第15話 ボス討伐!
「ほげぇええええええええええええ!」
リーダーがゴブリンみたいな奇声を発しながら斜め上にカッ飛んだ。
HPバーが消滅するが、肉体が砕け散るには少しのタイムラグがある。
ゴブリン王は眼前に迫るソレに対し、防衛本能が発動。
下から大きく剣で斬り上げた。
回転しながら真上にブチ上げられて、天井近くでガラス状になって爆散するリーダーはまるで花火のようだった。
そしてその時、俺と和美はゴブリン王の真下にいた。
俺は体術の『連続斬り』を発動。
ゴブリン王のボディを容赦なく斬りまくり、反応しようとするゴブリン王の顔面に和美が凍り呪文のアイスをブチ込んだ。
怯みクラッシュしたゴブリン王へ、さらに『連続斬り』を続ける俺。
ゲームのアシストで、剣を握る俺の腕は勝手に剣の達人が如く剣術を超高速で発揮。
巨大な腹を、太ももを、スネをメッタ斬りにしてHPバーを削りまくる。
ゴブリン王の乱舞が再会。
大剣を俺らに振り下ろすが、地面を穿つだけだった。
五枚の盾が壊れる間に、俺らは散々こいつの乱舞攻撃を見ている。
もうパターンは見切った。
RPG攻略のコツは、アイテムを最大限有効に使うことにある。
ゴブリン王の攻撃をかわして斬る。避けて突く。よけて打つ。
それの繰り返して、ゴブリン王のHPバーが、ついに消えた。
『■■■■■■‼』
最後の咆哮を上げて、ゴブリン王は盾達のように砕け散った。
だが、ゴブリン王は神殿で再生することはない。
運営側の話だと、ボスモンスターは賞金一〇億円をかけたイベント中は復活しないとの事だ。
俺の目の前にウィンドウが開いて、見た事も無いような経験値とお金が加算される。
最後に嬉しい報せもついていた。
レアスキルをゲットしました。
「よっしゃ! レアスキルゲット!」
「えー、何よそれいいなー!」
俺がガッツポーズをキメると、和美が唇を尖らせる。
どうやらレアスキルをもらったのは俺だけらしい。
まぁ、パーティー全員にだったら、人数の多いパーティーは全員レアスキル持つことになるし、そしたらそのパーティーだけ強くなりすぎるよな。
どうやらボスを倒したことでもらえるレアスキルやレアアビリティは、誰か一人だけがもらうようだ。
「っで、どんなのもらったのよ?」
「おうちょっと待ってろ、えーっと」
俺はウィンドウに指でタッチして、獲得スキルを確認。
両目を見開いて、表示内容に目を疑った。
「おいこれ」
ウィンドウを可視化して、和美にも見せた。
「え!? これって!」
そこにはハッキリ『刀道スキル』の文字が。
急いで『装備』から日本刀『雀丸』を選択。
すると、今度はすんなりと装備できた。
俺が装備していた剣は、ダンジョンの宝箱で見つけた物で、街で売っている剣より良いものだった。
おそらくは、しばらくの間は主力武装となるような。
でも、日本刀雀丸はその剣と比べて、攻撃力はそれなりに、振る速度は格段に上がっている代物だ。
しかも武器の性質として、敏捷の二割を攻撃力に加算するとある。
ハーフ・ハンドレッドの通常攻撃力は『プレイヤーの筋力+武器の威力』で決まる。
俺は敏捷値を優先して上げているから、戦士系である剣士なのに筋力がやや低めで、質の良い剣を使っていたのに特別攻撃力が高いわけでは無かった。
でもこれからは『筋力+敏捷の二割+武器の威力』。スピードタイプのプレイヤーである俺に、これはデカイ。
俺の口からは、思わず笑顔が吹きこぼれる。
「なるほどな、これがボスを倒した時の特典か。こりゃあボスを倒した奴ほどラスボス攻略に近づくわな」
「凄いじゃないお兄ちゃん。これで、これで」
和美の目から涙がこぼれる。
「東京湾に沈まなくてよくなるね~」
和美は脱力したように、笑いながら肩を落とすのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます