第37話 選択肢24ー1答えられない

答えられなかった。


「……」


リリィは悲しげに私を見つめている。


「ごめん」


「……いいの。でも、カードは返して」


「嫌だ。君に会えないのは、嫌だ」


「わたしたち、もう、これ以上は会わない方がいい」


「……」


「カード、どこに入っているの?」


私はカードをしまっている場所を口にした。

リリィはそこからカードを取り出す。

そして、私から離れた。

……リリィがゆっくりと、薄布の向こうに姿を消す。

その直後、案内係の男が部屋に入って来た。

そして、案内係が私の手錠を外した。


「お楽しみいただけたでしょうか?」


彼の問いかけに、私は無言を貫く。


「では、館の入り口までご案内致します」


案内係は私の言葉を待たずに、言った。

私は彼に従う。

あの時、すべてを捨てて、リリィの側にいると言えたらどうなっていたのだろう。

悔やんでも、時間はもう、戻らない……。


【END22 リリィだけを選べない】

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