女王の葛藤

 木々の隙間から見える空は重たい雲に覆われている。その雲に隠れて太陽は見えないが、そろそろ沈む頃合いだろう。先のキャンプを出たのは早朝だったが、そこからかなりの時間が過ぎていた。


 山を横切る洞窟を無理に進んだせいで、シズの体力は限界だった。疲れを見せないように振る舞ってはいるが、アレクも同様である。


「今日は……というか今日も野宿ですよね」

「ああ。地図上では間もなく二番目の危険地区に入る。この森を抜けたらすぐのはずだ」

「まーたゾンビと一泊かあ……」

「その辺の道端で寝るよりいいだろ。ゾンビの近くが何より安全なんだからな」

「価値観がおかしくなりそう」


 そんな軽口を叩いているうちに木々は疎らとなり、徐々に視界が開けてきた。

 目に映るのは街並みの跡地。ほとんどが廃墟と化していて、昨夜泊まったゾンビの巣窟とよく似ている。


 しかし、こちらには大きく違う点があった。


「あれは……人、ですよね」

「みたいだな」


 ゾンビの活動が活発になる夜が迫る時間帯にも関わらず、街には人影が見える。それも一人や二人ではない。活気がある、とまでは言いがたいが、窓の灯りから少なくとも複数の世帯が暮らしているのは明白だ。


 地図に記された情報が古いにしろ、一度危険地区に設定された場所が復興するのは極めて珍しい。

 そんなことが起こるのであれば——。


「誰か、もしかしたら……が訪れたのかもしれない」


 アレクの言う『主人公』という存在がどのような影響力を持つのか、シズの想像はまだ具体的なところまでは至らない。


「あなたが言っていたゲームに出てくる人、ですよね?」

「そう。もちろん僕の知るところじゃない無名の勇者達も数多く存在はするだろうが、街一つ救うとなると相当のカリスマ性が必要だ。となると何かしらの主人公か、それに類するプレイアブルキャラクターが関わっている可能性は充分に考えられる」


 シソウで出会ったのがシズだったことを考えるに、アレクが知る人々キャラクターは必ずしも各々のオリジナルシナリオで通るマップ上のみを動いているわけではなさそうだ。

 つまりここを通った具体的な人物が誰であるのかの確証はない。けれども誰であれ、確認するだけの価値はある。


「宿探しのついでに聞き込みに行こう」


   ◎


 レストランらしき施設にて。

 まずは聞き込みを兼ねて食事をしよう、と二人の意見は合致した。


 突貫工事の形跡がありありと残る手作りの看板は外装に比べて真新しい。最近なんとか営業を再開した、という感じだ。

 開け放しの扉をくぐると、文字どおりそのままの意味で荒れている内装にも関わらず、先客もちらほらと見える。


 店内隅の小さな席に座り、二人は手書きのメニュー表の中から適当に数品を選んだ。適当に、と言いつつもそもそも品数が少なく、選択肢はあまりない。


 しばらくしてパンとチーズの盛り合わせ、鶏肉のソテー、ハーブティーなどが運ばれてきた。このところは保存食ばかりだったので、質素でも作りたてのものが食べられるのはありがたい。

 二人はしばし無言で目の前の料理を口に運び、十数分もすれば狭い机に空いた皿を積み重ねていた。


 食事を終え、アレクは皿を下げに来たいかにも学生バイト風の若い店員にとびきりのスマイルで声をかける。


「すみません、この街は初めてで。お伺いしたいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」

「はい、何でしょう」

「この街、僕……えっと私たちの持っている地図では、危険地区とされていたのですが、いつ頃復興を?」


 ほらこちらです、といつの間にかフレスクで買った地図を広げているあたり用意がいい。男性店員はそのページをちらっと一瞥すると、今度はアレクの顔をじっと見つめて頷いた。


