだんに。

 あとは焼くだけ!


 IHの火力を上げ、適度に焼いていく。


 歩花にお湯も作ってもらう。


「コーヒーもできそ~」

「ナイスだ、歩花」

「えへへ~」


 お湯の方はイワタニサンのカセットコンロを使用。キャンピングカーをきちんと換気したうえで使用した。


 そうして、ホットサンドとコーヒーは完成。


 テーブルの上に湯気をあげる美味しそうな朝食がそろった。



「「いただきまーす!!」



 手を合わせ、さっそくホットサンドをひとかじりしていく。……んまっ!! 卵とベーコン、そしてトロトロのチーズが恐ろしいほどにマッチング。ケチャップも濃厚で幸せしかないっ!


 そこへ歩花の作ったコーヒーを流し込む。


 うめぇ……これが幸せの味か。



「美味しいね、お兄ちゃん」

「あぁ、歩花の淹れてくれたコーヒー、美味すぎ」

「そ、そうかな。褒められると照れるぅ」

「ホントだ。歩花は将来、喫茶店のオーナーをしてもいいかもな」

「うん、それもアリかも」

「宝くじを当てたおかげで資金も十分にあるし、企業するのもアリじゃないか」

「うーん、でも」

「遠慮するな。もとはといえば歩花が当選したようなものだし」


 そうだ、おかげでこのキャンピングカーも最高の装備もそろえられた。こんな充実した車中泊生活を送れるとは夢にも思わなかった。

 だから、この旅が終わったら、次は歩花の夢を叶えてやる。そう、俺の夢ではなく、歩花のだ。

 俺はもう十分に幸せをもらった。

 俺にとって歩花という存在が宝物そのもの。

 お金や命よりも大切な妹だ。



「ありがとう、お兄ちゃん。でも、今は旅が良い」

「……歩花。そうか、いつでも言ってくれよ」

「けどね、欲を言えば、お兄ちゃんのお嫁さんにして欲しいかな」


 突然そんなことを言いだすものだから、俺はコーヒーを吹き出した。な、なんだってー!? お、お嫁さんって……そりゃ、義理だから可能だけどさ。


「いいのか、俺で」

「他の人なんて考えられないよ。だから、早く初めて貰って!」

「ば、馬鹿……! 大きな声で叫ぶなって……飛騨さんに聞こえたらどうす――わっ!?」


 なんとなく覗き窓を見ると、飛騨さんが立ち尽くし呆然としていた。絶対、今の聞こえちゃったな……!? ど、どう説明すりゃいいんだ。

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