第2話 誕生日会のために
今朝作った、二種類のトーストはとても喜んでもらえた。
マヨネーズとプロセスチーズで縁を作った目玉焼きトーストに、ピーマンと玉ねぎのピザトースト。
スープは、
ひとつ下だが、懐に入ることを許してくれるととても話しやすく一緒にいて楽しい女の子。まだ二十歳前なので、女性としては扱っていない。
それが、今日で少し変わるのならば……精一杯、美味しい昼ご飯兼誕生日会用の食事を作ろうと意気込む。
怜には、
主役が飾り付け……などと思われるかもだが、料理の方がメインだ。そちらを手伝わせるわけにはいかないし、暇だからと彼女自身が提案してくれたのだ。
「ふーんふんふん、ふふーんふん」
今日、世間は休暇であるし……怜もだが、裕司もバイトは休みだ。
前もって、怜には今日にシフトを入れないで欲しいと頼んだのに、昨夜はくたくたで忘れていた彼女はまた可愛らしい。
成人となる、記念すべき今日のために……他のホテルなどに行ったりすれば手間はかからないが。将来料理人になるために勉学でもバイトでも修業を積んでいる裕司としては……今日は頑張りたかった。
調理道具も、怜の家だから必要最低限しかないが何とかなる。
包丁とかだけは、若干刃こぼれがあったので即席の砥石代わりで軽く研いだが。
「怜やん、油鍋借りるよー?」
「ほいほい! なになに?? ご馳走だから揚げ物!!?」
「今日は怜やんの好きなもんばかりだと思うぜよ?」
「ははー! 有り難きお言葉!!」
ちょっとしたことで、軽くおふざけするのも楽しい。
呼び名もだが、怜は懐に入れた相手はとことん大事にするのだ。出会った当初は大人しめの女の子と思ったが、ふたを開ければ全然違った。
そのギャップがまた可愛らしいが……顔も結構可愛いので、付き合いを一部に公表した時は上司らに色々いじられたものだ。
怜の、バイトの方の仕事内容を直接見たことはないが……猫を被る感じで接客しているので、それなりに綺麗なのが彼女の上司から教えてもらった。
付き合ってから、何度か見せて欲しいとお願いしても恥ずかしいからと却下されているが。
(……うーん、どれから揚げるべきか)
サラダとかの、冷やして美味しいものは既に冷蔵庫に入れてスタンバイ済み。
汁物も用意してあるので、裕司は揚げ物の下ごしらえを終えてから少し悩んだ。
なにせ、可愛い彼女のために三種類も用意したのである。
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