第7話 邂逅 (雷鳴)

「ほいっ、改札!」  五分もしないうちに、俺は駅の改札でミシェルを降ろした。  途中の景色は、あまりいいとは言えなかった。家族がゾンビになっているらしく、残った人が襲われていたり、畑をゾンビがウロウロしていたり。そのどれにもリアクションを許さず俺は風のように走り抜けた。もうウンザリしていたからだ。  

 ミシェルはそうではないかもしれないが、俺はもう無尽蔵に湧き出てくるゾンビにウンザリしていたのだ。

 ゾンビ討伐が姉ちゃんのいう任務なら仕方ないのだが、『勘』は違うと言っている。

 幸いミシェルは肩の上で目を回している。


「駅に着いたぞ~。ゾンビは居ないぞ~」

 といって駅の床に降ろしたミシェルをゆさゆさ揺さぶる。

「わっ、わかった。ゆさぶるな、余計目が回る………てゆーかなんであんなに早いんだ………目まいがする………目の前が歪む………」

 とりあえずミシェルはほっといて。

 切符二枚だな。行くべきところ―――俺が見てピン!と来た所―――は「袖布衣そでふい」という駅だ。アマリカの軍基地があるところだな。

 ほい、とミシェルに一枚の切符を渡す。

「あ、ああ。ところで雷鳴、なんで袖布衣そでふいなんだ?」

「そこからさらに車で、羽小江山はおえやまのふもと迄行くんだ。ふもと迄行ったら休憩。結構ハードな道行だぞ」

 それまで言った俺は、ミシェルの耳元で囁く。

「電車ではおそらくゾンビが出る。けど拳銃を使うなよ。余計パニックになる。力的に厳しいかもしれないが素手で取り押さえるんだ。ナイフもできるだけ使うな。ほかの乗客にこっち迄脅威だと思われたら、どう厄介なことになるやら。だからこの紐を使って後ろ手に縛りあげろ」

 と、言って、特殊な素材を使った超頑丈な紐の束をばらばらと渡す。

「さぁ、電車に乗ろうぜ」

 座り込んでいたミシェルを引っ張り上げて、改札を抜け、階段を通ってホームまで行く。静かなものだった。

「この辺までは、ゾンビ被害は来てないのかな………」

「かもな。でも魂見はしっかりしておけよ。普通の魂見と同じで疲労すると見えなくなったりする可能性があるからな、体はできるだけ休めるんだ」

「わかった」

 そう言って、ミシェルはホームの椅子に座り込む。俺はまだあまり疲れていなかったが―――『血の麦』のおかげだ―――俺も座った。アレにも個数に限界があるから、大事に使わないと。

 そんなことを思っていると、袖布衣そでふい方面の電車がきた。

 俺達は、先頭の車両に乗り込む。

 ドアの上の表で確認してみると、袖布衣そでふいは七つ向こうの駅だ。

 それなりだな。何も起きないことを祈ろう。

 その祈りは五つ目の駅を経過したところで裏切られた。

「ほんっ、本日はお日柄もよくっっつつうつつう皆様におかっおかっれれれいましてはぁぁぁ」

 後ろの車両から、がらっと連絡通路を通って、ゾンビが入ってくる。何でドアが開けられるんだよ。

 なりかけじゃないのかって?たまにゾンビでも喋るやつがいてな………。

 でも、頭の上を見たら、なりかけよりずっと濃い「青い何か」がある。

 こういう奴は普通のゾンビより強いことがある、要注意だ。

 しかもこいつは、ドアまで開けた。異常個体なのは間違いない。

 今回のゾンビは駅員らしい。反対側の車両からここまで来たんなら、もう既にかなり被害が出ているはず………。

 俺とミシェルは目と目で合図を送りあった

(すぐに捕縛するか?)(それだと俺たちがヤバい奴だろう、もうちょっと待て)

 囁きあう。

 ゾンビは手と足を両方同時に出しながら、俺たちの方に向かってくる。

(俺たちを標的にさせよう。そしたらほかの人が被害にあわない)ミシェルが囁く。

(いいな、それ。正当防衛を主張できる)俺たちの思惑は一致する。

 ミシェルが声をかける

「こんにちは!いいお日柄ですね。ちょっとお聞きしたいことが―――」

 言い終わる前に、奴は行動に出た。ミシェルに足払いをかけたのだ。

 予想外の攻撃に驚きながらも「何するんですか!」と避けるミシェル。

 そのまま、掴みかかってくる。避け損ねて両肩を掴まれる。

 いや、あれは………肩の肉を引きちぎろうとしてる!

