第27話 勇者に助けを求めるスラムの少年
はたして、今しがた二人のアサシンを倒したレイドの目の前にいたのは昼に助けを求めてきたグリーン少年だった。
レイドとて大陸中を冒険して回った一流の勇者、歴戦の勇士の観察眼でグリーンが子供の殺し屋などでは無い事は一発で見抜いた。
だから、何故彼がこんな場所にいるのかがレイドには理解できなかった。
「どうしたレイド?」
ローブから人間の着衣であるキャミソールとミニスカート姿に戻っていたエルも来て、二人を交互に見てからグリーン少年は頭を下げた。
「お願いします! どうか俺達と一緒に戦ってください!」
「ヤダ」
その場の時間が止まること五秒。
「お願いします!」
「寝るぞエル」
「まってぇえええええ!!」
レイドのズボンにしがみつくグリーン少年、それを無視してドアを閉めようととするレイド、ドアに挟まれ苦しみながらグリーン少年はなおも食い下がり、レイドはグリーンを挟み潰さんばかりにドアを閉めようとする。
「俺らは明日この国を出るんだよ、応援なら他を当たりな」
「で、でもお願いだから、ゲゴホッ! ちょっ、ドアで挟むのやめ!」
二人のやりとりに見かねてようやくエルがレイドの肩に手を置いた。
「レイド、話くらい聞いてやれ」
エルに言われて、レイドは渋々手を離して、グリーンはなんとか開放される。
「っで、何のようだガキ、エルの顔を立てるために仕方なく聞いてやるからさっさとしろよ」
咳き込みながらグリーンは指で廊下の奥を差して答える。
「詳しい事は仲間のところで、路地裏に俺らの集会場があるから……ゲホッ、ゴホッ」
聞いて、レイドは怠慢な息を吐き出した。
「やれやれ……」
その姿にもまた、エルはレイドにとことん勇者っぽくないなと思った。
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