きっかけから終焉のシナリオ【謎解き】



祝詞の最中、要子にはある歌がみゆきちゃんにより、歌われていたという。


その歌は昔、子供番組で歌われていた【ぐるぐるードッカーン】というフレーズ。


みゆきちゃんは、よく歌でヒントを教えてくれる。

歌われる歌はさまざまで、童謡が多い。


その『ぐるぐるードッカーン』と歌われていた時、雷が鳴り響いていたのである。


これまでの疑問は、確証に変わる。

やっぱり、歌がヒントなんだ…と。


それが実証されると、やはり更なる困難を想像しなければならなかった。


おそらく私が自覚する1週間位前から、知らぬ間に口ずさんでいた歌があった。


【ウサギのダンス】である。

そして私は、記憶を辿るようにいつも歌われるフレーズの続きが気になり、動画を探した。


そして悟る。

【ウサギのダンス】で、神々は地震を起こそうとしているということ。


少し前、光と闇の戦いの際、

『待ってた、待ってたうんどーかい

紅組さんハイ、白組さんハイ』

と歌うみゆきちゃんがいた。

正しくは、歌わされていた私がいた。


その中で神々の戦いすら、子供たちにとっては運動会という認識なんだと知ったばかりだった。


運動会のあとは、ダンスの歌!?


歌詞を知るために探した動画は、ダンスの度に地面が揺れていた。

それを見て、地震を起こそうとしている事を悟ったのである。


そそら そらそら うさぎのダンス

タラッタ ラッタラッタ

ラッタ ラッタ ラッタラ

あしでけりけり

ぴょっこ ぴょっこ おどる


これを桜井は紐解いて解説。



祖宗霊 騒霊 葬礼 大詐欺を斬首

足らん足らん足らん

足らん足らん足らん足らん

悪しにけり蹴り 憑狐憑狐戻る

ですかね…と。


本気で洒落にならない桜井の解釈…。

とんでもない未来しか見えない。


それと同時に月の魔物【シン】からの攻撃も受けていた。


時に強い力が加われば、物質まで影響させる。

目に見える形で、攻撃を受ける。


過去あり得ない出来事が何度かあった。


浄化用の特別な水を入れていたアトマイザーは、一瞬で握りつぶされたようになったことすらあった。


また、身につけていた時計が壊れる。


文字盤のガラスが割れるのである。

購入して1週間も経たないうちに、壊れることすらあった。


2個目の時計は魚眼レンズのような、厚いガラスの時計を選んだ。


身を守る時計のような気がして、大切にしていたが、自動巻きの時計がついに壊れてしまい、修理に出した。


するとメーカーより、連絡が来る。

通常に使用している分には、補償期限内だがどんな使い方をしていましたか?と言われたのである。


そして画像が送られていた。


ガラスの周り金属部分に細かい針のようなもので突き続けたような、打撃痕が無数についていた。

その衝撃により、時計が壊れたというのである。


修理しても同じような使い方をしていたら、何度も壊れますと言われたのである。

そしてこれまで、こんな壊れ方をした時計など見たことがないとまで言われた。


私は悟る。

時計が身を挺して守ってくれていた現実。


私にとっては大切なものなので、直してくださいと依頼した。

その修理は新品を購入するのと、さほど変わらなかった。

それでも、私はその時計にこだわっていた。


再び戻ってきた時計は、またしばらく過ぎた頃止まってしまった。


おそらく、同じ理由だと悟った。


しかし、修理に出すつもりで箱に入れていたはずなのに、その存在自体が消えてしまった。

なくなるのである。


我が家では時々、起きる怪奇。

酷い時は、私が龍を彫った御影石さえ消えた。


本気で洒落にならない現実は、おそらく2.3年前からである。


私は時計を新調した。

その新調した時計が再び、止まった。


そして気がつく。

魚眼のようなガラスに傷がついているのである。


その傷は、次の日には貫通し、他の箇所も割れ始める。

さらに翌日、もっとひどくなり、穴は徐々に広がっていった。


腕から外して置いていても、時計に変化が現れた。

普通に頭がおかしくなる案件でしかない。


そんな時、桜井からLINEが入る。


「読経中、エンリルと話したが意外と話がわかる神でした。リャクリョ同様、味方につけたほうがいいかもしれません」と。


その一方で桜井は、


「月の魔物シンですがまったくもって聞き入れません。諸天に囲まれている状況でも、こちらに攻撃を加えていたようです」

「おそらく時計を攻撃していたのはシンです。【シン=針】でつついたのでしょう」とも言う。


もはや諸天善神に囲まれて、手足も出せないほど包囲されている中、しかし何らかの形で嫌がらせをしたかったのだろう、と。


そんな展開になってくると、後はもうどうすりゃいいんだ!

