第2話 無秩序な班決め

「あっ、今お前らなんでって思ったろ? だからお前らは駄目なんだよ、いいか、ランキングだってそうだけどな、いつもいつも最下位からとか二位からとか下から二番目から発表して最後に一位とか一位と最下位同時発表とかマンネリなんだよ、たまにはこうやって六番目とかいう控えめな辺りから発表するのがおもしろいんだ。


 芸能人の抱かれたい芸人ランキングとかもな、一位と最下位を最初に発表して後はクジか上下同時発表を続けりゃ絶対……」


「失礼ですが先生、発表順がランダムなのは構いませんから早く発表のほうを」

 そう言って立ち上がったのは、切れ長で気の強そうな目をした女子で名前は渡鳥(わたりどり)鶫(つぐみ)、均整の取れたスタイルと顔立ちの美しさは学校でもトップレベルと噂されるほどである。


「なんだよノリ悪いな、まあ別にいいけど、えっと、その六班のメンバーが、お前と、それから狩羽(かりう)鷹徒(たかと)、大空(おおぞら)鷲男(わしお)、沖之雫結(おきのしずくゆう)、朝方(あさがた)雀(すずめ)の五人だ」

「あのう……」


 恐る恐る手を上げる女子に庵治(あじ)刺(さし)の視線が向く。

手を上げていたのは今呼ばれた女子の沖之、新雪のように白い髪はフトモモまで伸び、カラーコンタクトでは出せそうに無い自然な鮮血の赤(ブラッディ・レッド)の瞳が印象的な美人である。


 ただし、男子が彼女と対峙した時に見るのは顔よりも胸のほうだったりする。


「んっ、どうした沖之?」

「わたしの名前しずくゆうじゃなくて《たゆう》て読むんですが……」

「おお、そういやそうだったな、でもお前、これ雫に結で《たゆう》は無理だろ」

「うぅ……文句は両親にお願いします……」

「先生、私からも言いたい事があります」


 落ち込む雫結から少し離れた席で、また鶫が立ち上がる。


「何故私がそんな連中と一緒なんですか? 先ほど先生がおっしゃったように、この班はこれからの学園生活を左右する大事なもの、それをそんな連中と組まされては……足を引っ張られて無事に卒業できなかったら渡鳥家一生の恥です!」

「渡鳥~」


 庵治刺の目付きが鋭くなり、声に凄味を込める。


「今のうちから言っておくが、班構成に文句を言ったやつには単位は出さねえから……異論のあるやつは腹くくって言えよ、どうしても文句があるならその班で問題が起こってからしかるべき手続きを踏んで申請しな」


 さすがの鶫も黙り込み、反論はせずに着席する。

 とは言っても、元はヤクザの家で女中をやっていたと噂される庵治刺教諭に逆らえる生徒などこの学校にはほとんどいない。


 教室全体が静まり返り、庵治刺は班の発表を続けた。

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