第9話 聖女(雷鳴)

 フリューエルさんたちと別れた後、俺たちは取り合えず元のトンネルを目指していた。あそこから、この山に登る登山道はすぐなのだ。

 けもの道を行くわけにもいかないし(ミシェル)、行きたくない(俺)ので、正規のルートを辿ろう(リリ姉)という結論が、相談で出た。

 だが、うち漏らしらしきゾンビが散発的に襲ってくる。

 代表的なのは、

「大人の女性の足をした老婆(病院服)が猛スピードで突っ込んでくる」

「頭が二つで、手と足の長さも二人分というわけわからんやつ」

「背中合わせに融合してる全裸の女性二人(だからって、見ても嬉しくないやつ)」

 という感じだ

 各個撃破した。全員銃装備なので、向こうから届かない位置で。

 そしてリリ姉の鎮魂の祈り。


 主よ、われみまかりし者の霊魂のために祈り奉る

 願わくは、そのすべての罪を赦し

 終りなき命の港にいたらしめ給え


 主よ、永遠の安息をかれらに与え

 絶えざる光をかれらの上に照らし給え


 祈願 すべての人の救霊を望み

 罪人に赦しを与え給う主よ

 主のあわれみを切に願い奉る


 ミシェルが感激している。 

 確かにリリ姉の祈りは、意味もなく唱えているわけじゃない。

 鎮魂の祈りでは、リリ姉の全身は淡く輝き、魂は喜色に満ちて天に昇るように見える。そしてリリ姉とその聖印からは、はっきり聖気を感じた。

間違いなくリリ姉は天帝に愛されている。

 現在、ミシェルやフリューエルさんでも、外と連絡がつかないのを考えると、異例である。ただの人間が、ありえないと言っていい。

 俺はリリ姉の聖印が、つながりを強化してるんじゃないかと思ってる。

 あの聖印にはめ込まれている、丸い翡翠はただの装飾じゃないんじゃないかな。

 それはそれとして。

 ミシェルも大分銃の腕が上がっていて、一発で仕留められる事が多くなってきた。

 それを褒めると

「複雑です」

 と言っていたが、俺が

「将来役立てるかもしれないんだから、何の経験でもしとけよ」

 と返すと、真剣な目で

「………使うでしょうか」

 と返ってきたので

「それこそ、神のみぞ知る、だろう。どの神かは知らんけども」

「どの神って!俺には天帝陛下しかいないよ!」

「いやぁ、今回のも神みたいな所から降って湧いた任務だろう?」

「それは………でも天帝陛下を通してますよね」

「実質姉ちゃんからの依頼だよな」

「うぅ………」

 やり込めるつもりはなかったんだが、なんかそういう風に話が進んだ。

「ふふふ、二人は仲がいいわね、ほのぼのするわ」

「俺もリリ姉の祈りを聞くとほっとした気分になれるよ。悪魔を攻撃する祈祷文でなかったらなんでもOK!」

「そうね、雷ちゃんは天使棟の皆の祝福を受けていたものね」


「悪魔からも人間からも受けてたけどね」

「皆雷ちゃんを思っての祝福よ。どこでもいいじゃない」

「取り合われて、ちぎれそうになったこともあったなぁ」

「あれは………高能力者の人同志だったからよ(天使婦長と悪魔婦長)」

「そんな、天使と悪魔と人間が共存している場所があるんですか?」

 ミシェルが話に入ってきた。俺が答える

「姉ちゃんが運営してる「異次元病院」は、死の間際で、周りには誰もいない。そういう人たちのところにのみ出現する。それが「異次元病院」」

「職員はみんな元患者だよ。姉ちゃんの役に立ちたい、もしくは帰るところがないって人ばっか。姉ちゃんの女性を引き付ける性質パワーで女性が多いけどね。男性もいるよ、少ないけど。」