「ああ、そうですよね。いらっしゃる方、だいたいご存知ないようで。今のような状態になってからは、たったひと月ほどらしいですよ」

「まぁ! 本当に最近なんですね〜」

「いやあ、まだ色々と片付いてなくてすみません。ゾンビに荒らされて、この店もやっと営業ができるようになったばかりなんです。あ、一応衛生検査はクリアしてますからご安心くださいね」


 店員は完全にシズなど眼中にないといった様子で、アレクに向けて早口で捲し立てた。どうやって廃屋を改装したのか、だとか。初めてこの店の惨状を見た時の絶望がどうの、とか。


 話が逸れはじめたので、アレクはやんわりと方向を修正すべく、可愛らしく潤んだ瞳で店員に尋ねた。


「でも、どうやってそんなに増えたゾンビを綺麗に駆逐したんですか?」


 レストランリニューアルドキュメンタリーに興味はない、とでも言うように。アレクの瞳の奥が全く笑っていないことにシズはもちろん気付いている。

 一方の店員は美少女相手に気が緩んでいるようで、愛想笑いの裏で苛立っているということは分からないようだ。


「ゾンビを倒す方法、私すごく興味があるんです〜」

「分かります、気になりますよね! 私も半月ほど前に身内の手伝いで移住した身ですから詳しくは知らないんですけど。で、この店が再オープンした初日には——」


 チッ、とアレクは心の中で舌打ちした。声に出てはいないが、その感情はとりあえずシズには伝わっている。


 このままだとドキュメンタリー第二章が始まりそうなので、アレクは店員の話に付き合ってやるのをやめることにした。


「誰か、復興の経緯を知ってそうな方に心当たりは?」

  もう夜だし、疲れているのだ。率直に欲しい情報を手に入れたい。


「私たちの地元も間もなく危険地区とされるのでは、という状態で。現状を打破できる勇者様を探しているところなんです〜」


 嘘はついていない。

 地元、という語句がこの世界すべてを指しているというだけである。


「そういうことなら、話を聞くのにぴったりな方がいますよ」

 店員はそう言うと、現在この街で事実上代表となっている人物の家までの行き方を簡単にメモにまとめた。隅にしっかりと自分の連絡先も書き残し、アレクに手渡す。


 簡潔に喋れるなら初めからそうしてくれ、と喉の奥から漏れそうな本音を抑え、アレクは会釈をおくる。


「ありがとうございます〜。お忙しい中、お手数をおかけしてすみません。まだまだ生活は大変だと思いますが、お仕事頑張ってくださいね!」

「こちらこそ、そのように言ってくださるなんてありがとうございます! 少しでもお嬢さんの故郷の助けになれば嬉しいです」


 店員が去るのを確認し。

 シズは周りに聞こえぬよう、アレクにそっと話しかけた。


「……さっきの喋り方、何なんですか? いつもと比べて妙に媚びてるというか、聞いててなんか落ち着かなかったんですけど……」


 向かいに座るアレクの顔には先ほどまでの穏やかな微笑みはない。いつもの、妙に大人びて皮肉めいた表情に戻っている。


「あのな、このテンションで話しかけてみろ。上から目線が過ぎるだろ? 仕事なんて楽しいもんじゃないんだ。笑顔を作って働いている人間には基本的に優しくしてやれ。客の良し悪しで今後同じ業務をするにしてもモチベーションとストレス値が大きく変わるんだから」


