落ちこぼれ魔剣士の起死回生(リバーサー)〜最強の魔剣と聖剣を手に世界を統べる〜

夜桜 ミーシャ

第1話 落ちこぼれ

--ぼんやりと見えるその景色は、血みどろで、残酷で、だがすごく懐かしい


いつも見るこの夢は、一体なんなのか···


肩を揺すられる。その景色は遠くなる···


目を開けると金髪の美少女が目の前にいた。


「次は授業は外ですよ?早く行きましょう」

落ちこぼれと言われる俺に唯一優しくしてくれる幼馴染のセリナ。


「行かねー」とそっぽを向く俺。


(当たり前だ。次の授業は···)


「ですが次は、魔剣の授業ですよタダでさえ使えないのですから出てください」


そう俺が落ちこぼれと言われる理由は…

『魔剣が使えないから』


魔剣とは誰もが持つ魂の1部。

それを出現させるものを『魔剣士』と呼んだ。

その強さも千差万別。

その中でも他を寄せつけない程の力を持つのが、4000年前の魔王直属の配下が持っていたものと

同じ魔剣を『十大魔剣ロンギヌス』と呼んだ。

だが例外がある。


ひとつは聖剣を生み出すもの『聖剣士』。

これは勇者やその存在に近いものに発現するもの。


そしてもうひとつは俺のように発現できないもの。

理由は簡単、前世を覚えていないからだ。


魔剣を生み出すには魂に存在する前世に契約した悪魔、神獣、妖精、神の情報を呼び出し顕現させる必要がある。

つまり前世の記憶が無いとは情報が引き出せず魔剣が出せないとゆうことだ。


なんで俺が···と思いながら校庭にゆく。


そこでは既に授業が始まっていた。

その中心ではセリナが魔剣の演舞をするところだった。


「ではバレンタインさんお願いします」

先生そうゆうと

「はい」

セリナは目をつぶり魔剣顕現の詠唱を始めた。


『顕現せよ 凍てつく氷の中で 全ての時よ停まれ!』


絶対零度龍ブリューナク!》


そしてその場に冷気を纏った氷結の剣が出現した。


「すげー!」

「あれがセリナ様の魔剣!」

周りは歓声をあげる。


無理もない。

セリナの魔剣はロンギヌス1つであらゆるものを凍てつかせるとゆう絶氷の魔剣だ

(綺麗な剣だな···)

ふと思っていると……


「おいおい魔剣も使えねぇー落ちこぼれがなんでいるんだよ」

クラスメイトの1人に笑われた。


「別にいいだろ授業にでよーがでまいは俺の勝手だ」


「なんだ、落ちこぼれが俺に意見言おうてか」


この絡んでくるこいつ。

ダグラス・ディストこいつは何かと俺に絡んでくる。


俺が面倒がっている所を見てダグラスがイラついたようで……

「調子に乗ってやがんな···先生!俺にラストとの模擬戦の許可を!」


「っ!」


俺はこの時失敗したと気づいた。


この学校は、基本的に模擬戦闘を推奨していて挑まれたら拒否することが出来ない···


「いいでしょう。許可します」


「ありがとうございます。」


(くそ!先生が許可を出したらいよいよ逃げられない)


(魔剣を持たない俺が勝てるわけが···)


《逃げるな!》

どこからか声がした……


だがその言葉は俺の胸を熱くさせ無鉄砲にも立ち向かうことを決意させてしまった。


下を向いていた俺にダグラスは話しかけてくる。


「今なら逃げてもいいぜ!はははっ!」


「いややらせてもらおう」

いつもの俺ならこんなことは言わないだろう。

だが……


「威勢がいいな落ちこぼれ!」


(逃げるなとゆうんだ。勝つ方法を教えてくれるんだろうな…)


《フッ!!いいだろうならば教えてやる。貴様は始まった時に魔剣の名を呼べ。それで片がつく》


(・・・ん?。おい待て!?俺は魔剣が使えないんだぞ!)


《お前なら分かるだろ?ほかの魔剣の名なら》


そう俺には、一つだけ常人には出来ないことがあった。

それは他人の魔剣の名が分かることだ。


普通の人間は詠唱は聞こえても契約している概念物の真名までは聞き取れない。

だが俺にはできる。


だがこいつが何故それを知っている……


「もういいか落ちこぼれ!どうせだから賭けをしようぜ!お前が負けたらこの学院から出ていくなんてどうだ?お前のような落ちこぼれ誉ある魔剣士学院にはふさわしくないだろう」


「あなた!いい加減に···」


「いいぜ」

セリナの言葉を止めて言い放つ

「ならお前が負けたら俺に一切関わるな」


「いいぜ」


「ならササッと始めようか」


「それでは模擬戦初め!」

ダグラス同時に詠唱を始める

『顕現しろ 全てを屈服その力 牛闘志ミノタウロス!』


そうすると巨大なバトルアックスが現れた。


それを片手で持ち猛スピードで突っ込んでくる


「じゃあな落ちこぼれ!」

そうしてアックスを振り下ろそうとした刹那


顕現せよこい 絶対零度龍ブリューナク


俺はセリナのブリューナクで防いだ

「それは···バレンタインさんの魔剣!?」


「凍てつけ 〈氷縛〉」

氷の蔦がダグラスに巻き付き、巻き付いた先から凍りついた。

「なんだこれは!」


(あれは···私のオリジナル!?)

分かる…この魔剣からセリナの技が…


ダグラスはミノタウロスの概念であろう。

怪力を見せ、氷を砕いた。


概念とは、契約した概念物の元となった。逸話、伝説として受け継がれた、その生物の特徴そのもの。

その特徴は魔剣に現れ、能力として使えるようになる。


例えばセリナの魔剣の概念は《氷結》、ダグラスの魔剣は《怪力》のように現れる。


「何故だ!魔剣は二振りは存在しないはず?!」


「ああそうだ。これはセリナの絶対零度龍ブリューナクだ。」


「俺が···俺がこんな落ちこぼれに負けるわけがない!」


ブン!


ダグラスがバトルアックスを投げる。

すごい勢いだ。

だが…


《今のお前なら、命令し、あれを止めることが出来る。》


(どうすればいい?)


《下がれと命令すればいい》


「下がれ 牛闘志ミノタウロス


そうすると突然空中で止まり、俺は目の前のバトルアックスを手に取った。


「何故他人の魔剣を手に取れる?!それにその剣もバレンタインさんのなどとおかしなことを!」


「もう黙れ」


美しい剣をダグラスに向ける。


「全てを鎖せとざせ氷牢ひょうろう〉」


ダグラスは氷柱と化し、授業終了の鐘が鳴る。

模擬戦の終わりを告げる。


「なぜ手に取れるかだったか···俺にもわからん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る