 「そんな人たちが膨らんでいって、いつしか看護師が誕生した。天使と悪魔と人間に分かれた「棟」ができて。後、高能力者棟っていうのもある。それで姉ちゃんが院長になって、選抜されたひと―—―悪魔と人間と天使と高能力者―――から看護師長(みんなそこで勉強して、医者になれる能力がある)ができていったのさ。みんないろいろ事情を抱えてるけど、同じ経緯をたどってそこにいるって気持ちがあるから喧嘩は口喧嘩だけ」

 そんな感じ、と俺が言うと

「同じ経験をしているから分かり合える、ですか」

 といい、何故か俺を見つめてくる。

 リリ姉はふふふと笑い「仲がいいのね」という。

 いや、言いたいことは分かってる。確かに俺とミシェルの間にはなんとなくだが絆があると思う。でも、認めるにはまだ恥ずかしいのである。

 いずれ、恥ずかしくなくなったら、はっきりと言ってやろう。

 俺は話を変えることにした

「とりあえずさ、登山口まで行ったらゾンビは居ないと思うんだ『勘』だけどね」

 リリ姉が 

「雷ちゃんは、その予知能力を『勘』って言うのね。院長先生みたいに『予感』って言った方が伝わりやすいんじゃない?」

「そうかも。でもこの面子では『勘』のままでいかせてもらうよ」

「ちなみに、登山口まで行った後なんけど、別の厄介ごとがありそうなんだよ。二人も覚えといてくれ」

 それと、と付け加える

「それから、トンネルまでは、まだはぐれが出てきそうだから、気を付けてな」

 リリ姉は沈痛な顔を、ミシェルは嫌そうな顔になった。

 俺に毒されてるぞミシェル


 そうしてはぐれ異形ゾンビに遭遇しながらも―—―一部は学生だったので、名前を呼んでリリ姉が嘆いていた。―—―トンネルに辿り着いた。

 何故か山の上の方より、ここの方が空気がひんやりして清浄な気がする。

 やっぱりゾンビのせいだろうか。

「ここから左に行けば、登山道にでる。リリ姉は指だけ残して、手首と肘をテーピングしといた方がいい。指だけでも狙いさえつけられたら十分な威力がある」

「わかったわ」

「ミシェルは、短剣の刃を引っ込めて持ってろよ。柄だけじゃ何なんだか、分からねぇだろ?」

「うん、そうするよ………けど雷名」

「うん?」

「引っ込め方、教えてもらってないんだけど」

「あ」

「あ、じゃなくてさ。教えてよ」

 声がちょっと呆れている。俺が完全に忘れてたことを感じ取ったな。

「えーとだな、刃の先を持って、ゆっっくり柄に押し込むんだ」

 眉を寄せている、できないらしい

「思い切り力を込めろ、ゆっくりしか動かないはずだ」

 ミシェルの短剣がゆ―――っくりと収納されていく。

 俺は自分の短剣も柄に戻す

「で、出すときは思い切り柄を握って思い切り―—―振る!」

 ジャキンと刃が出た。

 ミシェルは真剣な顔で頷いている

 リリ姉が、思案気な顔で、

「わたしも、そういうものを持ったほうがいいのかしら」

「俺、ネットでそういうの売ってるところ見つけてさ、調べて本社と倉庫、見つけたから、ここから下りたら直接行こう。それまではこれで。」

 と、細いバタフライナイフを渡す。

 「普段は畳んでポケットにでも入れといてよ。」

「わかったわ、雷ちゃん」

 よし、準備OK、いざ登山道へ―—―


 登山道には、意外なことに結構な人がいた。主に中年以上だ。たまに若い人もいる。適当な人を捕まえて(『勘』で選んだ)

「みなさん、どうしてここを登ってるんですか?」

 と聞いてみたら

「なんじゃ、知らんのか?この先のお寺は霊験あらたかでのう、バケモノにならんように祈祷してくれるのじゃ。それが効いたと噂が流れてのう」

(えぇ~あり得ねえ)