「何してんだっ!」駅員に向かってそういうと『教え・剛力五』で肩から手を引っぺがす。

「あああぁぁぁああああああ!!」

 駅員が叫んで、俺の方に殴りかかってきた。あえてそれを受ける。周囲へのアピールだ。結構痛いが仕方ない。おれはドアに向かってよろめいてドアに手をついた。

「ぷしゅー」

 は?もう次の駅についた?いや、もうちょっとあるはず………って。

 がくんっ、と、俺の背後の扉が開いた。当然バランスを崩し落ちそうになる俺。

「雷鳴っ!」

 ミシェルが手を差し出してくる。

「悪いな」

 その手につかまって体勢を立て直そうとしたとき、がぶっ………駅員の噛みつきが、伸ばしたミシェルの腕に食い込んでいた。

「何しやがるこいつっ」

 体勢を立て直した俺は、駅員を羽交い締めにする。そこで、次の駅についた。

 袖布衣そでふいまであとひとつ。

 人が全員入ったことにより、扉が閉まる。有難い。

 俺はミシェルに指示して、駅員の足を縛らせていた。俺は手を縛る。

「あの………これはいったい何?」

 新しく入ってきた、乗客のお姉さんだ。

「いやぁ、酔ってるのか何なのか、俺を殴ったうえ連れの腕にかみついたもんで、拘束して、次の駅―――袖布衣そでふいの駅員に受け渡そうかと」

袖布衣そでふいは無人駅よ?どうするの?」

「あぁ~じゃあ警察を呼びますよ!」

「そぉう?それならいいけど」

 俺は、話しかけてきた人が女性だったんでにこやかに、だが素早く応対する。

 それが終わるとすぐミシェルの所に行き腕を見る。血が流れていた。

「教え・治癒10!」

 フルパワーで治癒をかける。なりかけにはこれでも駄目だったんだが………治ってくれ、ミシェル!