 なんて経験談はさておき、とアレクはもらったばかりのメモを示す。

 付近の地図だとは思うのだが、道も建物もまともなものが少なすぎるので、ほとんど白紙に近い有様だ。書かれているのは情報を知るだろう人物の家の特徴くらいのものだった。


   ◎


 街の代表者はこの辺り一帯の地主らしく、聞いた情報がなくても分かるほどに大きな家に住んでいた。

 街が廃墟となる前にはそれなりに豪華な屋敷だったのだろう。今はまだ修復の途中のようだが、他の民家と比べるとかなり綺麗な状態だ。

 玄関にて出迎えてくれた使用人に先程と同様の説明をすると、二人はそのまま館の主人に取り次いでもらえる運びとなった。


「何もない街ですがようこそ。遠いところからいらしたのですかな? どうぞこちらへ」

 応接間に通されると、杖をついた穏やかな男性が待っていた。客人の訪れを心から嬉しく思っているのが伝わってくる。


「どうも、お忙しい中お邪魔してしまい申し訳ございません」

「そんなに畏まらなくともいいですよ。お二人もこれまでの道中、苦労もあったかと思います。わざわざ訪ねてくださってありがとう」

「恐れ入ります〜。ご迷惑でなければ、この街の復興についてのお話を伺っても?」

「ええ、喜んで。我々としましても、是非かの兄妹のことを語り広めていただきたいですから」


「——ですか」


 アレクの表情がわずかに強張る。おそらく気付いたのはシズだけだろう。

 相手は変わらずにこにことした親しげな笑みをこちらへと向けている。


「はい。なんでもZCAとかいうところの職員の方だそうで。いやぁ、素晴らしい手際でしたよ。銃弾の雨……いやあの威力は霰か雹かといったところでしょうかね」

「その方々の使用武器は銃、ですか」

「そうですそうです。こう、お兄さんの方がさっとハンドガンやらライフルやらを構えてね、撃ちまくるんですよ。私どもはというとその間妹さんの防御結界で守ってもらうだけで、何もできずに見ていたわけです。思えば手伝いなんぞ元々必要ではなかったんでしょうな」


 話によると。

 かつてクラック、と呼ばれていたこの街には数年前からゾンビが急増し、早い段階で危険地区と認定されていた。当時の住人達のほとんどはすぐに家を捨て、離れた土地に移住したという。

 街の近くに残った者は定期的に自宅付近の様子を見に街の入口付近まで戻り、そのまま遠巻きに眺めて仮宿へ帰るのが常だったそうだ。


 その日々を終わらせたのが対ゾンビ特別対策局、通称『ZCA』の局員を名乗る男女、ダンフェ兄妹だった。


 彼らは街の端にあった比較的損壊の少ないバー跡地を拠点とし、そこからゾンビを駆除していった。

 曰く、危険地区とされている地域の中ではゾンビの個体数が比較的少なく、難しい討伐ではない、と。

 そして実際にその発言どおり、わずか数週間で街に人が住める状態になるまで敵を制圧したらしい。


「本当に助かりましたよ。ギルドを通して勇者募集の依頼もしていたのですが、ほとんどの財産は街に置き去りで取りに戻れず。手元にあったものを前金として提示してはいたのですが、以前頼んだパーティに一度それを持ち逃げされましてね……再募集の際には誰も集まらず……」


