えっちなポーズ

 座席を元に戻して、いざ出発。

 カーナビに『福港ふくこう』をセット。

 ここから三十分ほどの距離にある港だ。


 それから、ボタンを押してエンジンスタート。【D】に入れフットブレーキを解除。アクセルを踏んでゆっくりと前進した。


「き、緊張するなぁ……」

「だ、大丈夫? お兄ちゃん。汗凄いよ」

「実は、心臓バクバクだよ。これでも免許取り立ての“初心者”だからな」


 車のボディには、ばっちり初心者マークもついている。ダサいので付けたくないのだが、違反になってしまうからな。


 徐行じょこう(10km/h以下の速度)で道路へ。

 なんとか出れた……ふぅ、緊張で手汗が凄いぞ。てか、事故らないように気を付けないと。安全運転あるのみ。


 広々とした道路に出て、アクセスを踏んでスピードを上げていく。



「わぁ、なんだかドライブって感じがしてきたね」

「そ、そうだな。上手く走れてる」



 路上教習はそこそこ苦戦したのを思い出す。でも、あの苦難を乗り越えて今があるんだ。こうして自由に移動してどこかへ行ける――感動的瞬間だ。


 しかも隣には歩花がいる。

 楽しくないわけがない。


 運転に集中し、ナビの指示に従いながら港を目指していく。時折、歩花が歌を歌って盛り上げてくれた。可愛いアニメ声だから、脳がとろけそうになるほど癒される。


「海が綺麗~♪」


 窓を覗く歩花。橋を走行中で大海原おおうなばらが広がった。こんな海道を走れるとはテンションが上がる。


 港へ入ると、ナビが『目的地に到着しました』と機械音声を発する。ふぅ、無事に到着だな。



「良かったー…到着したよ、歩花」

「さすがお兄ちゃん。運転上手!」

「そ、そうかな」

「そうだよ~。長距離運転とか向いてそう」

「嫌いではないな。そうだな、長距離トラックとかはやってみたい」



 けど、その場合は中型や大型免許を取らないとだけど。今はそんなお金はない。



 車から降り、歩花も俺の方へ駆け寄ってきた。



「せっかくだし、散歩しよー」

「そうだな、そうしよう」



 歩花の方から手を繋いでくる。周りから見たら、明らかに未成年を連れ回しているヤバイ奴に見えそうだが――いざとなれば、歩花が助けてくれるはずだ。そう信じて先へ柵の方へ進む。



「ここ、高台で絶景だねえ。海があ~んなに青いよぉ」

「潮風が心地よいな。う~ん、良い天気で気持ちい」



 記念にスマホでパシャパシャ写真を撮っていく。もちろん、歩花もフレームに収めて。可愛いポーズをしてくれる歩花を連写していく。


 歩花は、アイドルレベルの容姿を持つから映えるなぁ。夢中になって写真を撮っていると、歩花は前屈みになって、どんどん過激えっちなポーズを続けていった。


 気づくと、歩花はブラウスのボタンを外して谷間を強調。



「どぉ、お兄ちゃん♡」

「歩花、胸を寄せるんじゃありません!」

「大丈夫だよ~。谷間だしー」

「他人が見ているかもしれないだろう……ほら、ボタンを戻して」

「じゃあ、お兄ちゃんが戻して」


「――へ」


 突然の提案に俺は、サカナクンさんも驚きのギョギョギョッとした。


 あ、歩花の胸のボタンを俺が戻す……?


 そんな要求は今までなかった。

 歩花と仲良くなった頃、エロは苦手だって言っていたし、不快だから絶対ヤメテとも言っていたのを鮮明に覚えている。けれど、今の歩花は大胆だ。どうしてそんな、えっちな子になってしまったのか経緯は不明だけど、でも――気持ちは嬉しかった。



「早くしないと風邪を引いちゃうよ」

「本当に良いのか。後で文句言うなよ」

「いいよ、兄妹なんだし」

「……分かったよ」


 俺は歩花の胸元に手を伸ばし、ボタンをはめていく。しかし、俺は緊張で手元が震えてしまい……指が微かに胸に触れたような――気がした。


「……んっ」

「あ、歩花!?」

「――はぅ。ご、ごめんね……お兄ちゃん」


 両手で顔を覆う歩花は、耳まで真っ赤にしていた。こ、この反応はまさか……でも、触れたか微妙だったけどなぁ、う~ん……判定が難しい。けれど、なんだろう……今凄くドキドキしている。



***おねがい***

 続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。

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