 果たして、何が願いを聞いたのか、ミシェルの腕はキレイに治った。

「良し………おかしなことになる兆候もないな」

「本当に大丈夫だろうか………」

「自分を信じろよ、なんかあったら俺が処理してやるから」

 にやりと笑う。もちろん茶化してる。

 ミシェルがぷう、とむくれた表情になった。

袖布衣そでふい袖布衣そでふいです~」

 目当ての駅に来た俺たちは、駅員をひっつかんで外に走り出た。

 他にも二・三人出てきた人はいたが、すぐに改札に消えた。

「さぁ、駅員さんも成仏させてあげないとな」

「あなたに主の御心によって、光あらんことを」

 ミシェルは祈りをあげてるから、実行役は俺か、やれやれ。

 短剣でもって後頭部に刃を差し込むと、駅員さんの体が弛緩するのが分かった。

 魂は―――きっとミシェルの祈りに浄化されたことだろう。

「さて、この人は木陰に隠して」

 ついでにロープ(紐)は回収して、またミシェルに渡しておく。

「改札出てタクシー探そうかぁ」

「こんな小さい駅に、タクシーっているのかな」

「さあなあ?」

 と、のんきな会話をしていた時が俺たちにもありました―――

「エグい………」

 目の前にあるのは焼け焦げたタクシーと、胴体しかない運転手さん。

 さらに、さっき改札を降りた女性で「なりかけ」が一人。

「なりかけ」をミシェルに任せて、俺はグロイ運転手さんの方へ。

 脳天をナイフで貫いて終了。

 振り返るとミシェルも、なりかけのお姉さんを、ナイフであの世に送っていた。

 だいぶナイフの使い方を学んできたようだ。が、返り血が激しい。

 いずれ何とかしないといけないな。

 それを見ながら俺は、タクシーがまだ動くか確かめていた。

 幸い、機器類から出た炎ではなく、単なる内部からの放火。

 まだまだ動きそうだ。

 もっとも、内装が焼け焦げているので、乗り心地は最悪であろうが。

「行くぞ、ミシェル」

「え、これ動くの?」

「動く。それに俺の『勘』もタクシーで行くって言ってたし、これでいいと思うぞ」

「すごいタクシーだなぁ………」

 呆気にとられているミシェル

「俺もこれはないわぁ、とか思ったけどしょうがないだろ」

「了解、これに乗っていこう」


 しばらく行くと、アマリカの軍基地の近くまで出た。見晴らし良く、軍の演習場まで見える―—―見えるんだが、異質なものも見えてしまった。

 パニックに陥ったアマリカ軍の人が機関銃や普通の銃、銃剣でゾンビに対抗しようと必死なのだ。

 だが彼らには弱点―—―脳―――が分かっていない。体中に穴をあけてもゾンビは動く。稀に頭にヒットして動きが止まったので、こつを吞み込み始める軍人もいないでもなかったが。

 これらは別に異質なものではない。

 異質なのは―—―踊るようにゾンビの脳天を踵で割り、巨大な中華包丁のような剣を横なぎに薙ぎ払っていく、銀のボディスーツに銀の髪、銀の瞳の麗人。そして格闘技の達人という感じで、拳のカイザーナックルでゾンビの額を一撃しては沈めていく格闘家。金の長い髪に、紅い瞳だ。

 この二人はおかしい。まき散らされる弾丸が当たる様子がない。

 というか、当たる、と思うのに、くいっと弾丸が軌道を変えてしまうのだ。

 この二人はもしかして………そう思った瞬間『勘』が閃く。

 この二人は味方だ、と。

 俺は『教え・観測』を発動。これの効果はミシェルにも与えられる。

「ミシェル、あの二人………見えてるな?」

「うん、凄い。動くたびにゾンビを浄化してってるみたいだ」

「それだけじゃないだろ。弾丸が避けてってるぞ」

「あ………本当だ。あれ?魂………あの銀色の人、同族⁉そうだ、たしかソルジャーの部隊長の一人!」

「もう一人の男は俺のお仲間っぽいな、声をかけよう」

「分かった」


「すみませーん!天使と悪魔のタッグの人たち!話がしたいんですけど!」

 と言ったら

「今余裕がありません!軽減してくれる気があるのなら先に手伝ってください!」

 と、天使の方にそう言われてしまった

「けど俺たちじゃ弾丸に当たります!」

 確実に当たる。

「『超能力・念動・空間歪曲』の効果をあなた達にもかけます。銃器だけでなく他のものもある程度逸らしますが、あくまである程度なので気を付けて!銃弾は確実に逸らしますから!」

 わずかに歪んだ空間が体の周りを包んだことが分かった。

「やれやれ、ここまでされたら手伝うしかないか」

「俺、頑張るよ………先輩みたいにはいかないけど………」


 そしてアマリカの軍基地内の掃討作戦が始まった。

 入り口近くで、フェンスをよじ登ろうとしていた数体を始末した俺は、

「どこか行ってほしいところはありますか⁉」

 と聞く

「生存者を確保して、垂直離着陸機の中に放り込んでいってください!それと垂直離着陸機の燃料を出来るだけ多く確保してください!ここから一番近くて住民の少ない島に送り届けます。生存者たちの中から操縦が出来るものを選抜して!」

