噂好き…
〈ミツタロウ視点〉
ミツタロウ「えっ!?夢乃ちゃんが?」
脇に親戚の子供を抱いて
駆け込んで来た翔に
「どうしたんだ」と尋ねると
興奮しながら「おめでただぞ!」と言い出した
ミライ「おめ?おめた?」
ショウ「お・め・で・た・だ!笑」
鳥屋でたまたま会った夢乃ちゃんと話していると
そこに蒼紫も現れ「妊娠してないか?」と
尋ねだしたらしい
ショウ「いやーッ!
急に夢乃ちゃんは泣き出すし
何がどうなってんだってなったけどよ」
ミライ「じゅーちょく、メッなの!」
ミツタロウ「えっ!?」
ショウ「最後は蒼紫がこう…
こんな風に夢乃ちゃんを抱きしめてさ!笑」
ミライ「ゆめちゃん、ぎゅーなの!」
ミツタロウ「・・・・・・」
二人とも興奮しているのか
店の中で体を動かしながら
話しているがその声は大きく…
店先を通る通行人達も
「なんだ」と足を止めだし
父「夢乃ちゃんが懐妊だってッ!?」
店の奥にいたオヤジが
ドタドタと足音を立てて走って来て
父「やっぱりな!
だから最近コッチに降りてこないわけだな
蒼紫のやつスッとぼけやがって…笑」
ミツタロウ「いや…蒼紫もさっき知ったみたいで…」
オヤジはトイレの途中で
飛び出して来たのか
ズボンを上げながら
「蒼紫のやつめ」と笑っていて
いい年越えてなんて格好で
店頭に出て来てるんだよと呆れた…
父「はぁー夢乃ちゃんに似た女の子だといいな」
ショウ「蒼紫に似たら顔はいいけど
可愛げも愛想もなさそーすからね?笑」
ミライ「ゆめちゃん、えんえんしたあと
にこにこだったの!」
「おめでただって?」と
入り口から顔を出して入って来た
和菓子屋の亭主と
祝いに行かなきゃなと話しているオヤジ達を見て
俺も前掛けのポケットに入っている
スマホを取り出して
蒼紫に祝いの言葉を送ろうとかと思っていると
ショウ「あっ!蒼紫に送るなよ!」
ミツタロウ「・・・なんでだ?」
急に翔が声を上げて
俺に顔を向けてそう言い出したから
不思議に思った
ショウ「今から病院に行って検査するから
ちゃんとした結果が出るまで
誰にも言うなって言われてんだよ!笑」
ミツタロウ「・・・・・・」
「聞け」と言わんばかりに
騒いでいたくせに
誰にも言うなよ笑っている翔を見た後
直ぐ目の前の通りで
和子おばちゃん達が「若住職が」と
話している声が聞こえてきて
「おせぇだろ」と呟いた…
夢乃ちゃんの妊娠は
勘違いでも間違いでもなく…
翌日、商店街に現れた蒼紫は
「おめでたらしいな」と
皆んなから声をかけられていた
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