二十一話~三十話

第二十一話 友達

シヴァの纏う鎧が金色に光り硬度を増した。

一方ゼノが増幅したダメージは臨界を迎え身体全身から紅く光り輝くオーラが立ち上っていた。

ゼノ「せめて一撃で終わらせてやるよ最強さんよぉ!」

ゼノが拳を叩き込んだ瞬間第六都市全体がビリビリと震えた。

その夜シヴァとゼノは医務室で寝ていた、寝ている間一言も交わさなかったがお互いがお互いを認めていた。

翌日の朝医務室にセナがお見舞いに来た、その手には主従の輪がつけられていた。

セナ「ゼノ、大丈夫だったあのあとすぐ萎んで倒れちゃったから心配だったよ」

シヴァ「私の事を心配してきてくれたのか!?」

セナ「いえ、あの少しだけかなぁ」

シヴァ「嬉しいぞ、友達から始めないか?良いだろう!?」

ちびゼノ「元気な野郎だ、血反吐吐いて倒れたくせに」

シヴァ「仕方あるまい、都市が揺れるほどの攻撃だぞ!」

シヴァ「死ぬかと思ったわ!」

ちびゼノ「うるさいな、頭が痛くなるから黙れ!」

シヴァ「良いではないか私は最強だぞ!」

ゼノ「俺の方が強かっただろ!」

シヴァ「君は最凶担当だろ!」

セナ(元気な人達だなぁ、帰ろうかな)

ゼノ・シヴァ「セナはどっちが良い!?」

セナ「どちらもお断りします‼︎」

セナ(ゼノ興奮してちびから戻ってるし!)

シヴァ・ゼノ「俺は友達だよな!」

セナ「シヴァさんは分かりません!」

ゼノ「そうだそうだぁ〜、帰れぇ〜」

シヴァ「全く、手に入らぬもの程欲しくなってしまう!」

セナ・ゼノ「怖い」


第二十二話 二人目の黒魔術師

あれから二日が経ちゼノはセナの部屋に帰ってきた、そしてセナは今日から復学するのだった。

凛「今日から、特例でゼノさんの事をクラスに編入します、皆さんもご理解よろしくお願いします!」

セナ「は?オナジクラス?」

ちびゼノ「そうみたいだな」

クラスの女子達「きゃー‼︎可愛い♡!」

ちびゼノ「鬱陶しいなー、助けろセナ」

セナ「でも、内心喜んでるみたいだけど?」

ちびゼノ「ちっ、主従の腕輪なんて付けさせるんじゃなかった」

???「セナさん、ちょっと良いかしら?」

セナ「あなたは誰?」

エリス「私はエリス、この学院内でもう一人の黒魔術師...」

セナ「そう、もしかしてだけど...」

エリス「そうよ、私と戦って欲しいの」

セナ「良いわよ!」

ちびゼノ「辞めとけセナ」

セナ「大丈夫よ、勝てるわ」

凛「シヴァ対ゼノで訓練場が崩壊したので校庭で戦う事になりますが良いですか?」

エリス・セナ「はい」

凛「ルールは本人又は悪魔or天使の降参です、また悪魔や天使は人間に攻撃をするのは禁止です、以上」

セナ「また勝っちゃいましょゼノ!」

ゼノ「...」(エリスとかいう奴の横に居る悪魔から感じる魔力とんでもない量だ見た目はモノトリスくらいだがオーラだけならまるで山だな)

凛「始め!」

セナはエリスが何かを口にしたのを感じた瞬間、地面に叩きつけられていた。

ゼノ「!?」

マキナ「よそ見してる場合か?私の真名はゼウス・マキナ特性は巨大化だ!」

ゼノ(こいつ魔力の量だけ巨大化出来るのか、バカでかい校庭が狭く感じるぞ!)

ゼノ「セナ!大丈夫か!?」

セナ「...」

エリス「この程度では終わらせませんよ」

エリス「死なない程度にズタズタにしてあげる、重力加速魔法 方向指定 上」

エリスが魔法を唱えるとセナの体が宙に浮いた。

ゼノ(真名も開示しただけあって悪魔も強い、それにセナから恐怖と絶望を感じる!)