「銃を乱射してるのは、気絶させていいですか⁉」

「仕方ありません!でも、説得できる人は説得してくださいよ!」

「あとお姉さん、指揮官の名前は把握しておきたいので、教えてください」

 ちょっと呆れ気味の口調ではあったが、教えてくれた

「フリューエルです。悪魔はエルを除いてフリウと呼ぶといいですよ」

「分かった、フリューエルさん。こだわりは無いんだ。綺麗な名前だね」

 そう言って、俺とミシェルは生存者の確保に乗り出した。


「よし、隠れてるんでない限り、全ての生存者は回収したな」

 止めてあった垂直離着陸機は四機。本当は六機あったらしい。

 残る二機はパニックを起こした連中が乗って行ってしまった、と正気の連中は言う。

 ないものは仕方ないので、それぞれに二〇人弱を乗せた。

 パイロットも何とか確保した。

 そのうちの一人が、もうちょっとで噛まれるところだったので、ひやひやしたが。


「お疲れ様です。こっちも全て解放し終えました」

「あれだけの数を、こんな短時間で………」

「あれは邪悪な力で操られているだけの体。動きには法則があり、また体の欠損のせいで、それによる隙があるのです。それに私たちの体は、ガイアの限界を超えて動かせますから」

 そして、ああ、と呟いて

「弾避けを解除しますよ」

「有難う御座いました、えと、フリューエル様」

「同士なのですから、様は要りません。先輩あたりにしておきなさい」

「はっ、はい」

「それと、浄化がひとまず終わっているので機嫌の悪いこっちの悪魔は――――」

「ヴェルミリオン。戦魔だ」

「私はヴェルと呼んでいます」

「よろしくな」

 ………差し出した右手を掴むとギューッと握ってくる。このままだと折れるだろうが―—―俺はさっきまで使っていた「教え・剛力五」が残っている。

 相手の指を押しのけ拮抗し、さらに振り払った。

「ほう」

「ごほん、ヴェル、さっそくそういうことをやらないでください。私たち二人組同士の間でも誓いを交わしておきましょう。私たちの誓いから『バディとして行動する』を外したものと同じでよろしいですね」

「チッ、好きにしろ」

 と、ぷいと向こうを向いてしまう

「俺に対しては、さっきと同じような対応でかまわないぜ」

 俺が肩を叩くと、ヴェルミリオンがにやりと笑い

「話が分かるじゃねぇか」

 と言ってきた

 俺は改めて握手し―—―かかったままの『教え・剛力五』で思い切り握る。

 もちろんヴェルミリオンも力いっぱい返してきた。

『教え・剛力』を十にする、ヴェルミリオンの手がつぶれ始めた。

 目を丸くしたヴェルミリオンは怒るでもなく、

「すごいなお前。これが終わったら戦闘しようぜ」

 と言ってくる。俺はヴェルミリオンの手を『教え・治癒』で治しながら、ぐっ、と親指を立てた。いいぜ、と。

 なんとなくこいつ《ヴェルミリオン》と絆ができた気がした。

 そして、誓いは結ばれた。


「さて………この後どうしましょうかね。救済を続けていくのは確かなのですが、私たちで星中の救済をするのはさすがに無理です。あと、さすがに疲れてきました」

「まぁ………休みは必要だな」

 と、認めるのが嫌そうなヴェルミリオン

「一緒に来ない?俺、いわゆる第六感―――『勘』に従って移動してるんだけど」

「どの程度正確ですか?」

「絶対能力と同じぐらい」

 この人のレベルなら、絶対能力の事も知っているだろう。

 超高能力者のみが持つ、必ず効果を表しその障害全てを打ち払って見せる、特殊能力の最上位版。例えば「絶対命中」や「絶対防御」や「絶対結界破壊」など。

 それと同じだけの第六感―――勘とだけいっている―—―を持つと告げたのだ。

 そう言うと、フリューエルさんは、俺に握手を求めてきた。

「わたしは『超能力・真眼』を持っているのですが、ガイアでは触らなければ分かりません。触らせてもらえますか?」

 俺がOKすると、彼女は軽く精神集中したようだった。

 ただ、多分今俺にかけられたのは真眼ではないと『勘』がいう。何だったのか?