「小僧どもも、祈祷してもらえ。最も境内はかなりの混み具合じゃろうけどな」

「はぁ………ありがとうございました。」

 引きつった顔を隠しながら二人のところまで戻って、

(………かくかくしかじかで、まずいぞ。密集下で噛む奴が出たら………)

(守り切れる気がしないです)

 とミシェル。

(できるだけの事をしましょう)

 とリリ姉。

「そういえば、噛まれるのって、私も気を付けないといけないのかしら。私、サイボーグなんだけど………」

 そういえばそうだ。リリ姉の足なんて完全に機械だもんな。そういう風に見えないように、姉ちゃんが「肌を作って」いたけど。

 マジマジと見ても人工皮膚だとは分からない。触っても弾力がある。

 これで蹴られた奴がいたら、体で「中身」を理解するかもしれないが。

「サイボーグって、歯が通るんでしょうか」

 とミシェルがリリ姉に質問する

「足と両腕と頭骸骨(脳は普通)は無理だと思うの。ボディと首だけが有効そう………」

「ならリリ姉は、その部位を守ることを最優先にしてくれ」

「ミシェルも、守ってあげてくれよ」

「はい!」


 そのまま俺たちは登山道―—―てゆーか参道―—―を登って、お寺の敷地に辿り着いたのだった。

 うわぁ、凄い人。祈祷をあげてる本堂の中には、一定の人数づつしか入れないようで、前庭にはぎゅうずめの人、という有様である。

(とりあえず異変がないかどうかだけでも確認しようぜ)

(予防とかできないんですかね)

(無理だと思うわ)

 そんなことを言っていると、びたっ!と音がした。

 何の音かと思ってリリ姉の方を見ると、首に赤ん坊が抱き着いている。

 その赤ん坊の尻には、噛みあとがあった。

 俺は即座にリリ姉から赤ん坊を引っぺがす。この赤ん坊は、すでにゾンビだ。

 リリ姉の首を見ると、小さな小さな、だが真っ赤な噛みあと。

 舌打ちする。

 この赤ん坊ゾンビを「解放」したくても、ナイフを抜くと大騒ぎになる。

 仕方なく「教え・剛力八」を発動、首の後ろの目立たないところに、人差し指を刺しこんで脳をかき回す。どばっと出血はしたが、赤ん坊の力がくたっと抜けた。

(リリ姉、この子、血が見えないように抱っこしていて)

(わかったわ。でも、小声で祈るぐらい、いいでしょう)

(OK)

(涙に満ちたこの日 人が命尽き 悲しみが満ち

 罪人の様に裁かれるとき

 どうかこの子を憐れんでください、神よ

 慈しみ深い御方よ

 この子に真の安息をお与えください)

(ミシェルはリリ姉の監視と守護)

(はい!)

(この子が噛んだのは、どう考えてもリリ姉だけじゃない。異変を探して収めて―—―チッ!先に起きたか)

 人ごみの中で、唐突に訳の分からないことを叫びだした青年、なりかけだ。

 人ごみを縫いそっちへ向かう。完璧なゾンビとなる前に辿り着けるかは、運だ。

 そして今回は運が悪かったらしい。

 青年は手近な人を噛んだ。

 俺が青年の頭部に指で「浄化」するには「教え・剛力十」が必要になる。迷わず実行した。

 青年は崩れ落ちた。ここで、ナイフを振り回すわけにはいかない。

 その時。

「キャッ、何するの」「あ、貴方まさか………感染してガブっ」「ううぃぃうええ」

 と、にわかに普通の騒がしさとは違う声がした。

 少なくとも俺には聞こえた。

「雷ちゃん、どうするればいい⁉」

 と青ざめた顔で叫んでくる。

 いつもならここは分担してそれぞれの箇所を潰していくだろう。

 だが、リリ姉の顔色は異常だ。避難した方がいい

 俺はここで短い瞑想とともに『天啓』を得た。

『教え・感性・テレパシー』を使って二人に言う。

 大声で言ったら群衆を刺激してしまうからだ

(左手の、木が茂っていて見えにくい………ほぼ見えない位置に、ここから出る通路がある。車用の登山道に続く道だ。そっちに行って、待っててくれ。俺はここの状況を、なんとかしてみる。)

 二人は頷いて左手に移動を始めた。だがそれを追うゾンビが一体。

(すまん、二人でなんとかしてくれ、手いっぱいだ)

 二人の頷き

『教え・感性・テレパシー』を解除する。

 俺は、混沌としてきた状況を何とかするために動き始めた。

「教え・剛力十」「教え・瞬足十・飛行」で、高速で飛びながら、脳天を豆腐のようにサクッと刺し貫いていった。指で、だ。

 凶器を所持していないので、周囲は突然の飛行物体にポカンとしている。

 俺は、もしかしなくても有難いのかもしれない石造の上に陣取ると

「まだ、噛まれてない人は上へ続く参道へ行って!赤ん坊の感染者もいます。足を噛まれた人も残ってください」

 群衆がわっと割れる。我先に上へ続く参道に行くものたち。状況が理解できていない者たち。なりかけやゾンビ、これはまだ数が少ない。

 仕方がないので『教え・感性十・訴え』を使う。十の威力で発現させてる能力が多すぎて、血の不足でくらくらしてきた。

 そして『教え・感性十・訴え』で訴えかけることは

「健常な人は登り登山口へ!噛まれた人はここに残って!足を噛まれた人もです!」

 これで、健常者はほぼ登り登山道に向かったとみて間違いないだろう。

 経をあげていた僧侶まで、登り登山道に行ったのはご愛敬である。

 もちろん本堂にいた「無事な人たち」も一緒に。

 ゾンビは目立っている俺を標的にしてきたし、なりかけは、奇行に走っているがこの場にいる。かなり簡単な状況を作り出したと言えるだろう。

 今の俺の力(剛力十、瞬足十)なら、ゾンビたちをサクサクと「浄化」するのもお手の物だ。

 祈りが無くて悪かったかな。ちらっとそう思う。

 そして、放っておいたら、こいつら融合とかしたんだろうか、と思って嫌になる。

 頭を振ってその予想を振り払う。

 あとは、なりかけだけ。

「教え・瞬足十・飛行」を解いていないから、ゾンビになったその瞬間に、高速飛行でサクッと行かせてもらう。

 ちなみにゾンビの中には、もう一体の赤ん坊ゾンビと、その両親らしいのも居た。

 双子用ベビーカーを持っていることからして、最初の赤ん坊ゾンビもこの夫婦からだと推測される。どこで感染してきたんだ全く―—―。

 後の事で、特にいう事はない。全ての感染者は始末したとだけ―—―。


 ~語り手・リリジェン~

 現在狂騒しだした、集まっていた群衆たちの間を抜け(かなり苦しいです)ミシェル君と一緒に、雷ちゃんの言っていた脇道に辿り着こうとしています。

 群衆からずぼっと抜けると、なるほど、上下が崖の、細い道が現れた。

 これなら、後ろから追ってこられない限り、戦闘はないでしょう。

 わたしはホッとして、ハンカチを首の傷に当てます。

 ミシェル君は心配していますが―—―。

 うん、とりあえず命の心配はいらないようです。

うまく血管を逸れて噛まれているようですね。傷も小さかったですし―—―。

 そして、幸いにも戦闘は発生せず、私とミシェル君は、自動車道に出ました。

 何と、出た先の道路沿いにはコンビニエンスストア「ぱるたん」があります。

 CLOSEの看板がかかってはいましたが。

「少し残念ね」とミシェル君に言おうとしたのですが、この言葉は

「ずごっじざね」という言葉になって、わたしの口から出てきました。

 ギョッとして私の頭の上を凝視してくるミシェル君。

 とりあえず、私の頭はすこぶる普通だという事を伝えようとして、閃きます。

 天使のミシェル君なら手話が通じるのではないかと!

