第6話

 真との同棲生活 3日目


 真が家を出てから少し後

 

 メイドとしてこの家に来て早3日。元々家の掃除もこまめにしているようだし、自堕落な生活を送っているようでは無いので、思っていた以上にやる事がないというのが本音だ。午前中からソファーに寝そべりながら、ワイドショーを見るメイドは恐らく私ぐらいじゃ無いだろうか?

 実際、お金が貰えれば何だっていいので、仕事が少なければ少ないほどありがたい。高校生とは言え、男の家に住むことにも最初はもっと嫌悪感があったが、会ってみるとなよなよとかヒョロヒョロとかいう擬音が似合うような男。少し前なら草食系男子というものに分類されるだろう。

 

 だが、人は見かけによらないものだ。

 どれだけ、第一印象が良くても、優しい笑顔で笑いかけられても、心の奥底はのぞけない。男なんて生き物がどれだけ信用ならないか、嫌というほど見てきたし、分からされてきた。だがしかし……


(この前の態度はさすがに酷すぎたかな…)


 握手ぐらいなら軽く流せるかと思ったが、それすらまだ厳しいらしい。真に対しての拒否反応じゃない。真を男として見てしまった。あいつらと同じ扱いをされるかなんて分からないじゃないか。でも、心に残った傷は無条件に彼の手を拒絶した。

 個人的には初対面の印象もそこまで悪くない。髪や服装にもそれなりに気を遣っていて清潔感があり、もうタメ口になってしまったが敬語を使っていたのも高ポイントだ。それに加えて特筆すべき特徴、


『オタクで、友達が少ない』


 こんな人種、今時珍しくないのかもしれないが、天然記念物だと思っていた。なんなんだあれは、いくら何でも可愛すぎないか?変に拗らせているのも、母性本能をくすぐられて仕方がない。

 今回はうまく出来るだろうか?悪い奴ではないだろうが、突如始まった同棲生活はうまくやっていけるのだろうか?考えれば考えるほど不安は募っていくだけなので、とりあえず買い出しにでも行って、気を紛らわそう。

 今日の夕飯は、オムライスにしよう。功さんが教えてくれた真の好物。そうやって、少しずつでもいいから彼の元に一歩でも歩み寄ってみよう。

 

 

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