エリス「重力加速魔法 方向指定 下」

セナ(痛い痛い痛い、怖い怖い怖い怖い!)

セナ「ブレイク」

かろうじてブレイクにより下方向への重力加速魔法を回避する事に成功した。

エリス「やっと使いましたか、一回限りの切り札、ここからが本番なのに」

ゼノ(あの女黒魔術師にかなり詳しいな)

エリス「サイレンス 対象指定セナ」

エリスが詠唱するとセナの口から声が出なくなった

セナ(なに、これ降参ができないじゃない!?)

エリス「黒水晶の槍 追尾対象セナ」

エリスが出した黒い槍がセナの身体を穿つが奇跡的に急所を外していた

一方マキナ対ゼノは互角の戦いが続いていた。

ゼノ(増幅するだけの魔力はセナがブレイクに使っちまったダメージもそんなに感じないから増幅するだけ無駄だ)

マキナ「それでも最凶の悪魔か!逃げてばかりでは戦いにならないぞ!」


第二十三話 ルール 

エリス「そもそも、セナさんあなたは勘違いをしていらっしゃる、黒魔術は普通の魔法と違いルールそのものです、魔力を流し具現化させるルールそのもの、ルールを理解せずに戦いに勝てるわけがない」

鎖に吊るされ血だらけになったセナを漆黒の瞳がみつめる

セナから伝わる魔力が更に低くなり、ゼノがセナを見た時、何が切れた音がした。

ゼノ「おい、貴様らは肉の一片も残さんぞ!!」

その瞬間ゼノの周りから炎の様な紅いオーラが立ち上った。

マキナは確かにゼノの事を捉えているつもりだったが、次の瞬間視界は黒く染まっていた

理性を無くしたゼノはマキナの胸を貫くとエリスを壊そうとした。

エリス「言ったでしょう、黒魔術はルールそのものだと」

ゼノが体に触れようとすると身体を通り過ぎ地面に激突した。

エリス「アンタッチャブル 対象指定ゼノ、予め唱えておきましたから」

エリス「しかし、蚊というのはいるだけで不愉快です、封印魔法 対象指定 ゼノの魔力 時間指定15分」

ゼノ(体から魔力が抜ける、増幅した感情も!?)

セナ(勝てない、今の私たちじゃ勝てない、ゼノがたくさん勝ってくれたおかげで勘違いしていた)

セナ(私はただの子供だったという事に今更気付くなんて...)

エリス「黒魔術 追憶の槍 対象指定セナの心臓」

ゼノ「やめろぉぉぉ」

セナ(ばいばいゼノ...)

セナが目を覚ますとそこは見慣れた花畑だった、戦争の時に両親ごと失ったはずの場所だった。


第二十四話 追憶 

エリス「今セナさんが何をしているか分かりますかゼノ?」

ゼノ(まだセナは生きているというのか?)

エリス「セナさんは黒魔術を使え、使い魔は最凶の悪魔とかなり聞こえが良いですが問題は魔力量と器の強度です、それらは彼女自身が自分にリミッターを掛けているせいです」

エリス「彼女は一つトラウマを抱えている、その記憶は思い出せないが確かに彼女に影響を与えている」

ゼノ「だから、なんだっていうんだセナを殺してタダで済むと思うな!」

エリス「心配しないでください、心臓を破壊しただけですから」

ゼノ(こいつまさか)

エリス「成長曲線って知っていますか?彼女は今成長の限界点にいます、つまりセナはこれ以上強くならないという事です」

ゼノ「お前にはリミッターを外せると言うのか?」

エリス「はい、その通りです」

一方セナは花畑から家に向かおうとしていた。

セナ(これが本当に私の知る場所なら家にはお父さんとお母さんがいる、早く逃げる様に言わなきゃ!)

しかしセナが帰ろうとした場所に家は無かった。

そこにいたのはゼノやローグ達の様な人型ではなくどちらかと言うとマキナの様な動物の様な何かだった。

その動物の様な何かは人を食べていた。

セナ(何これ、人を食べてる!?)

