第2話 覚醒前の夜

《面白いものを見せてもらったぞ》


その声はすごく懐かしく涙が溢れそうになった。


「なぁあんたは何もんなんだ」


《ん?我か、我の名は『バート』と呼ぶがいい》


『我は名前を付けるのが苦手なのだ。』


『あなたがいいと思う名前でいいのよ?バート』


…っ!突然、頭に映像が流れ、激しい頭痛が生じた…


「今のは···」


その時一人の少女の声が聞こえた


「ラスト!」


それは急いで走ってきたのか息を荒らげ金の髪を揺らすセリナだった。


(あぁ···可愛い )


そしてセリナに問い詰められた


「あなたどうして私の絶対零度龍ブリューナクを!いえそれだけじゃありません!なぜ他の人の魔剣を···どうして魔剣が空中で止まったのですか!」


「ちょ、ちょ待ってくれ」


「あっ···すいません」


(可愛い···)


《随分と心配されてるなカッカッカッ》


(うるさいな)


「というか本当になんでセリナの魔剣が呼べたんだ。教えてくれ」


《何故か…それは時が来たら教えてやろう》


「勝手だな」


《ふっまた何かあれば呼ぶがいい》


『我が息子よ』ボソッ


フッ···


「おい!今なんて!」


目の前にいた黒髪の長身が姿を消した。


(自由すぎだろ)


だが悪い気はしない自分がいた。


「さて教室に戻ろうか」


「待ってください!まだ話は終わってませんよ!ちょっと…ラスト!」


(やっと終わったさっさと帰って本でも読もう)


「ラスト」


呼ばれてそちらを見ると仁王立ちで校門に立つセリナがいた。


「ん?どうした何か用か?」


「いえ途中まで一緒に帰ろうと思っただけです。話も途中でしたし、別に待っていたわけではないのですからね」


(ツンデレだ可愛い···)


思わず顔に出そうになり一度顔を逸らし目を見る


「珍しいな一緒に帰ろうなんていつもは俺が誘う方だろ」


「たまにはいいではありませんか」


[ヒューヒューお熱いね〜]


その声を聞き楽しい時間が最悪に変わった。


(面倒事は、本当に嫌いなんだがな)


その声の正体は···ダグラスだった


「なんの用だよダグラス。俺に負けて今後一切関わらない約束はどうしたよ」


「調子に乗るなよ落ちこぼれが!あんな試合無効だ!」


イラついた声で叫ぶ!

そこを諌める男の手があった


「うちの愚弟が世話になったな」


サイラス・ディスト魔剣士学院の3年生、ダグラスの兄でディスト家の次期当主


「その礼も兼ねてついてきて貰いたいのだがね」


「ちょっとあなた達彼に何をする気」


「おやおやこれはこれはバレンタイン家の令嬢失礼とは存じますが我が家の沽券に関わることなのでね····下がっていただきたい」


冷たい視線でセリナを見つめる。


そうすると後ろからセリナの両腕を2人の男が掴んだ。


「ちょっと!離しなさいよ!」


「セリナ!」


ドッ!一瞬気を抜き、後ろを向いた瞬間気絶させられた。


(……ん?ここは···どこだ)


《何やら大変なことが起きているな》


「バート!どうゆう状況だ!」


《お前が気絶させられたあと彼女も気絶させられ連れてこられたところ、目覚めた彼女が魔剣を権限させ抵抗しているとゆうところだ》


(最悪の場面だな本当なら気絶した振りをして寝ていたいところだが)


「くっ!」


魔剣士6人相手ではロンギヌスでもきついか···


(バート!どうすればこの状況を打破することが出来る?)


《ならばお前の真の力を目覚めさせる他ないだろう》


真の力?


《お前の中にある魂と力を呼び起こすんだ》


んなことどうすれば···


《なら私も手伝いましょう》


そこには金髪の美女がいた。


どことなくセリナに似ているこの女性は一体…


《私のことは「エバ」と呼んでください。 とにかく時間が無いんでしょ?始めるわよ!》

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