五十一話~五十六話

第五十一話 師


スープを食べたマキナとセナは魔力が回復し、傷も粗方癒えた。

マキナ「俺は何故意識を失ったんだ?」

フォーネ「君は魔力の使いすぎだね、その姿で居るのも少し魔力を使うし何より周りの空気に含まれる魔力を膨張させ続けたら魔力消費が大変な物になるよ」

マキナ「どうすれば良いんだ?」

フォーネ「戦う時は相手の体に触れて膨張させると爆散すると思うよ、試してみるかい?」

マキナ「誰で?」

フォーネ「私で」

マキナ「正気か?自殺願望でもあるのか?」

フォーネ「試してみたらわかるよ」

マキナ「どうなっても知らないぞ?」

そう言った瞬間マキナはフォーネの懐に飛び込んでいた。

フォーネ「遅いねー」

フォーネはその時にはマキナの背後にいた。

マキナ「何!」

マキナが後ろを見た瞬間、頭を叩かれ地面に頭がめり込んでいた。

フォーネ「はい私の勝ち!」

ぴょんぴょんと嬉しそうにフォーネは跳ねる

セナ「すごい!目で追えなかった!」

フォーネ「そりゃあ私は魔神ですから、悪魔には簡単に負けられないよ」

マキナ「まだまだ!」

直後、頭を地面から抜いたマキナが向かってくる。

その後セナは寝てしまってからも戦いは続いた、結果は18,079回戦ってフォーネの全勝であった。

フォーネ「君は無駄が多いね、まだ慣れてないからだと思うけど、これから頑張ってね」

マキナ「くそぅ、痛いー」

セナ「昨日は朝までドタバタしてたもんねー」

その時広場の中央に寝ているゼノに蒼い光と紅い光が流れ込み始めた。

フォーネ「覚醒の時だね」


第五十二話  目覚め


フォーネ「過去を背負ってまでこの子を守る気なんだね」

フォーネが呟いた直後空気が震え始めた。

最初は少しだった揺れが神殿を壊しかねない程大きくなった時ゼノは双眸を開いた。

その目は右目が紅い光を帯び左目には蒼い光を帯びていた。

マキナ「とんでもない魔力量だ!」

セナ(ディアブロもとてつもない魔力量だったけど比較する事も出来ないほどの魔力!)

