第2話 気になるツイッターアカウント

 今日も和正は、外出は買い物の時だけにして、

コロナウイルスのニュースを横目に

PCでトレードをしていた。


 ビーッ!

スマホに何らかの通知があった。

「ツイッターかな?」


 2014年にツイッターアカウントを作っていたが、

仕事が忙しく、ほとんど見ることができなかった。

 公務員を辞めてからツイッターを再開した。

 アカウント名を最近『タワマンかずまさ』に変えた。

 ツイートの内容は、天気、今日は何の日、経済情勢などだ。


 「あ、やっぱり」

 気になっている、多分女性と思われるアカウント、

『ギャラリー神栖』からの『いいね』通知だった。


 『ギャラリー神栖』は、画廊にある絵画の写真、

食事、天気、飼っているインコ、朝、寝る前、など、

1日に数回のツイートをしているアカウントだ。


 食事のツイートの写真には、

女性の美しい手が写っていたし、

文面などからも多分、女性と思われた。


 気になり始めたきっかけは、

食べたものが偶然同じである確率が高いことだった。


 和正が前日、近所の食堂でカレーうどんを食べると、

翌日、『ギャラリー神栖』がカレーうどんを食べた、

とのことで写真付きのツイートをしていた。

 ちなみに、和正は食事に関するツイートはしていない。


 カレーうどんに限らなかった。

和正が、土曜日の日中、値札が手書きの個人商店で

ボリューミーで美味しそうなサンドイッチがあったので、

コーヒー牛乳と、ボリューミーなサンドイッチを買って

公園のベンチで食べた。

 すると、『ギャラリー神栖』が、

同じように、どこかのベンチに座って

サンドイッチを食べた、と写真付きでツイートしたのだ。


 「なぜかいつも、同じものを食べているんだな」

 示し合わせたかのように、

同じ時間帯に同じものを食べる、という

度重なる偶然が気になった。


 偶然だけで、つい『いいね』してしまう。


 そうこうしていると、ツイッターを開けた瞬間、

『ギャラリー神栖』のツイートが一番上にくる、

あるいは『新しいツイート』の表示欄に

『ギャラリー神栖』の『モナリザ』のアイコンが

必ず出てくるようになった。


 つい、ツイートを見てしまう。

 「まただ」


 今朝、和正は、

焼いた食パンにレタスとロースハムを挟んで食べた。

 『ギャラリー神栖』の朝食ツイは、

焼いた食パンにレタスとハムが挟んであり、

対角線で三角形に切ったサンドイッチの

写真付きツイートだった。

 つい、『いいね』してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る