動物の様な何かが振り返りセナに飛びかかろうとした瞬間背後から聞き慣れた声が聞こえた。

???「お座り!」

その人物はそう言うと動物の様な何かを地面に叩きつけた。

その人物はまさにセナの使い魔ゼノだった。

ゼノ「大丈夫かガキんちょ?」

セナ「ゼノ!?何が起きてるの?」

ゼノ「は?なんでお前俺の名前知ってるんだ?」

セナ「えっ?」

ゼノ「家は近いのか?」

セナ「ううん、私家がどこにあるか分からないの」

ゼノ「よく聞けガキんちょ、今からここで戦いが始まる、空を見ろ」

そう言われ見た空には大きな亀裂が入っていた。

セナ(あれは魔界に続く扉でも天界に着く扉でも無い、何なの?)

ゼノ「あそこから出てくるのは神の子と言われる10体の天使だ、強い悪魔はみんな殺された、俺しかもう残ってない...だから逃げろ、ここに居ると死ぬぞ」

セナが逃げようとしたその瞬間空からとてつもない魔力を感じた。

零「最後の獲物を捕捉した、運が良い事に実験体の少女も捕捉」

白夜「今日は親父に褒めてもらえそうだなぁ〜」

ゼノ「ほぉ〜、二体だけとは舐められたもんだ!」

零「心配するな、お前を抹殺する」

ゼノ「やってみろよ」

セナ(ゼノの姿がいつもと違う?)

セナは今までゼノが戦う姿を何度も見てきた、しかしその時にも感じたことのない強大な魔力を感じた。


零 真名不明

特性 スピードスター

光の速度とほぼ同等の速度で動く事が出来る。


白夜 真名不明

特性 死神の鎌

その鎌で触れた場所は魔力で回復させられない


零「いつものやるぞ、白夜」


白夜「あいよ、アニキぃ!」

ゼノが動くよりも先に零がゼノに到達し右の拳をゼノに打ち込もうとする。

ゼノは後ろにのけぞり回避するが後ろから死神の鎌を振り下ろされ少しだけ足の肉を削がれた。

ゼノ(かなりやるな)


第二十五話 約束と忘却

零「いつものやるよ、白夜」

白夜「あいよ、アニキぃ!」

ゼノが動くよりも先に零がゼノに到達し右の拳をゼノに打ち込もうとする。

ゼノは後ろにのけぞり回避するが後ろから死神の鎌を振り下ろされ少しだけ足の肉を削がれた。

ゼノ(かなりやるな)

煤「俺も混ぜてくれよ!」

ゼノが二人を相手に苦戦していると空からもう一人化け物が降ってきた。

煤 真名不明

特性 蒼炎

温度はあまり高く無いが、悪魔に対して特効を持つ 煤が放つ蒼炎が花畑の花を散らしセナとゼノを囲った。


ゼノ(3対1か)

ゼノ(このままでは負ける、一度逃げるか?)

ゼノ「ハハッ、この俺が逃げるだと!」

セナ(ゼノが死んじゃう少しずつだけど傷が増えてきているし回避も蒼炎のせいで出来てない、どうしよう私に何か出来ることは無いの?)

零「そろそろチェックメイトだな」

ゼノ(増幅しようにも隙が無さすぎるどうすれば良い!?)

白夜「はい、隙ありぃー」

そう言って死神の鎌をゼノの首にかけた瞬間死神の鎌が砕けた。

セナ「ブレイク 対象指定死神の鎌」

セナ「黒魔術はルールそのものならどんなに強い相手にも勝てる筈!」

(魔力切れにならない、そういえば最初から魔力が体に満ち溢れている!?)

セナ「アンタッチャブル 対象指定零」

そうセナが唱えた瞬間セナの身体を通り抜け地面に零の拳がめり込んだ。

ゼノ(連携が崩れた!)

ゼノ「でかしたガキんちょ!」

ゼノが叫んだ途端世界が紅く染まった。

セナは見ていた、世界が紅く染まったのではなく、ゼノの魔力が世界を包んだ事を。

ゼノ「ここからは俺の時間だ」

ゼノが呟くと白夜の首がひしゃげていた。

零が殺気を感じ身をかわすがゼノはスピードスターの速度についてきていた。

ゼノ「俺が増幅したのは魔力だけじゃ無い、増幅の速度もだ!」

つまり速度を増幅する溜めが一瞬なのである。

煤「蒼炎 龍!」

煤の手から出た蒼炎が形を成し二頭の龍になった。

セナ「ブレイク 対象指定蒼炎 龍!」

そう唱えると二頭のうち一頭に黒い稲妻が当たり消え去った。

煤「鬱陶しいガキだ、死ね!」

そう言うと煤はセナの背後に立ち身体を燃やそうとした、がしかし燃えたのはセナではなくゼノであった。

煤が動揺した一瞬を逃さずゼノは煤の右腕を切断した。

零「煤引くぞ!これ以上は白夜が危ない!」

煤「ちっ、覚えておけよ」

捨て台詞を吐き空の亀裂に3人は消えていった。

その時、ゼノが膝を突き倒れた。

セナ「大丈夫ゼノ!?」

ゼノ「魔力が底をついちまったこれ以上は人界に居られねぇ、一つ頼みがあるお嬢ちゃん」

セナ「私の名前はセナよ」

ゼノ「セナ、俺と契約してくれ今この場で、契約内容は今後召喚術を使った場合召喚されるのは俺に縛るってものだ」

セナ「良いわよ...」


第二十六話 別れと再開

セナ「良いけど、また私と友達になってくれる?」

セナは激闘を終え今にも消えそうなゼノの手を握りながら聞いた。

ゼノ「良いぜ、セナ俺の真名は...」

???「体験可能な記憶の容量をオーバーしました」

機械的な声が聞こえた瞬間セナは学院の医務室で目を覚ました

ちびゼノ「良かった意識が戻ったか!」

エリス「良かったですね」

マキナ「良かったな」

セナ「私死んじゃったの?」

エリス「心臓が破壊されただけです」

ちびゼノ「それは死んだのと同じだろ!」

セナ「ゼノ、私の事覚えてる?」

ゼノ「は?何言ってんだ?」

セナ(昔のことを忘れている?)

セナ「昔、私と一緒に戦ったじゃない!」

ゼノ「はぁ?頭も打ったか?」

エリス「それよりも何か感じませんかセナさん?」

セナ(何か?...魔力が体から溢れている!?)

エリス「貴方の心臓はもうこの世にありません、しかし私の黒魔術で一つ仮の心臓を作りました、黒い心臓は使いこなせなければ魔力が溢れ体が爆散してしまいますから気をつけて下さいね」

ちびゼノ「ブラックハートか、厄介なもん作りやがって」

セナ「何ブラックハートって?」 ゼノ「今は心配よりも休め、体はボロボロなんだ」

セナが眠った後ゼノはエリスが居る部屋に向かっていた。

ゼノ「お前は、どこまで知っているんだ?」

エリス「私は何も知りませんよ、正確に言うなら私はセナに作り出されたのですから」


第二十七話 改変

エリス「ゼノあなたは昔死んだんですよ、セナは魔法を使えず貴方は最後の力を使い暴走した、結果魔界に繋がる扉が消え今いる未来も無くなる筈だった」

ゼノ「筈だった?」

エリス「黒魔術はルールそのものですから、使えるものはいつでも使えます」

エリス「つまりセナさんには過去を追体験して貰ったのではなく、自分の意思で分岐点を作って貰ったのです」

ゼノ「何故分岐点ができる前に俺は召喚されたんだ?」

エリス「過去でも未来でも契約は絶対ですからこの奇跡は貴方がきっかけを作りセナさんがモノにしたのです」

ゼノ「奇跡ってのは俺が召喚された事だけじゃ無さそうだな」

エリス「その通りです、本来ならこの先ごく近い何処かで人界は天使に支配されます、しかしこちらには異分子のあなたが居る」

ゼノ「となるとお前は力が欲しいのか?」

エリス「違いますよ、私は貴方達を勝ちに導きたいだけですから」

漆黒の瞳がゼノを見つめる

ゼノ「明日からセナを頼む」

エリス「ええ、凛教官には話しておきます」

ゼノ「俺はシヴァと戦闘訓練でもするかな」

エリス(私はこの先を知らない、後は天に委ねるとしますか)

シヴァ「本気で良いんだな?」

ゼノ「当たり前だろさっさと始めんぞ」

シヴァ「発動 金 木 合術 ゴーレム」

シヴァが唱えると金の鎧を着た二体のゴーレムが出てきた。

ゼノ(あいつ進化してんな)

シヴァ「虹咆哮砲(ミラクルレーザー)」


第二十八話 変化と進化

シヴァの背後が虹色に光るとゼノに致命傷を与えたレーザーが射出される

ゼノ(今の速度なら問題は無いがゴーレムが思ったより硬いな)

シヴァ「前よりも強くなったなぁ!」

ゼノ「当たり前だ!」

ゼノ(俺も何かできる技は無いのか?)

ゼノ(増幅した魔力を拳から肘までに溜めてあいつみたいな鎧をイメージする)

次の瞬間ゼノの手に紅くしかし黒に近い色の禍々しいグローブが嵌められていた。

シヴァ(まさかイメージを具現化したというのか?)

ゼノは先程までゴーレムに対してダメージを与えられなかったが、今は一撃で穴を開けるほどの攻撃力を得ていた。

シヴァ(ゼノはただ身体能力や増幅した魔力で勝ってきた自分の攻撃力に伸び代が無かったが...)

シヴァ「新技をもう一つ使う、しっかり受け切ってみろ!」

ゼノ「やってみろよ」

一方セナはエリスと共に授業を受け、他の魔法や黒魔術の理解を深めていた。

エリス「しっかりとイメージなさい、黒魔術はルールに魔力を通すだけそれをイメージするのはあなたなんだから」

エリス「あなたにあげたブラックハートは簡単に言えば魔力を作り出す魔道具みたいなものよ命を担保にね、だけど使いこなせればリスクなしに無限の魔力を使える」

セナ(やっぱり黒魔術の分野ではかなり差がある、でももうゼノを置いて死にたく無い!)


第二十九話 潜在能力

シヴァが装着している鎧の拳部分が虹色の光を帯び始め魔力の濃度が上がった。

ゼノ(まさか、増幅を魔力の圧縮によって擬似的に再現しているのか⁉︎)

シヴァ(今はこの状態で2秒しか動けないうえに放てる技は一つまでそれ以上は体が持たない!)

ゼノ(受ければ死ぬ!)

シヴァ「極・虹魔力!」

ゼノ「全魔力増幅!」

シヴァ「ミラクル・ガントレット‼︎」

ゼノ「レッド・ガントレット‼︎」

二人の莫大な魔力がぶつかる瞬間何かが間に割り込んだ...

一方セナはエリスの指示を受けローグの元に向かっていた。

エリス「貴方には決定的に足りないものがあります、それをローグは持っている彼の元で少し学んできなさい」

セナ「そんな事言ってたけど本当かなぁ」

廊下を歩きながらセナが呟く、その時ゼノが戦っている訓練場が爆発した。

セナ(ゼノから感じる魔力が弱くなった!?)

ローグ「どこ行く気だ嬢ちゃん」

セナの背後から声が聞こえた

セナ「ゼノに何かあったのかも助けに行かなきゃ!」

ローグ(確かに嫌な魔力を感じるがそれは校庭からも感じるな...)

ローグ「嬢ちゃんは俺と来い、あそこはゼノとシヴァに任せるんだ」

セナ「でも!」

ローグ「あいつは最凶の悪魔だぞ、少しは信じてやれよ!」

セナ「分かった...」

一方ゼノ達は突如現れた動物のような何かと戦っていた。

ゼノ(なんだこいつ!?最大出力の魔力を最高の魔道具に通しても傷一つ付かないだと!)

シヴァ(俺もゼノも最高最大の攻撃を放っていた、その攻撃の間に入って無傷だと)

ゼノ・シヴァ「フルパワーの攻撃を撃ち続けるぞ!」

一方自室に居たエリスも異変を感じ取っていた

エリス「無魔ですか、彼らではなく実験によって生み出されたゴミを使って攻めてくるなど呆れますね、後はセナさんがどこまでやれるかですね」

セナ「ローグどこに行く気なの」

ローグ「校庭だ、モノトリスが居るがおそらく勝てないだろう」

セナ「何が居るの?」

ローグ「無魔ってやつだ、俺も天界に居た時噂程度にしか聞いた事は無かったが本当に居ると思わなかったぜ」

直後セナとローグが校庭着き目に入って来た光景に絶句した。

モノトリスが喰われているのだ、正確に言えばレギングレイブが攻撃の度少しずつ削られていく。

セナ「あれは、追憶の槍で見た化け物」

ローグ「アシストはしなくて良い、しっかり見ておけ俺の戦い方を!」


ローグ 真名不明

特性コントローラー


ローグは生まれつき魔力が少なかったうえ特性が何か分からず幼少期にいじめられて居た。

しかし、いじめられている時自分に絶望し魔力さえ有ればと強く願った時特性が発現した。

ローグの特性は魔力、攻撃の向き、速度をコントロールするだけの特性である。


第三十話 努力

ローグは日常生活では全く気付く事の無い特性であった。

自分に対して敵意や殺意を持った物でなくてはコントロール出来ないのである。

特性が発現してからはいじめられなくなった、何故ならその日のうちに虐めていた全ての天使に勝ったからである。

ローグはそのまま大きくなり後にこの学院に通うことになる男に召喚された。

ローグの強さはそのままでもかなりの物で学院五位まで上り詰めた、しかしゼノに瞬殺された事により考えを変えた。

強くなろうとし始めたのである、来る日も来る日もシヴァやモノトリスに挑み続けた。

しかし既にローグの成長曲線は限界に達していた。

それでもローグは諦めなかった0.1秒の誤差までも許さず完璧を求めて続けた。

しかしゼノは圧倒的な強さでモノトリスやシヴァを倒していった。

諦めようかと思ったその時、召喚者であるクロに言われた事によって全てが変わった。

クロ「お前は防御に意識が行きすぎている相手にコントロールされるな、お前の特性はコントローラー、自分から仕掛けていけ」

ただそれだけの言葉で世界が変わったように感じた、足りなかったパズルのピースがはまったように感じた。

ローグ「嬢ちゃんよ、無魔は器だけの悪魔だ受肉してるとは言え最初から魔力を持たない、後からチャージされ使えるようになるつまり魔力に限りがある」

ローグが無魔に近づくと無魔はローグに噛みつこうと飛びかかった。

無魔の牙がローグに触れようとした瞬間、無魔の口の内側が外側にめくれ後ろに吹っ飛んだ。

ローグ「体を再生するのにも魔力を使う、攻撃するのにも人界にいるのにも魔力を使う、一体いつまで耐えられるかな?」

特性 コントローラー 攻撃の方向変更 対象無魔の牙

無魔は体をメキメキと再生させると、口から緑の光を放ち魔力を溜め始めた。

ローグ「近距離が駄目なら遠距離って訳か、確かに良い案だ...俺が相手じゃなければな」

緑色のレーザーがローグに向かい放たれる、しかし体に触れる事は無かった。

無魔が放ったレーザーはローグの前で丸くなりローグが手を伸ばすと手の中に収まる形で小さくなった。

ローグ「コレ、返すぜ」

ローグはそう言うと手の中にある緑の球を投げた。

その球は無魔に当たると爆音と共に爆散した、中に居た無魔は炭になっていた。

ローグ「これじゃ再生もできないだろ」

ローグがそう言うと炭になった無魔は風に吹かれ消え去った。

一方ゼノ達はまだ戦っていた。

ゼノ(こいつガード力が高すぎる魔力が常に体から溢れ出していて攻撃が通らない!?)

シヴァ(その上攻撃力は俺達のフルパワーより上だ)

シヴァ「極・ミラクルレイザー!」

ゼノ「全ダメージ増幅!」

ゼノ・シヴァ「合技ミラクル・リロード」

増幅されたダメージに更にミラクルレイザーのダメージを上乗せし、放つ最強の攻撃は無魔の体を爆散させた。


続く...

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