きっかけから終焉のシナリオ【葛藤】

地震が起きて覆される未来というのは、おそらく私の中で長い間キーワードになっていた。

そして圧倒的な神の力を見せつけられた時、その中で果たして自分は何ができるのかと悩んでいた。


2022.610昨日の神社での落雷の動画を公開することも考えた。

しかし、それは叶わなかった。


いろんな立場があって、いろんな考え方がある。

こちらが良いと思っても、そうでない捉え方をする人もいる。


公開する事で、否が応でも巻き込まれる人が出る可能性があった為、諦めるしかなかった。


悶々とした中、気分転換に【比留胡神社】の月の例祭に伺った。


十和田の謎解きの重要拠点でもあったのが、この【比留胡神社】だ。


麻紐に勾玉を通したものを首にかけていただき、参列した。

祝詞を聴きながら、昨日の落雷の様子を思い出す。


何もできない現実に、涙が溢れた。

御祭神から何か言葉を頂戴するのではないかと期待したが、特別神託はなかった。


神事が終わり、私は宮司さんと話をした。

昨日の出来事、そして地震が来るのではないかと危惧していること。


すると宮司さんは言う。


地震が本当に来るか分からないからこそ、発信は慎重にせざるを得ないが、しかし防災の心構えは普段から常にあって然るべき事。


それを伝えれば良いのであって、ことさらに心身を削る必要はないのではないか、と。


その上で、「地震が来るかはナマズに聞かなきゃわからない」と話してくれる言葉に心が軽くなる。


そして前回、比留胡神社にて宝珠を神様から頂戴し、『託したぞ』と言われた時の話となった。


誰しも受ける事ができないものだからこそ、神社では験担ぎのために桃の宝珠を模したものを祀っている。


その宮司さん自体、神様の言葉を身に感じ、日々奉仕している。


毎朝法螺貝を鳴らして祝詞をあげ、笛を吹き、他の神社ではあまり見ない様な禊の日であったり、新しい月を向かえる神事を催行している。


しかしそんな宮司さんでさえ言う。


神意を知る為に、霊能者の方にも相談していると。


その中で、選ばれし者がいかほどに困難なのかも知っている、と話してくれた。


その他にも実際に不思議な話はたくさんあるようだった。


その中でのキーワードに【日と月】があった。


祭壇にも【日と月】が祀られている。

そして私も天照様より、自分の鏡は月詠だと教えられている。


そんな感覚的なことの証明にも感じた。


宮司さんが祭事に使う竹の成長を見ていたところ、ある時、先端が枯れて折れ、その折れた先から空が見えたと言う。


その竹を切ったところ、折れた部分は何かに突かれた様な焼かれた様な形になっており、先端は【日】、焼かれたような部分は【月】の形となっていたと言うのである。


【竹】と【月】。

なんだか竹取物語の様だが、ここでも【日と月】と言うワードが…。



陰陽道の結界を境内のあちこちに施して建築された立派な神社なのだが、これでもまだ完成ではないのだと宮司さんは言う。


そんな比留胡神社周辺の地図を見た桜井は、「比留胡神社を中心に、国道に沿って南北の神社がまるで鶴が羽を広げた様に連なっている。まさに【鶴翼の陣構え】だ」と言っている。


また境内にある石に刻まれた紋様を見て、「これは【八門金鎖の陣】だ」と断言したのも桜井だった。



また、この神社には時々、神の使いとして現れる動物の姿があるという。


数年前、新たに鳥居を建てる際も、細かく夢の中で指示されたと言う宮司さん。

そして鳥居の基礎工事を始めると、カモシカが現れたそうだ。


そのカモシカの事を霊能者に聞くと、神が順調に進んでいるか確認しに来たのだと告げられたという。


そして1年程かかり、みごとな龍の彫刻がしつらえられた石の鳥居が完成した。


そしてその霊能者に私のことも話していたらしく、しばらくしたら来るだろうと言われていたそうだった。


そして祭事の当日6.11の朝、再びカモシカを見たそうだ。


何かあるのか?と思っていたら私が祭事に来たので、それを知らせていたのでしょうと言う宮司さん。



比留胡神社を、神々の約束の場所と認識していた私。


そして自分が受ける神託以外の神様の言葉は、この神社のおみくじでほとんど告げられる。


今必要な言葉が記してあるからこそ、重要な局面でしか私はおみくじを引かないようにしている。


いつ何が起きてもおかしくない世界。


明日世界が崩壊するかもしれない危機もすべて、願うしかない。

大難が小難に変わるように祈っている。



そんな私に、『そんなに多くを救いたいなら、人柱にでもなれ!』そう告げた存在がいた。


明らかに空や海、自然がいつもと違うように見えた。

海に至っては、水位が高くなっているように感じていた。


そんな中、要子は見た。

水平線の彼方から波の上に現れし白い亡者達が向かってくるのを。


そしてグンッと近づいた白い手が要子の前を素通りし、私に向けられた。


「ヤバイ!帰ろ」

要子の声でその場を後にした。


そして要子は「未来の予測かも知れない。天之御中主の神さまが怒っている」と言う。


いつもギリギリ…闇落ちしかねないほど追い詰められる。

その駆け引きはチリチリと神経を削ぐ。


もし仮に私が闇落ちしたなら、そのまま崩壊のシナリオがあったのかもしれない。


しかし私は知っている。

無駄な犠牲をよしとしていた時代ではないと言うこと。


そして何より、仲間を悲しませる。

そんなのはヒーローでもなんでもない。

本当のヒーローこそ、生きて語るのだと信じている。


世界の終焉になりかねない今、何が起きてどうなっていこうとしているのか、説く者がいなければ再び歴史は曲げられてしまうから。


真実も全て、闇に葬られるから。

だから戦う。


己を信じ、自分の中の神を信じろと言われるから。



終焉の日がいつ来るのかは、わからない。

しかし、わかった事が一つ。


世界が終わるかも知れないと考えるだけで、色褪せ不平不満な日常が、どんなにありがたいものなのかと考えさせられる。


つまらない日常というベースでスタートすると、簡単に着火しやすくなるように、同じ出来事が起きても苛立ちにつながる。


しかし、万が一が起きると、仕事に行くどころの話ではない。

避難し、不便な生活を強いられる。


働けないとなれば、すぐさま生活の危機に晒される。


そう考えた時、普段なら苛立つ無理案件もなんとか乗り越えられそうになる。


つまり、全てが自分の捉え方考え方で、変わると言う事なのである。

唯一人間に与えられた武器は、考える事なのかも知れない。


知恵を出す事で、活路が生まれる。

備える事で、難を小さくできる可能性もある。


どうしようもない行き詰まり感をひっくり返せるのもまた、自分の考え方次第だということをたくさん経験してきた。


だからこそ、願う。

人として生まれてこれた奇跡。

奇跡は未来に繋がると信じている。

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