早起き…

〈ユメノ視点〉









ピピピピ…






頭の上から聞こえきた目覚まし時計の音に

ハッと目を覚まして手を伸ばして

ボタンを押すとシンっとした

静けさの中におじさんの寝息が聞こえてきた







( 良かった…まだ寝てる… )







目覚まし時計の針は3時30をさしていて

いつもよりも少し早めの起床に

おじさんが起きてしまわないか心配したけれど

おじさんの瞼は閉じたまま

小さく寝息を立てていて

まだ夢の中にいる様だ






布団の下から体温計を取り出して

口に挟んで熱を測ると

いつもよりも少し高めの数字が表記され

排卵時期に入ったかなと思いながら

ゆっくりと体を起こし布団からでると






着替えを済ませて

まだ眠っているおじさんにタオルケットを

首までかけてあげてから

目線を少し上にある目覚まし時計に向けた






( 満太朗さんにお礼言わなくちゃ…笑 )






17時前に帰って来たおじさんの手には

新しい目覚まし時計があり…





型は前の物と少し変わって

丸く…コロンとしたデザインの黒と白の

おじさんと同じ色をした目覚まし時計で

「何度でも買ってやる」と私に差し出してきた





目覚まし時計を見ながら

本当におじさんみたいだなと思った…





前の四角い目覚まし時計を

プレゼントしてくれた時のおじさんは

今みたいに甘い言葉はくれなかったし

いつも眉間にシワを寄せてはタメ息を溢していて

カクカクと四角い

あの目覚まし時計の様にそっけなく…






(  今のおじさんは… )






私を抱きしめて、とろける様なキスをくれる

甘く優しい性格になったおじさんは

新しい目覚まし時計みたいに丸くなった気がする






「もう少し寝ててね」






そう囁いてから

メイクポーチを手に部屋から出て行き

小屋の鍵を開けて

ピーコ達を庭に放すと

台所の冷たい水で顔を洗い

5分でメイクを仕上げた






「髪の毛は…あれでいいか…」






サイドの髪を少し残して

ヘアゴムで髪を束ねた後に

残していた髪をクロスさせて

ポニーテールに巻き付けていくと…





「クロスなんちゃらヘアーの完成!笑」






鏡の中の自分に笑いかけていると

ピーコ達の鳴き声が聞こえてきて

「ハイハイ」と言いながら立ち上がり

朝ごはんを持って庭へと出て行き

それぞれの前に出してあげると

朝から食欲旺盛な4人はカツカツと食べ出した






「ニーコも一人で食べれる様になったし…笑」






以前は掌に乗せて食べさせてあげていたけれど

今でも一人で食べれる様になり

タマちゃんと気が合うのか

二人で日向ごっこをしている姿をよく見る





皆んながご飯を食べている間に

小屋の中を覗くと卵が4つ転がっていて

「大量、大量!」と笑いながら

手を伸ばして卵を取りだし

台所の蛇口にホースを差し込んで

小屋を水洗いした





「今日も暑くなるしお昼前には乾いちゃうわね」






9月の朝は涼しくて

早起きしても全然苦じゃないなぁなんて

思っていると「起きてたのか」と

おじさんの声が聞こえて来た






「おはよう」と振り返ると

おじさんは部屋着のままで立っていたから

「着替えてないの?」と少し驚いていると

少しだけ不機嫌な顔をして眉をピクリと動かしている






きっといつも隣りで寝ている私の姿がなかったから

身支度を整える前に私を探したんだろう






( 本当に丸くなったなぁ…笑 )






「お寺の掃除に一緒に行くから早く着替えて来て」






アオシ「朝飯作りがあるだろうが」






「だから、は・や・く!」






おじさんはまた眉をピクリとさせ

部屋へと戻って行ったから

ホースを片付けた後

ご飯だけを炊いて

袈裟に着替えたおじさんと一緒にお寺へと行き

初めて朝の掃除と準備を手伝った





あと2週間ほどで私は坊守となるし

お義母さんの様に…



住職であるおじさんよりも早く起きて

おじさんを手伝おうと思った






「あっ!またコッチに来たのね

  ママは階段を掃除するからアッチで遊んでなさい」






朝日が昇ってきて明るくなってきた

お寺の庭にはピーコ達がよく顔を出す様になり…






アオシ「・・・フンの掃除もしていけよ」





「・・・はい…」






余計に掃除作業が増えてしまったけれど

おじさんも…お義父さん達も

「草を食べていなさい」と

マルちゃん達に優しかった

















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