嘘…
〈ユメノ視点〉
「おはよう!皆んないい子にしてた?」
古屋の扉を開けると
先人を切って飛びだしたのは
マルちゃんでその後を
ピーコとタマちゃんが追いかけていき…
「ふふ…ニーコおいで」
様子を伺う様にゆっくりと出てきた
ニーコに「好きな所で遊んでいいのよ」と
声をかけ、しゃがんで様子を見ていると
少し歩いた後に私の近くへと戻ってきて
側を離れようとしない姿に
「ニーコにそっくりね」と言って
背中を撫でていると
「もう餌付けに成功したのか?」と
意地悪なおじさんの声に眉を寄せて振り向いた
「餌付けじゃないもん!
それと餌じゃなくてご飯だってば!」
アオシ「うるさい母親だな?」
そう言ってニーコの側に腰を降ろして
話しかける姿に「ふふ…」と頬を緩めて笑い
「パパが1番起きるの遅いね」と
おじさんの顔を見ながら言うと
眉をピクリとさせて
「4時前には起きてる」と
真剣に答えるおじさんに「はいはい」と答えた
アオシ「今日の昼前には来るんだろ?」
「うん、タクシーで来るから
迷う事も無いだろうし…お昼前には着くかな?」
今日は私の家族がコッチに来て
顔合わせの挨拶をする事になっている
ニーコに目を向けて何も話さないおじさんを
少し…揶揄いたくなった私は…
「・・・あのね…
言おう言おうと思ってたんだけどね…」
アオシ「・・・なんだ?」
「・・・うちのお父さん…
ちょっとした…格闘家っていうか…
昔プロレスをしててね…」
アオシ「・・・・・・」
「だから…お近づきの印?みたいな感じで
もしかしたら一戦相手しなきゃかも?」
そう言ってチラッとおじさんの顔を見ると
目を丸くして固まっていて
初めて見る間抜け顔に
思わず吹き出しそうになるのを
誤魔化す様に顔を下に向け
「嫌かな?」と声を振るわせながら聞くと…
( ・・・・あれ?バレたかな?? )
何の返答も聞こえず
笑い声でバレたかなと顔を上げると
眉間にシワを寄せて
「勝たなきゃいけねぇのか?」
と問いかけてきた
「・・・腕…だめし?だからいいんじゃ…ない?」
まさかおじさんが
ここまで本気にするなんて思っていなかったから
逆に驚いて微妙な返答をすると
「はぁ…」とタメ息を吐き
「早く朝飯作れ」と言って
お寺の方に歩いく背中を見ながら
「格闘家だって」とメタボ体型のお父さんを思い出し
自分の吐いた嘘に笑っていた
・
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