第36話 迫る巨悪
次の日、夕方が近づき、小学校の終業チャイムがその日のスクールライフ終了を告げる。
「本日もお疲れ様でした、お嬢様」
「か、鞄お持ち致します」
迎えの二人に、美羽はやや驚いて鞄を渡した。
「あら、今日は鶫と牛女なの?」
「ええ、まだ学生の我々は色々な経験をしたほうが良いからと姉さんが、朝方と大空は車内で、狩羽はあの通り、ドアの準備を」
鶫の見るさきには、美羽が来たらすぐにドアを開けられるようドアに手をかけて待つ狩羽が待っていた。
「そう、ならいいわ」
美羽が納得すると、鶫がやや心配そうな顔をする。
「ところでお嬢様、姉さんから聞いたのですが、本日は護衛隊長の黒羽鴉(くろばねからす)さんが所用で不在とか、大丈夫でしたか?」
「ええ、安心しなさい、燕に何言われたか知らないけどテロなんてそうそう起きるもんじゃないもの、一日くらい護衛が手薄になっても大丈夫よ」
無理に作った笑顔はやはり無理があった。
周囲からの陰口は鶫と雫結の耳にも入っている。
その内容には、雫結も鶫も思わず顔をしかめた。
そんな二人の気持ちを察して、
「いつもの事よ、気にしないで早く帰りましょ」
と言って美羽は歩き出して、けたたましい金属の衝突音が咆哮を上げた。
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