 小規模とはいえ、対象地域は街一つ。ボランティア価格で討伐を引き受けるような実力と崇高な精神を持ち合わせたパーティはそうはない。


「その兄妹というのは、そんな条件でもクエスト引き受けてくれたんですね」

「と、いうよりですねえ。そもそも、募集自体を知らなかったんですよこれが。単に近くを通りかかった際にこの街の現状を聞いて駆けつけた。ただそれだけだそうで」


 街に戻れるようになれば必ず報酬を支払うので駆除を頼みたい、と告げると。

 二人はこう答えたという。


 ——謝礼に関しては滞在中の食費負担と討伐内容に関する調書への協力で構わない。成功報酬は実績を本部に報告すれば支払われるので必要ない。

 だから、その金は街の復興に使うべきだ。


「いくらもらえるのかはさすがに聞きませんでしたが、その高潔さに我々は心を打たれました」

「それは素晴らしい方々ですね〜! 私も感動してしまいます! ね?」


 アレクは胡散くささに疑いの目を向けているシズを小突く。ここで相手の機嫌を損ねたくはない。


「その方々は今どちらにいらっしゃるんでしょう? 是非とも直接お会いしてみたいものです〜」

「さて、あれからひと月経っていますから詳しくは私には分かりませんが……確かマイナキアの方へ向かっていたはずです」

「——そうですか。マイナキア……」

「ええ。大きな街ですから、もしかしたらまだ滞在していらっしゃるかもしれませんよ」

「そうであればいいですね。本日は宿を探して、明日には急ぎ向かおうと思います。本当にありがとうございました」


 深々とお辞儀をするアレクと倣うシズ。

「ちなみに宿はもうお決まりですかな? もしよかったら、うちの客間にでも泊まっていください」


 そのまま館を出るつもりだったが、こう誘われては断る理由は特にない。二人は厚意に甘えることにした。


   ◎


 充てがわれた部屋に入ると、シズはすぐにソファに腰を下ろした。主人の気遣いにより別室に通されたのでアレクは傍にいない。


 室内を見回すと、埃っぽさは残っているが調度品などは上等なものであるとすぐに分かる。今座っているソファにしても、借りることになるベッドにしても、シズにとっては贅沢すぎる品に思えた。


「なんだか広いな……」

 思えば、実家の自室以外で独りの寝泊まりは初めてかもしれない。子供の頃は父親が、旅に出てからはかつてのパーティメンバーが共にいた。


「元気かなぁ、みんな」

 特に、パーティリーダーだった友人はあれからどう過ごしているのだろうか。


 自分を追放した男ではあるが、そもそも彼に誘われなければシズは勇者として旅に出ることはなかった。彼に見限られなければ自らの能力に気付くことも、アレクという新しい仲間に出会うこともなかった。

