推し活は推せるときに

俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き

推し活

「う、嘘だろ……!!!」


俺はパソコンに映し出されたメールの内容に、膝をついて嘆いた。


それは俺がずーーーーっと推してきたアイドルの運営からのメール。


ファンクラブナンバー3番。総貢ぎ額2位の俺だから、運営が発表するよりも前にお知らせしてくれたらしい。


そこまではいいんだ。特別優遇なんて嬉しいに決まってる。


ただ、その内容がこれでなければ……。


「もう一度見よう……。もしかしたら、見間違いかもしれないからな。うん。」


俺は顔を上げ、マウスを動かしてカーソルを持っていき、再読込してからメールを見る。


『いつも応援してくださるファンの方へ。このメールは特別な会員様限定で配信しているので、中身などは一切口外しないようにお願いします。この度、私共『777ナーナーナー』は解散することとなりました。長い間ご愛好いただき誠にありがとうございます。今後とも残りの時間は短いですが、応援していただければ幸いです。』


…………変わらない……よな。


高校のときに出会い、ひと目見てその魅力に惹かれた。


それからはずっと777の曲を聞いて登校し、辛い受験期でも777を見て頑張った。


大人になって仕事がきつくても、777がいたら頑張れた。


なのに、そんな俺の支えたる777が解散だなんて……!!


途中にメンバーの一人が未成年喫煙で捕まり、メンバーが6人に減ったときも、彼氏とできちゃった婚発覚でメンバーが更に減ったときもずっと、ずっと応援してきたのに……!!


誰かを推すわけでもなく、ただ777を推し続け、握手会などにも毎回顔を出すが、無駄なことをせずただただ感謝を伝えるだけの善良なファンの鏡だと自負していたのに。


なんで、なんで……!!!


「クソォッ!!!」


俺はもう我慢できず、冷蔵庫からビールを取り出して一気に煽った。


程よい苦味と炭酸が現実から目を背けさしてくれる。


「はぁ……」


俺は大きくため息をついたあと、とあることを思った。


「推しは推せるうちに推すべきだな……」


解散までの残り少ない時間。

せめて、777の姿をこの目に焼き付けて、お金もたくさん払おうと思うのであった。

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