車を借りよう
――登録が完了しました。
そんなメールが届いた。URLを開くと確認完了で全ての登録が終わった。これでスマホをシェアカーに
家から徒歩で行く。
「なあ、歩花。ひとつ疑問があるんだが」
「なぁに、お兄ちゃん」
「なんで
「いいじゃん。学生デートっぽくて」
「だがなぁ……」
学生のノリか。まあ、俺も大学生ではあるけれど、回りからすると俺が連れ回しているような感じに見えるので――ちょっとリスクが高いのだが。そんな心配をしていると、歩花は笑った。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。もし、お巡りさんに何か言われても、お兄ちゃんを絶対に
「それはそうだがなあ。じゃあ、いざとなったら頼むぞ」
「うんうん。わたしに任せなさ~い」
制服越しでも分かる豊満な胸を張る歩花。高校生にしては大きく、本人曰くまだ成長中らしい。兄としてはそんなエロい目で見るつもりはないけれど、これだけ強調されていると視界に入れるなっていう話の方が無理だった。
――駅前まで付くと【カーシェアリング】の看板があった。なるほど、あの駐車場へ向かえばいいのか。歩花と共に中へ入って行く。
駐車場の隅に車が四台停められており、前もって予約した車に乗車するようだ。俺は、アプリで『X-VAN』を選択しておいた。
最近出たばかりの最新モデルであり、バン仕様の車だった。どうやら、最近流行りの車中泊に向いているようだな。俺はその興味もあり選んでいた。
一番隅にカーキ色の渋い車が駐車していた。
「おぉ、これかぁ。軽自動車にしてはデカいな」
「可愛いね、お兄ちゃん。なんていう車?」
「X-VANだってさ。ホンタのヤツだな。新車で買うと……うわっ、フルオプションで二百万だってさ」
「に、二百万!? 凄い値段だね……。それが数千円で乗れちゃうの?」
「らしい。とんでもなく画期的だよな、カーシェアリング」
「うんうん!」
驚愕的な値段とカーシェアリングの利便性に納得する歩花は、テンションを高くして
俺は、スマホの
運転席へ回り、ドアを開ける。
「マジで乗れるんだ。ちょっと感動した」
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。わたしも助手席に乗っていい!?」
「ああ、いいよ。出発しよう」
「やったー!!」
さっそく乗車。かなりしっかりした運転席で、座り心地は抜群に良かった。なにこれ高級なソファかな! 背もたれも完璧じゃん。空間も広く作られ、軽自動車とは思えない豪華な内装だった。
「広々としているなあ。デカいカーナビもあるし、後ろ広いし!」
「あははー、なんか別世界みたいだね、お兄ちゃん!」
「あ、ああ……俺もなんかワクワクしてきたよ。来て良かったな、歩花」
「うん! 後ろって倒せるのかな」
「そうだな、X-VANは助手席も含めてフルフラットになるらしい」
「ふるふらっと?」
「つまり、席を全部倒して床に出来るようだな。運転席以外全部な」
「ええっ! そんな事が出来るの? すごいすごい、見せて欲しい」
歩花から
「いいか、歩花。このX-VANはな『センターピラーレスドア』なんだ。こうして……助手席と後部座席の扉をこう観音開きに出来る」
「ひ、広ぉ!」
今、助手席と後部座席側が開放感抜群の大開となっている。この状態で席を倒していく。スムーズにフルフラットに出来た。
「完成っと。凄くね?」
「す、すごい……これって完全に寝れるじゃん」
「縦2.5メートルはスペースがあるらしいぞ」
助手席も倒せるものだから、むちゃくちゃ余裕があった。男の俺である171cmも余裕も余裕。荷物置けるスペースでさえあった。これは凄いぞ。装備を完璧に揃えれば、車中泊も余裕だな。
「これって寝泊まり出来ちゃうね。ねえね、お兄ちゃん、ちょっと寝てもいい!?」
「ああ、構わないよ」
X-VANに乗り込み、歩花はそのまま猫のようにゴロゴロし始めた。おぉ、歩花は身長も低いからスペースが余りまくりだな。
俺は記念に写真を一枚撮った。
ダブルピースで良い笑顔だな、歩花。
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