2歳…

〈ユメノ視点〉









「・・・・・・」







弥来みらい君は2歳の男の子で

翔さんの従兄弟の子供らしく…






ショウ「うちの農家は今がかき入れどきなんだけど

   今年は人が足りなくってさ…

   未来みくちゃんにも出てもらわなくちゃいけなくなって

   この1週間だけ弥来の面倒をみてもらえないかな?」






従兄弟のお嫁さんまで駆り出されたらしく…

朝の4時前から2歳の男の子を

畑に連れて行くわけにもいかず

この1週間だけ朝の4時からお昼2時位まで

弥来君をおここで預かる事になった






( ・・・2歳って何して遊ぶんだろう… )






泣いていた弥来君を翔さんが

寝かしつけてくれたから

朝は…良かったんだけど…




起きて直ぐに「マンマ…パッパ…」と

泣きながら畳の部屋を走り回り

お義母さんが何とかあやしてくれて涙は止まり

今は持って来たお弁当を

大人しく食べている…





弥来君は部屋の中を見渡しては

ムシャムシャと食べてを繰り返していて

お弁当は中々減らず

20分経った今も食事をしていて…

そんな弥来君を廊下からそっと覗き






「・・・2歳か…」






正直どう相手していいのかも分からないし

泣いている弥来君を抱っこしようと

手を伸ばしたら全力で嫌がれ

何となく近づけないでいた…






ショウ「適当に遊んでやって?」






軽トラックに乗って

姿を消していった翔さんに

「適当って何よ…」と

数時間経った今になって愚痴を溢し

顔を後ろへと向けて

庭で自由に一人遊びをしている

タマちゃん達を眺めながら

「鶏だったら良かったのに」と呟いた





ピーコも抱っこを嫌がって

よく鳴いて暴れていたけれど

「やーあ…ヤッなの…」と

ハッキリと言葉で言われるのとは

ヤッパリ違っていて

少なからず落ち込んでいた…





母「弥来君、お茶飲もうか?」





お義母さん台所から

ストローがついた水筒の様な形をした

子供様のコップを持って現れ

弥来君は「のみゅ」と

可愛い発音で頷いていて

お義母さんの差し出した

コップを両手で持ってゴクゴクと飲んでいる





お義母さんには懐いてるみたいだし…

私じゃなくてお義母さんが

子守りした方がいいんじゃないかなと思っていると

「夢乃さん、コッチにいらっしゃい」と

お義母さんから手招きをされた






「・・・・ぇっ…でも…」






また泣き出すんじゃと襖に顔を半分隠したまま

歯切れ悪く返事をすると

顔をクルンとコッチに向けて来た弥来君と

目がバチッと合ってしまった






ミライ「・・・・・・」






「・・・ごっ…ご飯は…美味しい…かな?笑」






弥来君は口をモグモグと動かしていて

なんともマヌケで変な質問をと

自分でも呆れながら「あはは…」と

苦笑いを浮かべていると

ゴクンと飲み込んだ弥来君が

「あんねぇ…」とお弁当を指差して話し出した





ミライ「みらはコレしゅきなの…コレ!」





泣きそうな感じはないし

弥来君の隣へと行き

指差しているお弁当の中を覗くと

小さな卵焼きが入っていた





「卵焼きかぁー!お姉ちゃんも大好きだよ」





ミライ「たま…き?」





「えっ??」






首を傾げる弥来君に戸惑っていると

お義母さんが「ゆっくり話してあげなきゃ」と

笑っていて聞き取れなかったんだと分かった





「弥来君の好きなコレ私も、だぁーいスキ!笑」






ミライ「しゅき?笑」






今度は聞き取れた様で

「しゅき」と手を叩いて喜んでいる姿に

キュンとするものを感じ

「待っててね」と伝えて

パッと自分の部屋へと走って行き

スマホを持って居間に戻ると

卵焼きを食べずに

フォークを持ったまま私を待っていた

弥来君に更にキュンキュンとした






「みっ…弥来君コッチ向いて!」






ミライ「う?」






「ん?」では無く「う?」と

言う所まで可愛く見え

スマホを向けて弥来君の動画を撮ろうとすると…






母「コホン…夢乃さん…

  食事は遊びじゃないんですよ?」






チラリとコッチを見る

お義母さんの冷めた目に

「そう…ですよね…」と

スマホをパッとしまい

「ご飯食べてから遊ぼうねー?」と言い…





この日から

2歳の弥来君にメロメロとなっていた
















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