真夏のイチャラブ
松本駅の三十分無料駐車場に滞在できる時間もあと
いつまでも紺を待たせるわけにはいかない。俺は、もうすぐ出発すると歩花に伝えた。すると、ベンチシートに座る歩花は……
「うん、そうだね。こんな暑い中、ずっと待たせるのも悪いもんね」
キャンピングカーは、冷房が使えるから耐えの凌げるけれど、紺はバイクで生身。涼める環境も限られている。熱中症とかなっていないか心配だ。
一刻も早く合流しようと考えた俺は、運転席へ向かおうとする。だが、歩花が
「どうした?」
「……さっきのキス……嬉しかったから」
ボソボソと何かをつぶやく歩花だが、あまりに声が小さくて聞こえなかった。
「歩花?」
「な……なんでもないしっ!」
よく分からんんが、機嫌は戻ったみたいだ。
* * *
松本駅を出発し、松本城へ向かう。
この道中にテレビでも度々紹介されるほどの評判の喫茶店『まるも』があるらしい。なんでも、レアチーズケーキが激ウマだとか。助手席に座る歩花が教えてくれた。へえ、気になるな。
後で紺と合流したら行ってみよう。
車を走らせ、とうとう松本城に到着。お城がハッキリと見えていた。広くて大きい――
近くに松本城の臨時駐車場があるようだ。そこなら、
今日はそれほど観光客もいないようで、スムーズに進めた。駐車場へ入り、隅の止めやすいポイントを狙い、駐車した。
「……到着っと。歩花、ついにここまで来たな」
「うん、もうお城が見えているね」
少し視線を流せば、そこには堂々と
すげぇ、迫力満点だ。近くで見たら、もっと凄いんだろうな。中も入れるみたいだし。
「まずは、紺に連絡してみるか」
スマホを取り出し、紺へラインを繋げた。すると、直ぐに連絡がつく。スピーカーへ切り替え、歩花にも聞こえるようにした。
『もしもし? 回お兄さん、松本城に着いた?』
「ああ、今、松本城の臨時駐車場に停めている。紺は、どこにいるんだい?」
『松本城前にあるコンビニのイートインスペースで待ってるよ~。バイクも停まっているから、分かると思う』
「へえ、お城の前にコンビニがあるんだな」
『うん。ファミファミマートだよ。今、涼んでいる』
「分かった。臨時駐車場からは少し離れているようだし、観光しつつ向かうよ」
『じゃあ、松本城に向かうよ。回お兄さんたちも博物館前へ向かって』
「お、そっか。それじゃあ、歩いて向かう」
『了解~!』
電話を切った。
これでついに紺と合流か。
「歩花、紺ちゃんと会うぞ」
「……うん」
「どうした、元気ないな」
「だ、だって……二人きりじゃなくなっちゃうし、だから、あの、お兄ちゃん。その前に、もう一度……キスして欲しいな……って」
「え」
ま、まさかキスのおねだり!?
歩花から求めてくれるのは正直、嬉しすぎる。いったん、部屋へ行って落ち着くことにした。運転席から降り、後部座席の居住エリアへ。
歩花も顔を赤くしたまま入ってくる。椅子に座り、俺を潤んだ瞳で見つめてきた。――って、よく見ると口に何か
「お兄ちゃん、いいよ」
「いいよって、歩花! その口に咥えているの、大人のお遊び用ゴムじゃないか!!」
「だ、だって……そのままは危ないよね」
「ば、馬鹿ァ!?」(←つい声が裏返った)
キスだけかと思ったら、そっちも!? 無理無理、紺を待たせているし……そんな時間はない。
「だめ?」
「だめだ。キスだけって約束だろ。ほら、その咥えているヤツは没収だ」
俺は、歩花の口から危険物級のゴムを奪い取り、ポケットへ閉まった。まったく、こんなものをどこで買ったんだか。ていうか、よくそんな知識があるなと……ちょっと歩花が心配になる。……ああ、でも以前に間違えて親父の“秘蔵タブレット”を再生しちゃって……大人の動画を見てしまったし、あの瞬間でも学べることは多かった、か。
「じゃあ、キスしてくれる?」
「あ、ああ……それくらいなら」
椅子に座る歩花に覆いかぶさるように対面する。こう距離が近いと緊張する。今、心臓がバクバク激しくてやばい。
歩花は、
ええい、仕方ない甘えん坊妹め。
「……んっ」
俺は、焦る気持ちを抑えながらも唇を重ね合わせた。歩花はようやく安心したようで、腕を俺の背中へ回してきた。
「歩花……」
「……ん、はぁ、はぁ」
ちょっと激しくなったせいか、歩花は息を荒げた。
「悪い。歩花って柑橘系の味がして……そのクセになるっていうか」
「な、なんでだろうね? でも、嬉しいな。ねえ、お兄ちゃん……胸とかも触る?」
歩花は、自身の手で胸を強調させ――俺の劣情を煽ってきた。俺はその形を変える歩花の胸にドキッとする。薄着なんだから、そんな風にしたら……!
いかん、今にも獣に変身してしまいそうだ。抑えろ、俺。時間がないんだぞ。
「そ、それは……今は遠慮しておく」
「むぅ」
ちょっと怒った歩花は、肩ひもをずらし、大胆に肌を露出してくる。やっべ、見えそうだぞ。
「分かった分かった。せめて“ぎゅっ”としてやるから……それで勘弁してくれ」
「……分かった」
俺はせめて、歩花を
肩ひもがずれたままだけど、いいか。
おかげで抱き心地抜群というか、歩花は全身が柔らかくて、ずっとこうしていたくなった。
それにしても、冷房性能が良くて助かった。こんな密着していても汗ひとつ掻かずだった。エアコンの技術は偉大だね。
「その、なんだ。そろそろ行くか」
「う、うん。その……お兄ちゃんは先に外に出て貰える?」
「え? なんで?」
「い、いいから」
「は? 急にどうした。俺はここいるぞ」
「いいから、出ていって!」
興奮気味に歩花は、俺を車内から追い出す。……え? なんだ? 何が起きた。……よく分からないけど、俺は外で待つしかなさそうだな。
***おねがい***
続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。
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