グミ 9-3


 子どものころの話だ。


 田んぼ道を自転車で走っていたら、宝石のなる木を見つけた。

 じっと見つめていると、見知らぬおばあちゃんが言った。


「食えっから」

 その言葉を信じて、赤い宝石を口に運ぶ。


――渋い


 大きくなって、それが「グミ」という名と知った。


 改めて食べたその実は、戻れない季節の味がした。

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