ゼノ「ただいま、セナ...」

セナ「おかえりゼノ」

その日強さのランクが強制的に一つ下がったのだった。

フォーネ「起き抜けに申し訳ないが、今すぐに人界に戻った方が良いだろう」

セナ「どうして?」

フォーネ「神の子達が本格的に活動し始めた」

ゼノ「世話になったな、フォーネ」

フォーネ「元気でいなよ」

ゼノ「セナ、ゲートを出してくれ」

セナがゲートを出すと3人は人界へと戻った。

その頃アリス達は魔術学院に戻り治療を受けていた。

エリス「私は生きていたの...」

マキナ「死んでもらっちゃ困る」

エリス「貴方、マキナなの?」

マキナ「当たり前だ」

エリス「随分かっこよくなったわね」

マキナ「まぁな、それよりまだ休んだ方が良いだろう」

エリスは静かに微笑む…

エリス「そうね休ませてもらうわ、私が次に起きるまでにズボン履いておいてね」

マキナ「あっ」

マキナの顔はリンゴのように赤くなっていた。

ゼノ「さいてーだな」

セナ「そうね」

マキナ「お前らのせいだよ!」


第五十三話  宣戦布告


セナはエリスが起きる前にマキナやゼノの服を選んでいた。

魔界での戦いで損傷してしまった為みなボロ布のような服になってしまっていたからだ。

マキナ「この服はキツくないか?」

セナ「そうかしらエリスは執事みたいな服が好みそうじゃない?」

マキナ「上は裸で下はダボダボのズボンが良いなぁ」

セナ「だらしなく無い?」

ゼノ「動きにくいんだろ」

マキナ「そういう事だ」

セナはやれやれといった感じでマキナに服を差し出した。

ゼノ「俺の服は?」

セナ「フォーネさんがくれたのがあるよ」

ゼノ「これは...」

それはかつてゼノが魔界に居た時に着ていた服であった。

普段はイメージした好きな服になり戦闘になると鎧になる、魔獣を殺し作られた服であった。

ゼノ「普段は制服でいいだろう」

セナ「似合ってるけど着崩し過ぎてない?」

ゼノは第二ボタンまで開けシャツも出していた。

凛「セナさん!ゼノ!大変です、空に裂け目が!」

ゼノ「来たか...」

マキナ「俺も行こうか?」

ゼノ「いや、セナとここで皆んなを守っておけ」

セナ「私も行けないの?」

ゼノ「すぐに戻る」

そう言ってゼノは校庭に出て行った。

ゼノ「ほぉ、十人揃い踏みか」

零「まぁ落ち着け、話があって来た」

ゼノ「なんだ?言ってみろ」

零「セナと言う女をよこせ、そうすれば人界にもう二度と足を踏み入れないと誓おう」

ゼノ「断れば?」

零「戦争だ」

ゼノ「答えは…」

ゼノは息を吸い込むと神の子達に向かい言い放った

ゼノ「断る!」

空気がビリビリと震える。

零「なら死ぬしかないな」

ゼノ「やってみろ!」

零が特性を使いゼノに詰め寄るが、ゼノは既に零の背後に回り込んでいた。

白夜がゼノの背後から斬りつけようとすると死神の鎌が砕けた。

ゼノ「お前らじゃ、俺を倒せないぞ」

???「俺でもか?」

その天使はいつの間にかゼノの横に居た。

ゼノ「!?」

???「死ね」

ゼノ「なんてな、本当に倒せると思ったのか?」

刹那ゼノはその天使を蹴り飛ばしていた。

ゼノ「お前らじゃ何年戦い続けても無駄だ」

煤「蒼炎 竜王!」

それは大きいなどと言う言葉の範疇を超えた大きさであった。

蒼炎により成った竜はゼノに向け突進した。

ゼノ「デカイ=強い じゃないぞ!」

ゼノはそう言うと蒼炎を吹き消した。

煤「何!」

風魔「もういいだろ此処は引こう、目的は達成されなかった」

零「そうだな、全員撤退!」

そう言うと神の子達は空にある裂け目に帰って行った。

ゼノはその後凛に校庭を整備するように叱られた。

後日…

セナ「とりあえず皆んな回復もしたみたいね」

エリス「今日から学院は夏休みに入りますから何処かに修行兼遊びに行きますか?」

シヴァ「そうだな!」

クロ「避暑地が良いなぁ」

マキナ「湖がある別荘をエリスが持っているからそこに行くか?」


五十四話  今だけは...


セナ達はエリスが所有する別荘に来ていた。

エリス「何故あなたが居るのですか、凛教官?」

凛「仕方ないでしょう、貴方達はまだ未成年ですし大人が居ないと」

ゼノ「仕方ないか...」

セナ「ゼノ...?」

ゼノはどこか残念そうだった…

エリス「それより、この後は湖で遊びますが、貴方も水着持ってきましたか凛教官?」

凛「み、水着ですか?」

シヴァ「それは良いな!凛教官も来るのだろう!」

凛「水着なんて、私は...」

シヴァ「無いのか?」

凛は黙って頷いた。

シヴァ「凛教官、こちらへ来て下さい」

凛「?」

シヴァ「リンク、創生 金」

シヴァが特性を使うと凛の体には服の上から重なるように煌びやかな水着が作られていた。

凛「これはっ?」

シヴァ「今日、日付が変わるまでそれは消えない、せっかくの休みだからな」

凛「あ、ありがとうございます」

シヴァ「何より水着姿が拝めないのが辛いからな!私好みの水着を作った!」

凛「殴りますよ...」

エリス「それでは各自自室で水着に着替えて湖に集まって下さいね」

10分後…

セナ「ゼノこの水着どうかな ///」

それは白を基調とした決して際どくはないがとても魅力的な水着だった。

ゼノ「oh」

エリス「マキナ、何を余所見しているのですか?」

マキナ「あぁ、って何でそんなに色々危ない水着着てんだ!」

エリス「あらセナさんとは色が違うだけのお揃いですよ♪」※黒メイン

マキナ・ゼノ・シヴァ・クロ・ローグは鼻血を噴き出した。

凛「あの...私はどう、ですか?」

シヴァ「あぁ、とてもよく似合ってると思うぞ!」

凛「私の時は鼻血出ないんですね?」

シヴァ「君は美しい彫刻に対して鼻血を噴き出すのかい?」

凛「それは...///」

エリス「はいはい、皆んなで遊ぶわよー」

クロ「目に良くない...目に良くない...」

クロは今にも鼻血を吹き出し倒れそうだった。

その日は夜まで全員で遊んでいた、月明かりが照らす湖にはゼノやマキナの知らない世界が広がっていた。セナ「ゼノもっとこっちに来て...」

ゼノ「セナ...」

セナ「どうしたの?」

ゼノ「綺麗だよ」

セナ「っ///」

セナの顔が赤く染まる

エリス「お熱いですね」

マキナ「エリス、こっちを見て」

エリス「何?」

マキナはエリスにキスをした、本来悪魔や天使は人間に対しそういった欲を持ち合わせない。

しかし世の中には例外が存在する、それは幸せな例外である時も、残酷である時もある。

エリス「まだ、足りない///」

一方凛とシヴァは一足先に別荘に戻っていた。

凛「今日は水着ありがとうございました」

シヴァ「良いんだ」

凛「みんなが帰ってくる前にご飯の用意しないといけませんね」

シヴァ「...」

アリス「たっだいまぁーですわ!」

モノトリス「キャラが壊れてます」

クロ「た、ただいま」

ローグ「おっす、ただいま」

アリス「私たち仲良くなりましたの!」

凛教官「それは良い事です!学院では順位を競い合って殺伐としていたので心配をしていましたので」

シヴァ「我は最強だったがな!」

凛教官(Σ(-᷅_-᷄๑))


第五十五話  夜


凛教官「他の皆さんは?」

アリス「湖を蒸発させるほどお熱くなっていますわ」

凛教官「しかたありませんね、六人でご飯の準備しましょうか」

一方湖では月明かりに照らされる幸せな影ともう一つ不穏な影も映されていた。

???「ゼノ、その女を今度こそ貰っていくぞ」

何者かが上空で微笑む

セナ「そろそろ別荘に戻ろ」

ゼノ「そうだな...」

マキナ「俺たちも戻ろう」

エリス「そうね」

???「待てゼノ」

ゼノ「あれは!?」

リヴァイアサン「その女は俺が貰い受ける」

セナ「どうして貴方がここに!?」

その瞬間湖が蠢き始めた

エリス「まさか!」

マキナ「掴まれエリス!」

マキナとエリスは異変に気づき湖から飛び出た

ゼノ「何故お前がセナを狙う!」

リヴァイアサン「簡単だ、その女を捕まえれば俺の名が天界に広まる!」

ゼノ「殺すしかないか」

リヴァイアサン「その女を守りながら戦えるかな!」

湖がうねり、一つの大きな龍になった。

セナは水の玉に閉じ込められ時間が無い。

ゼノ「セナを返してもらうぞ!」

リヴァイアサン「貴様には無理だ」

そう言うとリヴァイアサンはゼノやその後ろの別荘に向けて龍を突進させた。

ゼノ(こいつ!パワーが前と違いすぎる!)

エリス「マキナ!」

マキナ「あいよ!」

マキナは手を水の龍にかざすとゼノ以外を思い浮かべて手を閉じた。

すると水の龍の半分程度が消し飛んだ。

リヴァイアサン「これ以上戦う必要もない、さらばだ!」

天には裂け目が現れていた。

セナ「.........!」

裂け目に飲まれる直前にセナが放った言葉は水の玉に呑まれた。

ゼノ「クッッソォォォ!」

凛教官「何事ですか!」

シヴァ「まさか...」

マキナ「あぁ、負けたんだ」

一方天界では...

リヴァイアサン「おい女、お前は俺についてくれば良い、一応場所が分かる首輪だけは着けておく」

セナ「...」

リヴァイアサン「怖くないのか?」

セナ「ゼノが必ず助けに来る、私には分かる貴方達が負けるのが!」

リヴァイアサン「ハハ!負ける?神が蘇るのにか?」

セナ「神?」

リヴァイアサン「天界の王だ」

一方人界では...

シヴァ「落ち着け!死ぬだけだ!」

ゼノ「俺が助けないで誰が助けるんだよ!」

???「言ったでしょう、本気で戦わなきゃ負けるって」

ゼノ「お前は...」

キーラ「キーラよ以後お見知り置きを、ところで君負けたんだねゼノ~」

ゼノ「ふざけんな!」

キーラ「正直言って私と並べて恐れられていた悪魔とは思えないねぇ?」

ゼノ「喧嘩売ってんのか?」

キーラ「試してみるかい?」

刹那ゼノはキーラに殴りかかっていた。

キーラはゼノの拳を避けカウンターを入れようとする、しかしゼノもギリギリでかわしていた。

キーラ「強くなったねー王都で会った時よりは、だけど私の拳の方がシャープだ」

シヴァ「凄いな...」

ゼノ「ちっ!何の用なんだよ」

キーラ「私も手伝うよ、助けるの」

凛教官「ちょっと待ってください!天界に殴り込むつもりですか?」

ゼノ「当たり前だ!」


第五十六話  神


リヴァイアサン「神とは何か...?本当に何も知らない女だな!」

セナ「...」

リヴァイアサン「神とは最強の存在であり完全な個としての生物だ、だが昔そんな神を倒してしまった悪魔がいる」

セナ「まさか...」

リヴァイアサン「そうゼノだ」

リヴァイアサン「神の子達がお前を奪う前に俺が献上すれば強大な力を得られる筈だ!」

セナ「貴方は天使だけど出会った全ての悪魔より下衆ね」

セナはリヴァイアサンを睨む

リヴァイアサン「今は理解しなくて良い」

煤「リヴァイアサンか、その女をこっちに渡せ」

リヴァイアサンとセナは神が眠る神殿に向かう途中煤と邂逅していた。

一方人界では...

凛「私も行きます!」

その瞬間、凛達の居る別荘が軋み紅い闇に飲まれた。

ゼノ「お前如きが何の役に立つ?」

アリス「っ!?」

場が凍りつき鉛より重い威圧感がのしかかってくる。

凛「私は貴方達の監督官であり教師です!貴方達が先に死ぬことだけは許しません!」

ゼノは尚強く威圧するが凛の眼には迷いが見えなかった。

シヴァ「もういいだろう、彼女も連れて行こう」

ゼノ「死ぬぞ...」

凛「構いません」

ゼノ「日の出と共に天界に殴り込むぞ」

ゼノ「死にたくない奴は来るな...」

シヴァ「馬鹿な奴だ、この場にいる全ての学院関係者そしてキーラとか言う悪魔もついて行くさ!」

ゼノ「...ありがとう」

シヴァ「皆んなでセナを助けに行くぞ!」






ここまでが第一章の内容になります。

この作品は三章まである作品ですので是非最後までお楽しみ下さい。

質問や間違いの指摘などはコメントにお願いします。

あと少しでいいので面白かったなど応援のコメントもお待ちしています。

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