ゲームで対戦! 勝っても負けても脱ぐ?
食器を持って台所へ。
食器洗い機へ使ったお皿やスプーンを投入し、後はボタンひとつで自動洗浄を開始した。
「ふぅ、これ楽ちんだよな。なあ、歩花」
「あぁぁ……そうだった。ウチには食器洗い機があるんだったよ」
なんか知らないけど、歩花は両手と
親父がこういう家電製品好きなので、家は便利な器具で
「手で洗うの面倒だろ。便利いいじゃないか」
「うぅ、お兄ちゃんと一緒に並んでお皿を洗いたかったのに~…」
「そうなのか? それより、ゲームをしようじゃないか」
「そ、そうだね。それじゃあ、着替えちゃうね」
まだメイド服だったな。
それにしても、この服はどこで買ったんだろう――あ、分かった。テーブルの上に“モンキーホーテ”の黄色いレジ袋が置かれていた。あの店って本当に何でもあるよな。
リビングへ戻り、ソファに座っていると歩花は目の前で着替えを始めた。
「ちょ、歩花……!」
「ん、別に気にしなくていいよ?」
そう言う割には、顔が真っ赤じゃないか。普段、生着替えなんて絶対に見せなかったのに、今日は変だな。熱でもあるのか? もしかして、何かの病気か?
俺は心配になって、歩花に近づく。
「歩花、ちょっと熱を測らせろ」
「……えっ、お兄ちゃん!?」
おでことおでこをくっつけた。……どうやら、熱はないようだな。いや、でもグングン上がっているような。って、なんか歩花の顔が沸騰しているぞ。
「だ、大丈夫か」
「お、お兄ちゃん……それはズルい。もぉ~、そこで着替えてくるねっ」
下着のまま、歩花は台所へ向かった。
いったい、何があったんだか。
――しばらくして歩花は、寝間着の半袖のシャツとショートパンツに着替えて戻ってきた。黒色のシンプルだけど、健康的な
そんな歩花は、俺の隣に座って肩を寄せてきた。
「なんか良い匂いするな、香水か?」
「うん。わたしの大好きな“Dオール”だよ~」
Dオールって、高級ブランドだぞ。
香水一本で一万五千円とかする。そんなのをよく持っているなぁと俺は、歩花のお財布事情が心配になった。バイトとかしてたっけな……。まさか、怪しい仕事をしているじゃ!?
「歩花、そんなのどうしたんだ」
「お兄ちゃんが買ってくれたんだよ?」
「――え? 俺が? いつ?」
まったく身に覚えがないだが。ていうか、バイト代は免許の取得費用に全部消えているし……歩花にプレゼントしている余裕はなかった。
「半年前にだよ。お兄ちゃん、わたしに二万円分の電子マネーを誕生日プレゼントしてくれたじゃん。そのお金を使ったの」
「あ……ああっ!」
思い出した。初めて物流倉庫の仕事をして、初めて得た収入で歩花へ誕生日プレゼントを送ったんだ。いろいろ考えた末に『電子マネー』にしたんだった。今まで多忙の日々を送っていたから、記憶が完全に忘却の彼方だったな。
「だからね、香水にしたの。わたしずっと欲しかったから、本当に嬉しくて……」
言葉を震わせながら歩花は、そう本音を漏らした。そっか、思い返せば歩花が心を開き始めたのも、あの誕生日プレゼントを贈ってからだ。あれから、歩花は俺と話すようになり、後ろをついてくるようになった。
「そうか。ちゃんと自分の為に使ってくれていたんだな。兄として誇らしいよ」
「うん。だからね、歩花の匂いもっと
猫のようにスリスリしてくる歩花。いくらなんでも可愛すぎる。さすがの俺も、良い意味で心を砕かれた。――ああ、幸せ。
そうして、自然な流れでゲームも始めた。携帯型ゲーム“すいっち”は、コントローラーが二つあるし、対戦とかも可能だった。
「スマブラでもやるか」
「うん。スマッシュブラッドって楽しいよね!」
スマッシュブラッド。
大人数の対戦型ゲーム。数々の有名ゲームキャラクターが参戦しており、そのキャラを使って格闘するゲームだ。シンプルに相手を倒していくルールだが、残酷な武器を使い、殺し合うので血の噴き出る表現が多いゲーム。グロ指定されているが、何故か人気なんだよな。
「よし、まずは
「じゃあ~、歩花が負けたら、服を一枚ずつ脱いでいくね」
「な、なんだって?」
「わたしが勝っても脱ぐけどね♡」
どちらにせよ脱ぐんじゃないか……! このヘンタイ妹め。いつから、歩花はえっちな女の子になってしまったんだか。
結局、先に三回勝利した方が“なんでも”いう事を聞くという条件になった。これは負けられないな。
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