第40話 ロリメイドの本気
美羽達が誘拐された日の夕方、あれから鷹徒達なりに街を探したが手掛かりは無く、鷹徒と鷲男は雀と一緒に、彼女の部屋に一度集まっていた。
「くっそ、三人で探して結局なんの手掛かりも無しかよ……」
「むぅ、白鳥家の部隊に見つけられぬ連中が、某達のようなただの学生に見つけられるわけもないという事か」
「そうだね、あたし達一般人には難しいね」
雀の言葉を聞いて鷹徒はチラリと雀を見て、
「それってお前も入っているのか?」
「えっ? 当然だよ、雀ちゃんはそこら辺にいる可愛い女の子だよ、チュンチュン」
両頬に指を当ててわざとらしくほほ笑む雀に鷹徒は溜息をつく。
「普通の女は銃ぶっ放したりあんな身体能力持ってねえよ……」
「むっ、そういえば、確か美羽殿は本日社交界デビューをする予定では?」
鷲男に言われて、雀も口を開く。
「そうそう、確か神宮寺財閥当主の次男の誕生会って聞いてるよ」
「パーティーってそれの事か、でも、その誕生会はただの社交界デビューじゃねえ」
雀と鷲男の視線が集まり、鷹徒は声に力が入る。
「今日は、あのガキが親父に会える数少ない日だったんだよ」
雀と鷲男は目を細めた。
「燕先輩から聞いたよ、あのガキは親父の事を愛しているらしい、親のいねえ俺には親父がどういうもんかは知らねえ、それでも大好きな奴と月に一度しか会えないっていうのは分かる。
今日はあのクソ生意気なガキが好きな奴に会える日だったんだよ、なのにあいつら、よりにもよってこんな時に……それもガキだけじゃなくて雫結と鶫まで……」
辛そうに拳を振るわせる鷹徒を見て、雀は表情から幼さを消し、しばらく思案していたが、やがて決心したように立ち上がった。
「ねえ、たっちゃん……」
雀の瞳が鷹徒と交差する。
「みんなの為に、命かけられる?」
雀と同じく、真剣な眼差しで、鷹徒は断言する。
「当然だ!」
「……わかった」
と言うと雀はポケットから携帯電話を取り出して電話をかけた。
「あっ、ママァ? あたしだよー、雀ちゃんだよー、チュンチュン、お仕事進んでる?」
『あはは、戦闘用メイドロボどころか新型の回転式電磁機関砲(ガトリング・レールガン)だってもう完成しちゃったもんね、ただ最近機械ばっかで飽きちゃったからね、今は脳の分泌物をコントロールする事で性格を変化させる研究してるけど、雀ちゃん、今日はなんのご用かなぁー?』
いきなり幼女モード全開で会話する雀、電話から声が漏れているママと呼ばれる話相手もレベルは同じようだ。
もっとも、鷹徒は今聞こえた事の大半は聞かなかった事にした。
「うんとねぇ、さっき美羽ちゃんが誘拐されちゃったんだけどママのとこには情報あるよね?」
『待って……うんあるよ、燕っていう子が色々手配しているみたいだけど、まだ時間かかるみたいだね』
「それなんだけどね、ママの力で探してくれないかなぁ?」
『もう、そうやってママばかり頼っちゃダメだぞー』
「自分で探したし車や建物の中にいられたら鳥使って見つけるのは無理だよぅ」
『もう、しょうがないなぁ、じゃ、今回は特別に力を貸してあげるから、卒業したら立派なロリッ娘メイドになってね』
「はぁーい」
携帯電話を切って、雀は鷹徒に飛びついた。
「えへへー、これでもう大丈夫だよー、ホメてホメてぇー」
甘える雀の頭を撫でながら鷹徒は顔を引きつらせる。
「お前……マジで何モンだ……?」
「えー雀ちゃんなんの事かわかんなーい、チュンチュン」
抱きついたまま、雀はニッコリ笑った。
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