 私は早速〈私は普通だよ〉と手話を行ってみます。

 ?となったミシェル君ですが、もう一回同じことをしたら分かってくれました。

「声が出ないんですか」

〈出るけど変なのよ。他に異常はない………あぁ、傷が痛いくらいかしら?〉

「う~ん、雷鳴と同じように、フリューエルさんが治してくれないかなぁ」

〈そうだったら嬉しいんだけど〉

 声を出してみようとします、あいうえお、です。

「あhlsffんふjh」わけのわからない声?が出ました。

 もしかして進行しているのでしょうか?不安です。

 今の声にビックリしたミシェル君が、

「俺、フリューエルさんに連絡してみます!」

 と携帯電話を手にした、と同時に、抜け道を誰かが走ってきました。

〈彼はゾンビですか?〉とミシェル君に聞きます。

 私には、魂を見る手段がないので、どうしても他の人に頼りがちになります。

 ミシェル君は「なりかけです」といって警戒態勢を取ります。

 なりかけは絶対回復しない、と聞いていたので私も戦闘態勢―――右の人差し指をぱちりと外しました―—―に入ります。

 そして、ゾンビになりました、という重い声を聞いて、超圧縮空気弾、発射。

 いまは声がおかしいので、祈りは心の中で―—―ごめんなさい。

 ミシェル君も黙祷をした後、再度フリューエルさんに連絡を取ろうとします。

「もしもし、フリューエルですが、どうかされましたか?もしかして、もう合流のお誘いでしょうか」

 スピーカーホン。私にも聞かせてくれようとしているんですね。

「いえ、そうじゃないんです。実は、リリジェンさんが、首をかまれてしまって。雷鳴は騒動を収めるために、後方に一人残っているので………相談できる人がフリューエルさんしか思いつかなくて」

「どういう症状なのか詳しく教えてください、もしやなりかけなのですか?」

「いいえ、喋るとおかしな言語になりますが、手話は普通に通じています。青い光もありません」

「なるほど。なりかけは、おそらく手話などという高度なことは出来ないでしょうね。普通の人間とは違うようです。恐らくは彼女が内包する聖気が、進行を押しとどめているのでしょう」

「どうしましょう」

「彼女に聖気を吹き込んであげなさい」

「どうすれば」

「キスして吹き込むというのもありますが」

「む、むっ、無理です」

「あなた、天使のくせにいやに初心ですね………」

「生まれた時から、訓練施設で育ちましたから」

「それにしても………まぁ、いいでしょう。傷に手を当てて、聖気の流れを腕に集めて、その傷に流し込むイメージです。出来なくても何回かやってごらんなさい。あと今の位置はどこです?こっちは「浄化」はもう終わっています。今は水浴びの最中なんです」

「あ、えーと羽小江山マート・ぱるたんというのが近くにあります」

「わかりました。それを目指して行きます。わからなければ、また連絡します」

「はいっ!ありがとうございました!」

 ミシェル君は通話を切りこっちに向き直ります。

「試してみていいですか?」

 と聞かれたので

〈構わない、けど痛みの範囲が広くなってきてて、幻覚みたいなものも見える。申し訳ないけど、がんばって〉

 と手話を返します。

「それでは………」

 ちょっと青くなったミシェル君が、傷に手のひらを当てる。ちょっと痛い。

 すぐには聖気はやってこなかったが、ゆ~っくりと聖気が私に流れ込んでくる。

それが傷にしみこむと、余計痛みが増す。反発だろうか。

聖気の流れが安定してきた。少しずつ痛みが引き始める。

そしてそれが、ミシェル君の出せる最高出力なんだろうなって(顔を見てたら分かります)ところまできて、私の首から痛みが消えました。

声を出してみようと思います。

「あああー、私はリリジェン。君はミシェル君」

わたしはミシェル君に向かって、親指を立てました。

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