「それでは判断をお願いします。私たちもあなた方と一緒に行動すべきですか?」

 あっさり認められたうえ、判断を仰がれた。少しビックリである

「わかった」

 と答え、俺は精神集中する。『勘』はともに行動した方がいい、と告げている。

「一緒に行動しましょう。どのみち俺たち、休めるところに向かう途中でしたし」

「それは、ありがたいですね。分かりました、同道しましょう。こちらには六人乗りの車があるので、それで向かいましょうか?」

「コゲたタクシーよりは絶対マシ」

 黙ってこっちの会話を聞いてたミシェルがぼそりと呟く。

「おまえそんなに嫌だったのか?」

「血の匂いが染みついてたじゃないか」

「あーそれはスマン。俺ヴァンパイアだから気づかなかった」

「それで、平気で乗ってたのか………」

 俺たちのやり取りに、フリューエルさんが

「それに乗るのはやめましょう。気分が悪くなるかもしれませんから………まぁ、私は大丈夫ですけど………ですがそれを言うなら私たち二人と一緒で大丈夫です?髪と顔にだいぶ血を浴びましたよ」

 確かに、ボディスーツは超撥水性なんだろう、無事だ。けど髪や顔に血がこびりついている。

 フリューエルさんは、刃になってる踵に、色んなものがこびりついている。

「あなた達もたいがいの格好になってます。病院のお風呂を利用しましょう」

 それはナイス。

「今の格好じゃ、ミシェルが一般人にドン引かれるかな。俺は真っ黒だからともかく、白かったミシェルの格好が酷い。短剣の使い方を考えるにしても限度があるからなぁ」

「入院患者の着替えを借りなさい。私のはサイズが合わないでしょうから」

 とフリューエルさんがミシェルに助言している

 そして、死屍累々のフロアを抜けて―――これ全部二人で殺ったのか、すげぇ―—―俺もできるけど、絶対に途中で投げ出している。ミシェルは体力的に持たないな。

 フリューエルさんの使命感と、ヴェルミリオンの戦闘意欲の賜物だな、これは。


 そして、風呂が二つ並んでる通路に出た。

 フリューエルさんによると、病院の地図は把握済みだそうだ。

『超能力・精神感応』で、情報を流し込んでくれた。

 その際、頭の上の青いのは正確には「魂封印具」なのだと知った。魂を捕えるほどに青くなるのだと。だから魂の大小でも見え方が違うが、それでも「なりかけ」よりは格段に青く輝くのだ。

 おそらく「侵略者」は魂を集めて何かしようとしている、というのがフリューエルさんの見解だった。体に魂を宿らせていないだけで、セットにしているということは、体にも用があるかもしれないが、それに対しても「解放」は有効だろうとのこと。

 一気にカタがつけられる方策も模索していきたい、ということだった。

 さっきフリューエルさんにかけられたのは真眼ではなく精神感応だったのではないか?まぁ、やましいことはないから、どっちでもいいんだけどな。

 二人づつしか入れないため、待ち組二名は着替えを探すことに。

 俺は着替えは要らない。ケープがいっぺんすべて吸い込んで外に排出したからな。

 ただその際、ケープは血を有害物質、と判別していた、どういうことだろう。

 まぁ、そういうことで、先にフリューエルさんとヴェルミリオンの二人に入ってもらって、おれはミシェルに付き合うことに。

「血が見えにくくなる服を選べよ。今後、交戦は避けていくつもりだけど、当然戦わないといけなくなる局面ってあるだろうからさ」

「避けるのか?見えてるところぐらい、頑張らないか?」

「この基地みたいなところでもか?」

「それは………無理があるだろうけど、二人で行けるところはいきたいんだ」

「まったく、お前は………天然だよな。あくまで俺がバディか」

「違うのか?」

「いや………それでいい、お前の言う通り、無理のない範囲で「浄化」に付き合ってやるよ。さぁ、服を探そうぜ」

「本当か?雷鳴はもう厭戦気分なのかと思ってた」

「そうだよ、でも、おまえが「浄化」したいなら付き合ってやるつってるんだ」

「………ありがとう」

「いいから、服探せ」

 照れ隠しだ。俺が、男にこんなに感情移入するとはね。親友の精霊(男)以来だな。

 時間はかかったが、服は見つかった。

 黒に近い赤のトレーナー。ストレッチタイプの黒いズボン。ついでにスポーティなキャップ。

 大分充実した装備になった。でも風呂には入ろうか、という事で風呂エリアに帰還。二人はすでに着替え終わってた。

 交代で中へ。

 疲れた後の風呂は、いいなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る