という話になる。


そして桜井は以下の様に続ける。


シンは閻魔大王の審判にかけられ、地獄に落ちるでしょう。


仏に叛いた事で、神としての果報は失われました。

そもそも神が地獄に落ちるとは、すでにその存在は神でなくなったとの意味です。


改心して正しき行いをすればまだ救いはありますが、シンは改心を拒みました。

その上、仏の名を騙り、衆生を惑わした罪は万死に値します


法華経譬喩品(ひゆほん)に云く、

「若し人信ぜずして此の経を毀謗(きぼう)せば、即ち一切世間の仏種を断ぜん。乃至其の人命終して阿鼻獄に入らん」


この意味は、

「もし人が私(釈迦仏)の言う事を信じずにこの法華経を誹謗するならば、それは仏が植えた一切衆生が成仏するための種を掘り起こして踏みにじり、断絶させるに等しい。乃至、その罪の重さによってその人は死んだ後、阿鼻地獄に堕ちるであろう」


まさに人を誑かす行為こそ、この大罪にあたるのです、と。



こうしてシンは地獄に落とされた。



地獄で苦しみ、生まれまた死んで地獄を体験する。


シンもやがて人間として生まれれば、修行次第ではまた神になれるでしょう。

魂を更正させる為の地獄、つまり魂の刑務所です。


まあ人間界の刑務所より遥かに辛い大苦悩が何億年と続きますが…と、桜井は教えてくれた。



そんな時遮那たんが守護する、桜井の彼女が夢を見ました。


夢の中にウサギの様な小さな可愛らしい魔物が現れ、怯える様に震えていたそうです。

人間と魔物が戦い、敗れた魔物たちは消される運命にある様で、そのウサギも「仕方ない…仕方ないなぁ…」と言い、彼女の手の中で震えながら消えてしまったと…。


ちなみに桜井の彼女は、今回のシンと諸天の戦いや、【ウサギのダンス】の話は、一切知らされていませんでした。


この彼女の夢に出てきた怯えるウサギはシンの眷属であり、なんら罪はないのに、主人であるシンの犯した罪はによって消される運命であると知った桜井は、直ちに動き出します。


まずは櫻井の守護霊のひとりである「少輔(しょうゆう)」を閻魔庁に派遣し、遮那たんには、妹の闇(あん)にウサギの助命嘆願をお願いしたそうです。


吉祥天でもある遮那たんと共にいる闇(あん)は、経典によれば吉祥天の妹の黒闇天であり、閻魔大王の后でもあるとされています。


その様に様々な手を打っていた桜井の脳裏に、ふと声が聞こえたそうです。

「我が動く」と…。


桜井はその声の主こそ、守護霊軍団を束ね、常に桜井の側を離れずに守護している、「宰相(さいしょう)」であると感じたそうです。


そして宰相は梵天を連れ、閻魔大王の前でエンリルを説得したと言う壮大なやり取りがあった様でした。


そもそもエンリル自体、息子であるシンの悪行を裁くために来たようだったと、後から私たちは知ったのでした。


そして彼女の夢に現れたウサギがどうなったかというと…。

シンの罪を贖うために働くということで助命嘆願が認められ、いったん梵天が預かる事になったそうです。


その夜、遮那たんが桜井にLINEをしていますが、「たぶんだいじょぶとおもう。さいしょ(宰相)さんのおかげ」と、語っていたそうです。


こうして繰り広げられる神々の世界はもはや神話レベルであり、シャーマンである私であっても覚知できない部分でもあります。



そしてこれまで身を挺して、守ってくれた時計というキーワード。


実はみゆきちゃんのお兄ちゃん、私の初恋の人、正俊くんの存在がありました。


正俊くんは小学生時代、水に溺れた妹のみゆきちゃんを助けようとして、みゆきちゃんともども命を落としています。


そんな彼は一度は先に進みながら、再びこの世に私を守るため、戻って来てくれました。

正確には我が家のアンティーク古時計に宿り、眠っております。


私はこのアンティーク時計を再び動く状態に修理する事を考え計画しています。

しかし、おそらく二桁ほどのまとまった金額がなければ難しい現実がありました。


そんな中で、ふと天照様の話を思い出すのです。

神々は神社を拠点に移動するという話。


もしかすると、正俊くんは時計を介して移動する事ができていたのかもしれません。


残念なことに、私はまだ正俊くんの存在を強く感じる事ができません。


それでも思うのです。


時計を通じて、守ってくれる存在がいると感謝することこそ、正俊くんの存在理由になるような気がして、願うのです。


いつか会える日を夢見て、時計の歯車の動きが見えるスケルトンタイプの時計にこだわるのかもしれません。


※画像はノートに掲載します

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