第47話 勇者のバッドエンド(笑)
「ひぎぃ! なっ、そんな!? どうして!?」
苦しむランドームをレイドが見下ろす。
「お前さ、誰に産んでもらったと思ってんだ?」
「ヒィ ヒィ ヒィ な、何?」
「誰に育ててもらった?」
「そ……それは……」
静かに、だがこれまでを遥かに越える温度でレイドは怒りの炎を燃やして、レイドはその全てを一度に爆発させて、ランドームを鋭い眼光で射殺す。
「分かるか!? 俺ら男ってのはよ、女に産んでもらって女に育ててもらって女に自分の子供産んでもらうんだよ!
それこそ、男なんて女達の一パーセント未満の数しかいなくったって世の中は成立する。
この世は男が支配しているようで実は女に支えられて女を中心に回っているんだ!
そして何よりも女は俺達男を最も満たしてくれる、お前の言う肉欲って奴だな、だから俺は女が大好きなんだ!!
俺を産んでくれた!!
俺を育ててくれた!!!
俺の子を産んでくれる!!!
俺を満たしてくれる、女が大好きなんだよ!!!!
好きなモンが苦しむの見てて、気分いいわけねえだろうが!!!!」
レイドの剣先がランドームの頭上に振り上げられる。
「まっ、待ってくれ! たの――」
「てめえに女を抱く資格は無(ね)え!!」
ランドームが言い切る前に、レイドの剣が振り下ろされた。
◆
「みなさん、暴君ランドームは私が倒しましたよ!」
女性フェロモンの匂いでランドームの性奴隷達の部屋を突き止めていたレイドは迷わず部屋のドアを開けて、中へ飛び込んだ。
レイドの言葉を聞いて、中にいた何十人という女達が歓喜し、レイドに駆け寄り、彼女達を見てレイドもまた心の中で歓喜した。
なるほど、確かにランドームという男、女の趣味は良い。
そこにいた一〇〇人近い女性は全てが全て絶世の美女で、年も一〇代前半から三〇台後半まで、体型もスレンダー、ノーマル、グラマーが揃い、顔も可愛い系美人系、それも庶民的な美しさを持った美女から貴族のような品のある美しさを持った美女まで揃い、ボーイッシュな女子まで見事に揃っている。
年齢、スタイル、顔、ありとあらゆる組み合わせが揃い、特にグラマーな美女と美少女の数が多い。
その女性達全てが救世主たるレイドを見つめていた。
「ランドームから救ってくれてありがとう」
「貴方こそ私達のヒーローよ」
「何かお礼がしたいわ」
そんな事を矢継ぎ早に言われて、レイドが全身に邪気を充溢させたところで、エルが肩を叩く。
「んっ、どうした?」
振り返るレイドの耳元でエルがボソリと、
「一人でも手を出したら私は船に乗らないぞ」
「!!!!??!?!?!?!??」
それはつまり、自分とは絶対に結婚しないという発言と同義であった。
しかし、それはヤキモチに近い感情が無ければ出ない発言である事はすぐに理解できた。
レイドの頭の中で一〇〇人近い極上の美女とエル一人が天秤にかけられて、レイドは骨が折れるほど拳を強く握り、血の涙を流しながら美女達に向き直った。
「そんな……お礼だなんて、私は……みな、皆さんの笑顔だけで十分ですからぁああああああああああ……」
その場に四つん這いになって落ち込むレイドに美女達は心配するがレイドは、
「ランドーム騎士団との戦いに少し疲れただけです」
と言って誤魔化す、内心は絶望と失望に満たされ、ただ慟哭し続けるばかりであった。
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