 そういう意味では、裏切られたという悔しさは残っても彼を憎むことはできない。


 独りで部屋にいると気楽だが、これまでの仲間達との日々が思い出されてなんだか物寂しかった。あまり、こういう気分でいるのは良くない。

 気晴らしにアレクの部屋でも訪ねようか、と立ち上がろうとした矢先にノックが響いた。かと思うと扉が開いた。


「邪魔するぞ」

 そんな気はしていたがアレクだった。


「ちょ、いきなり勝手に入ってこないでくださいよ」

「ノックはしただろ」

「形だけはね? 着替えでもしてたらどうするんですか」

「大丈夫大丈夫、男の裸を見たとて今更どうも思わない」

「こっちが気にするんです!」

「分かった分かった、申し訳ない。次から気を付けるからところで」


 おざなりな謝罪から流れるように続けて、アレクはいつものようにマイペースに話す。


「マイナキア、行くのやめようと思う」


「——は?」

 ゾンビと共に過ごした野宿。無茶振りされた洞窟の崖。

 数日間とはいえ、それなりに苦労はしてきた道中だった。ここまで何の為にわざわざやって来たというのか。


 わがままにも程がある、と言おうとしてアレクが神妙な顔をしていることに気が付き、シズは開きかけた口をいったん口を閉じる。

「……それは、何でまた?」


 つい先程聞いた兄妹というのに関係があるのだろう、ということは察しがつく。

 問うとアレクは頷いた。


「具体的には何の懸念が? 話からすれば強力な味方になってくれそうな人ではありますが。主人公、というのではないんですか」

「うーん……それはまあ、主人公であることに間違いはないんだが」


 この街を救った兄妹の武勇伝を聞いてからこちら、アレクはずっと考えていた。彼らと現状顔を合わせるのは得策ではないのだ。

 純粋に、アレクにとって。


 渋い顔をしたアレクの煮え切らぬ態度に、シズは困惑せざるをえない。

「彼らがあなたの言う主人公だというのなら、助けを求めるべきでは? 話を聞いただけの判断ですが、悪い人ではないんでしょう」

「……そうなんだが、善人だからこそまずいかもしれない」

「と、いうと?」


 アレクは眉間に皺を寄せ、苦い表情で口にする。

「覚えてるか、前に僕が言ったこと。僕の探す主人公の中には、魔王でなくてこの僕を敵とみなして動く奴らがいるかも、って」

「あ……じゃあ」

「ダンフェ兄妹がそれなんだよなぁ」

 頬を掻きながら、アレクはますます顔をしかめる。


「僕がゾンビに襲われない理由、言ってなかったよな。教えてやるよ。まあ簡単な話で、要は僕があいつらゾンビ達の親玉。女王にして感染源なんだ」


 アレクが前世においてプレイしていたゲームの一つ、タイトルは『バレットハウル』。

 唸る銃弾を雨霰と降らせてゾンビを倒す、アクションホラーというジャンルのものだ。


「前に話したRPGってものにゾンビはそれほど出てこない。出なくはないが、ゴブリンとかオークとか、そういう化物や魔物の一種という扱いで、そこまで蔓延している存在じゃないんだ」


 ではなぜ、この世界にはこんなにもゾンビが溢れているのか。


「答えはシンプル。僕という存在が生態系のバランスを崩すほどに奴らを生み出し、他の魔物を駆逐してしまったからさ」


 ——『バレットハウル』のあらすじはこんなものだ。

 ある錬金術師が、人造人間を生み出そうと研究する過程でゾンビを造る薬にたどり着いた。その娘は父親の発明を医療に活かそうと提言したが、世間から異端であるとされ、魔女として迫害を受けてしまう。

 世の中に対して絶望と強い憎悪を抱いた彼女は自らに薬を投与してみせたが、元々彼女の父親の細胞をベースに作られた薬は、彼女の中で進化を遂げた。

 彼女はそこにいるだけで周りの死者達をゾンビへと変え、まるで蜂や蟻の女王のようにそれらを統治することができるようになったのだ。

 村人たちは彼女を恐れて封印し、これ以上ゾンビを増やさないように薬と共にその身体を地中深くに埋めた。


 「で。その墓が現代になって暴かれてしまい、不死の妙薬というか謎のウイルスが街に広がってしまう。その女を倒して再封印するっていうのが目的で、その為に派遣されるのがさっき話に出ていたダンフェ兄妹」


 その説明で、シズはアレクの言いたいことを察した。


「つまりあなたはそのゾンビの女王である……いや、女王ということになっている、と?」

「そう。厳密には僕そのものじゃなく、僕の中のディアニータがその女を兼ねている感じだな。僕自身は奴らゾンビに敵視はされないが、操れるってほどじゃない」


 エリンとローグンに遭遇した時に確信したが、各登場人物はアレクの知るそのままにこの世界で生きているわけではないようだ。おそらく複数の作品が混じり合う中で変質したのだろう。

 実際、魔王という存在はヴェオロームしか語られていない点からも、別作品の類する存在はそれに統合されていると考えられる。


 それであればディアニータも他の作品の敵と同一視されていてもおかしくはない。


「ゾンビが増えてきたの、いつ頃からか知ってるか」

「ええと、俺はまだ子供だったから正確には知りませんが、少なくとも十年から十五年くらいですかね」

「僕、十五歳な」

「あぁ、そう……」

 アレクはうん、と軽い調子で頷く。


「そういうわけで今はダンフェ兄妹との接触を避けたいんだ。もうどうしようもない、って状況になったら考えるが。僕だってできれば死にたくないからな」


 無論、ダンフェ兄妹が全面的に協力してくれる、という展開もなくはない。けれども場合によっては、話すら聞いてもらえないまま戦闘になるかもしれないのである。

 相手はあくまで主人公、そして悪役アレクの敵対者。危険な賭けの先に過度な期待をするのは無謀だ。


 アレクの話を信じるか信じないかはシズ次第なのだが、シズが信じようが信じまいがアレクは考えを変えないだろう。


 シズとしてもアレクの希望に従いここまで来るにあたって、特に反対意見があるわけではなかった。

 確かに急いだ頑張りが無駄になるのは惜しくはあるが、そんなリスクを負ってまでマイナキアまで行くほどの状況とは思えない。


 二人は相談の末、とりあえずマイナキアへの最短ルートを通るのをやめ、近隣の別都市へ向かうことに決めた。

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