車中泊アイテム爆買い
ナビ通りに進み、到着。
駐車場に停め、店舗を
アウトドア専門店『
「こういうお店、歩花と一緒に入るの初めてだな」
「うん、なんだか別世界みたい」
車を降り、店内へ向かう。客はそれほどいないようだ。そのまま入店すると『
さっそく、テントの展示が目の前に。キャンプ用のテーブルや椅子、バーベキューコンロ、シュラフが並べられている。
う~ん、この空気良いね。
「とりあえず、車中泊の道具があんまり
「うん。わたしも何となく候補を上げていくね」
「ああ、歩花も欲しい物があったら、遠慮なく言ってくれ」
買い物かごを手にし、店内を歩きだす。
まずは調理道具だろう。
スノーパーク製のクッカーセット、チタンマグ、スプーンやフォーク、
全部、カゴに詰めていく!
「ねえねえ、お兄ちゃん。それって全部、チタンって書いてあるけど」
首をあざとく
「そうだ、可能な限りチタン製品を選択する」
「なんで?」
「いいか、歩花。チタンは、軽くて丈夫なんだ。しかも
「さすがお兄ちゃん。詳しい!」
単にチタンがカッコいいっていう理由もあるけどね。
「調理道具はこんなところかな」
「え、でもまって。火とか使わないの?」
「いや、基本的に電気しか使わない。でも、電気だけに頼ると危険だから、固形燃料の使える『ポケットストーブ』は持参していくよ」
「ポケットストーブ?」
「手のひらサイズの折り畳みコンロさ。固形燃料で調理できるから、コスパも良い。これに関しては所持しているから問題ない」
「おぉ! お兄ちゃん、さっきから知識量凄すぎ。どんだけ動画見てたの~」
「ふっふ。暇さえあれば車中泊動画を見ているからな」
LEDランタン、折り畳みマット、シングルバーナー、ケトル、ホットサンドメーカー、ゴミ袋、アルミホイル、ラップ、湯煎用ポリ袋、メタルマッチなど数千で買える安い道具だけは災害用に買ってあった。でも、古い物もあるし、ここで買い替えておく。
「お兄ちゃんがいて良かったよ。歩花ひとりだったら
「ソロ車中泊が大多数だけど、夫婦で全国を回っている人もいるからな。俺としても、歩花がいて嬉しいよ」
「……良かった。歩花は必要なんだよね」
「当たり前だろ。こんなに可愛い妹と旅ができるとか贅沢の極みだ」
「えへへっ。おっぱいも大きいよ?」
「そ、そうだな。って、店内で何を言っているんだ。もう、買い物を続けるぞ」
その後、生活に必要な道具をどんどんカゴに突っ込んでいった。予備含め沢山買ったので、なかなかの金額になりそうだ。
それから更に、洗面道具や寝具のシュラフやブランケット、枕も追加。カゴが三個分になってしまった。ついついLEDランタンも追加購入。歩花の要望で消臭除菌アイテムも増えていく。
熱中対策でサーキュレーターや保冷剤も買った。
いろいろ買った結果――十五万円弱飛んだ。凄い量に店員さんが大変そうだったが、こっちの準備期間がもうあまり無いので、一気に買うしかなかったのだ。許してくれ。
長い会計を済ませ、お店を出た。
「後は通販で、ポータブル電源やポータブル冷蔵庫を購入かな。あ、Wi-Fiルーターの契約もしないとなぁ。ネット環境は必須だ。この際だから、スマホも最新機種にしちゃおうぜ」
「やる事多いね~。あとは明日にする?」
「そうだな。会計は済ませたし、いったん自宅へ戻り、荷物を降ろすぞ」
荷物を車に押し込み、出発。
空は
「……」
歩花は、助手席で眠そうにしている。今日はあっちこっち回ったし、疲れているんだろうな。自宅まではまだあるし、眠らせてやろう。
「歩花、寝ていいぞ」
「……はっ! ね、寝てないよ!?」
「嘘つけ。口元、ヨダレが垂れているぞ」
「はぅっ!」
ハンカチで口元を
歩花は、眠気に耐えながら話題を振ってきたが――結局、眠気に負けて撃沈。すーすーと寝息を立てて気持ちよさそうに眠っていた。
うん、それでいい。
俺は寝顔を眺めつつ、車を走らせた。
自宅前に
「
「はい、
指で狐を作り、コンコンと示してくる。
それが独自の挨拶らしい。
「歩花に会いに来たの?」
「それもあります。でも、歩花ちゃんは眠っていますね」
「ああ、疲れているんだ。しばらく眠らせてやるつもりだ」
「そうでしたか。そういえば、歩花ちゃんから旅行に行くかもとラインで聞かされました。本当ですか?」
いつの間にラインで言っていたんだか。別に困る事ではないけど。
「そうだよ。三日後に、軽キャンピングカーが納車される。ありたっけの道具を詰め込んで出発しようと思うよ」
「凄いですね、こんな短期間で。回お兄さんってお金持ちなんですね?」
「ま、まあね。ちょうど株が当たったんだ」
「そういう事にしておきましょう。それより、旅行の件です。あたしもついて行っていいですか?」
「突然だね。でも、軽キャンピングカーに三人はきついな」
「大丈夫です。あたしには、この子……最新モデルのハンタークロスカブちゃんがいますから」
ドヤッと
「分かった。歩花と相談してみるよ。それでいいかい?」
「ありがとうございます、回お兄さん。あとライン交換して下さいっ」
スマホを向けられ、俺は少し
俺は、狐塚ちゃんとライン交換を済ませた。
「これでいいかな」
「はい、また連絡しますね! 歩花ちゃんにもよろしくお願いします。ではでは」
バイクを走らせ、
心配になっていると、歩花が目を
「お兄ちゃん、誰かと喋ってた……?」
「さっき狐塚ちゃんがいたんだよ。歩花に話があったらしいよ」
「そっかぁ。じゃあ、あとでラインしておくね。……ちなみに、ライン交換とかしてないよね」
なんだか重い口調で確認してくる。うわ、なんか背筋がゾクッときたし、怖いぞ。下手な発言は死を招きそうな気がしていた。しかし、歩花に嘘はつけない。
「すまん、ライン交換はした」
正直に言うと、歩花は突然泣き出した。
「……ダメだよ、お兄ちゃん。わたし以外の女の子とラインとか!」
「狐塚ちゃんは友達だろ?」
「そ、そうだけど……お兄ちゃん、取られちゃうもん。そんなのイヤ」
「心配しすぎだ。狐塚ちゃんにそんな気もないと思うし、恋人関係になるとは思えない」
「ホントに? 浮気しない?」
う、浮気って……。
けれど歩花の瞳は本気だ。
冗談で返す空気ではないな。
「しないしない。ほら、頭
「お、お兄ちゃん……うんっ、えへへ……♡」
俺は、歩花の黒髪に触れ、優しく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます