瀬織津姫命とパンドラの箱





仏法を学ぶことで、自分が親を選んで生まれたこと、過去の因縁が循環していることも理解した。


ひどい仕打ちを受けたとさえ思うことすらも、過去世(前世)の自分が恐らく招いてしまった宿業である可能性も理解した。


更に魔に対峙する為に、生まれた環境すらも全て仕組まれたスパルタ教育だったと天照様から神託を受けていた。


その業を解消するために、今世で体験していることも理解した。


因果応報という言葉通り、巡ること。


そしてその学びに気づかない限り、人生の課題として先送りされた問題は何段階もハードルを上げ、再び課題としてやってくることも理解した。



私の心の動きに重要な気づきを与えてくれる存在がいた。


神道の大祓い祝詞にしか現れない神、瀬織津姫だ。

我々は天照様の荒御魂として知り、別人格の同一神と認識している。


罪穢れを流してくれる瀬織津姫。

初め現れた時、綺麗な川に花と葉を流して欲しいと託され、その後頻繁に神託の言葉を伝えてくれた。


そして中でも印象的なのは、【プリン】である。

ある日突然、どうしてもプリンが食べたくなり、毎日のようにプリンを食べた。


瀬織津姫はプリンが大好物の様で、しまいにはグループラインに『プリンは飲みものでしてよ』と綴っていた。


降りる神様によって異なる嗜好品。


月詠様は発泡性の日本酒が好み。


天照様はジャンクフードやチョコレートに興味を示していた。

「酒ならなんでもいい」と話し、「力をつける時は日本酒だな」とも語っていた。



そんなプリンブームも半年が過ぎようとしていた時、突然気づいた。


それは私が思い出すきっかけとなり、自分の感情を流すことを目的としていたのかもしれない。


幼稚園の時、お友達を家に招いて誕生会をしてもらったことがあった。

その時プリンの上に、母が生クリームをデコレーションしたものをみんなで食べた記憶。


それはまさに、母の愛情を感じ本当は愛されていたのではないかと、思い直すきっかけとなった。


これまでの母の言動や行動は、貧しい家の出である母が裕福な本家に嫁いだからこそ、必要以上に世間体やお金に執着し、そのコンプレックスからくる反動であったのではないかと思う様になったのである。


その姿は、経文御抄に説かれる「餓鬼道」そのもの。


金銭に執着すればするほど自分を見失い、束縛された魂はエンドレスで追い詰められだ結果だと思えたのである。

だからこそ自己中心的な思考しかできず、相手の感情や思いにも寄り添うことができなかったのではないかと初めて、客観的に受け入れられた。


トラウマは封印していた感情。

傷つき辛かった、幼き日の私。

触れることができない怒り。


しかしトラウマに心の大部分を捕らえられているからこそ、苦しく晴れない闇。

それは日常生活に影響を及ぼす。


相手を変えられることも、過去を変えることも出来ない。

しかし自分の中の想いとして向き合い昇華させることで、乗り越えられる事があるのだと、私は長い時間をかけて理解した。



そんな思考に至る前、桜井が読経していた時に視えたのは、母と叔母がどんな未来を辿るかだった。


見えた光景はまさに地獄に堕ちた母と叔母の姿だった。

当時の私は、母が地獄に堕ちるとしてもそれは自業自得であり、仕方ないと割り切っていた。



その後、多くの神託や仏法を学ぶことで、今ある自分は大っ嫌いな人や尊敬できる多くの人に出会い、そして葛藤してきたからこそある事に気づいた。

そして尊敬する人や大好きな音楽や本の著者も多くの人に影響され、心動かされ表現した作品に私もまた影響されている事に気づいた。


そう考えると無限に広がる可能性を感じ、未来に私は何を残すのかという事がテーマとなっていった。


闇の連鎖を生む火種は、避けなければいけないと自覚した。


その中でどん底にいる人や全てを諦めようとしている人の心に、希望を灯せたらと考えるようになった。


そこに至るまで、多くの気づきを与えてもらったからこそ、気づいた私がまだ気づかない人々に真実を伝えるのが役目だと理解した。

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