第38話 ロリメイドVSテロリスト

 だが犯人はやはりプロなのだろう。


 雀への油断も甘さも一切無い。


 曲がり角に入ると、慣性の法則で車が傾くほどの急カーブをかけながら車内から雀の顔面に向けて発砲。


 ドリフトの反動と銃撃による二段攻撃はやり過ぎにも見えるが、犯人達の判断は正しかった。


 雀は反射的に弾丸をかわしつつ、だが彼女の握力は車の反動に負けず、ナイフがボディから抜けて彼女の体は車から離れた。


 銃撃から逃れる事に体勢を変えたために対処行動を取れず、雀は車のボディから投げ出されて、その肉体は道路標識のポールに飛んだ。


 時速数十キロで金属製のポールに叩きつけられれば普通人(●●●)は死ぬだろう。


 なのに、雀は本当に翼でも生えているのではと疑いたくなるほどの体技を以って空中で体勢を変えてポールに足から着地、運動エネルギーを殺す事無く、また車に向かって跳び出す。


 しかし車のスピードを考えれば追いつけるはずも無い。


 雀もそれは理解している。


 だから、彼女はナイフを持った手をスカートの中に突っ込み、引き抜いた時にはその手にはまた、彼女の体格には不釣合いなほどゴツイハンドガンが握られている。


 宙に浮いたまま二丁拳銃を操る雀は連続発砲、美羽達が乗っていない車のタイヤを正確に撃ち抜いていく。


 三台のうち、二台の車はスリップ、転倒しコンビニと民家にそれぞれ突っ込んだ。


 美羽達を乗せた最後の一台は遠ざかり遥か彼方へと消えようとして、アスファルトの上に着地した雀の目がギラリと光る。


 僅か二秒で狙いを定めると左右の武器が火を噴いた。


 しかし、いくらなんでも距離があり過ぎた事、二秒では時間が短かった事、激しいGの変化で少なからず脳に負荷がかかっていた三重苦が雀に必中を逃させた。


 一発はアスファルトに、もう一発は車のボディに当たって犯人は逃げて行った。


 一度舌打ちしてから、雀はスカートの下に隠したフトモモのホルスターにハンドガンを収めた。


 の、直後、雀の体がガクリと傾き、仰向けに倒れた。


「雀!」


 ようやく追いついた鷹徒が呼びかけると、雀はいつもの幼い顔で両手を伸ばして一言。


「たっちゃん抱っこ~」




電撃オンラインにインタビューを載せてもらいました。

https://dengekionline.com/articles/127533/

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