第41話 奪還戦!
ビルの地下駐車場、そこで、ヒゲ面の男は車を出そうとして、前方に巨大な人影がある事に気付いた。
「誰だてめえ?」
当然の質問に、巨大な影は口を開く。
「某の主と友を返してもらいに来た」
その言葉でヒゲ面の男は舌打ちをしてアクセルを踏み切った。
「チッ、白鳥家の奴か!」
急発進した車は真っ直ぐ人影に向かう。
「くたばれよ金持ちの犬が!」
重さ一トンの乗用車の突進、人影はたまらず吹き飛び駐車場の床に転がった。
「へっ、バカが、金持ち共に尻尾振るからこうなるんだ」
タバコをくわえ、火を点けてから、死体処理の応援を呼ぼうと携帯電話に手をかけて、ドアが誰かにノックされた。
「あん?」
ヒゲ面の男が横を向くと、巨大な人影が車の中をジッと見ている。
慌てて人影が横たわっていた場所を見るが、そこに人影は無く、逆に移動経路を示すように、こちらに向かって血が滴り落ちた痕がある。
「いきなり車で撥(は)ねるとは思い切りがいいな、某でなければ死んでいたぞ」
口から落ちたタバコがズボンを焦がして足を火傷したが、ヒゲ面の男は人影を見たままあんぐりと口を開けて閉める事ができなかった。
目の前で車のドアが力任せに外されて、長い手が伸びてくる。
まるで重機を思わせる怪力で車の外に引きずり出されて、壁に叩き付けられる。
「ぐあっ! て、てめえ何で生きてるんだ!?」
「才能が無かったゆえ勘当されたが、某の家は武道の名門、某は才能が無かった故、幼い頃より皆のサンドバックであった。
骨折と打撲を繰り返していたらいつのまにか車に撥(は)ねられても平気な体になってしまっただけだ」
片手で首を締められ宙に浮かされたヒゲ面の男は、二メートルを遥かに越える高さから床に叩きつけられて意識を失った。
人影は腰から木刀を引き抜いて、階段から上を目指した。
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