第42話 選択肢19ー2「なぜ、私を恐れないのですか?」※BLルート※(38話選択肢より)

「なぜ、私を恐れないのですか?」


私は思い切って、クライヴに尋ねた。


「どうして、僕が君を恐れる必要がある?」


「それは……私が、あなたを傷つけたからです」


「……」


クライヴはカップをソーサーに置き、席を立つ。

その一連の動作が美しく、私は一瞬、彼に見とれた。

……クライヴに見とれることがあるなんて、以前の自分なら、考えられなかった。

きっと、私は、何も見えていなかったのだ。彼のことなど。

クライヴが私に歩み寄る。

……私は、咄嗟に後ずさった。


「……恐れているのは、僕ではない。君の方だ」


「っ!!」


「なぜ、君は僕を恐れる?」


「……」


「今、なぜ、僕から距離を取った? 答えよ」


クライヴは、私の目を見つめて命じた。


「……もう二度と、傷つけたくないからです」


私はクライヴの視線から逃れるように顔を背けて、答えた。


「傷つける? もう、強引な性交はしないということか」


「はい。もう、二度と私は……っ」


そう言いながら、私の脳裏には、クライヴを犯した時の痴態が浮かんでいる。

鼓動が速くなる。

……身体が、熱くなる。


「……」


クライヴが私に近づいてきた。

私が彼から距離を取ろうとすると、腕を掴まれてしまう。


「放してください。クライヴ様。どうか……っ」


腕に、クライヴの熱を感じる。

彼と繋がったあの時の熱が蘇って、息が苦しい。


「君が僕に命令するのか」


「申し訳ありません。ですが……っ」


クライヴは、私の腕を掴んだまま、別の手で私の胸に触れた。


「鼓動が速い」


「離れてください。お願いです」


「……」


クライヴは、私の腕を自分の方に引き寄せた。

私は思わず、クライヴを見る。

クライヴは、私の手を彼の胸に当てた。

手のひらに、クライヴの鼓動を感じる。


「今、僕が何を考えているかわかるか?」


クライヴの鼓動は、私と同じくらいに速い。


「……っ」


クライヴは焦れたように、私の腕を強く引いた。

思わず、身体が傾く。

その直後、唇に、クライヴの唇が触れる。


「っ!?」


「……っ」


クライヴは私から唇を離して、挑むように私を見た。

紅潮した頬。唇に、残る熱。

……耳に、私を律していた糸が切れる音を聞いた気がした。


ああ。そう、言い訳だ。

クライヴの口づけのせいにして、今まで自分を律していたのだから、と言い訳をして。

言い訳をしながら、私は、自分の欲望に呑まれようとしている。


かすかな良心が、まだ、押しとどめているけれど、我慢が長く続かないことは、わかっている。

早く、一秒でも早く、この部屋を出るのだ。


「君を思い浮かべて、自分の指を入れている。夜ごと、あの時のことを、僕は思い返している」


「クライヴ様……っ」


「君は、今、何を……。んん……っ!!」


クライヴの隠微な告白を聞いて、私は、もう、自分自身を止められなくなる。

欲望のままに、覆いかぶさるようにしてクライヴの唇を奪って、吸いついた。


「ちゅ、ん、ふ、ちゅ……っ」


夢中で唇を重ね、そして、熱くなった下半身をクライヴにこすりつける。

クライヴは私の首に腕を絡めた。


息が苦しくなって、やっと、互いに唇を離す。

息を弾ませながら、互いに視線を絡めた。


もう、止められない。

……止まりたくない。


「ベッドに行きたい。……いいだろう?」


甘えるように私に触れて、クライヴが言う。

私は肯き、彼を抱き上げた。


「……」


クライヴは、私の胸に頬を触れさせた。

……彼の身体は、女性よりは重いだろうが、運べないというほどの重さではない。

男としては、華奢な身体と言えるのだろう。


「……」


私はクライヴを抱き上げたままベッドに歩み寄り、彼をベッドに横たえた。


「君から脱いで」


クライヴが私を見つめて、甘い声で命じる。

私は……。


選択肢20

1クライヴの命令に従う※BLルート※(次へ/鳥籠の鳥【男主人公編】42話→ 鳥籠の鳥【男主人公編】43話へ)


2クライヴの服を脱がせる※BLルート※(鳥籠の鳥【男主人公編】42話→ 鳥籠の鳥【男主人公編】44話へ)

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