第6話―奇妙な出逢いⅢ―
須津結真は竹を割ったような気性の持ち主だ。
「いてえぇー」
「やっぱり痛かったのね。はい拭き終わったから次は
拒否をしたが、なかなか手当てをしないことに彼女は無理矢理にと連れていかれた。
傷口を流水でしっかりと洗い流すのを後ろから見られ、さながら監視されているように感じて居心地は最悪だった。
そのあと浮上した椅子に座るように指示され仕方なく言われたことをする。そのあと殺菌消毒液をつけるとガーゼで拭き取る。
それぐらい自分で拭くとはいったが聞いてもらえなかった。
「待ってて……この散らかった中で探すの至難じゃねか。だったら俺も探してやるよ」
「いや気持ちだけ受け取っておくよ。ほら、そこでおとなしく座っていて」
手伝おうとか腰をあげようとしたが断れた。
絆創膏を探そうと身を屈んでいた須津結真が肩越しに振り返って言った。
よし、ここは初対面である人を任せて俺は、スマホでも
「いや、無茶な運動とかしようとかじゃないから平気だから。二人で探せばすぐだろう」
そうしないと納得しない。それは須津結真だけじゃなく探すのを任せて厚かましくいられるほど精神は持ち合わせてはいない。
「屁理屈を……ううん。
じゃあお願い。でも……普段から掃除していれば、こんなことにはならなかったよね」
「そのとおりだよ」
そう返せば、なんとも困ったような苦笑していた。砂漠から一粒の砂を探すようなものだったが数十分で探していた絆創膏を発見した。
どうでもいいことに未使用。だけど箱だけはボロボロで内部にある絆創膏のそれは汚れが一切ない状況に安堵をする。
時間の経過で菌が増殖しているかもしれないと消毒をさせてもらった。消費するのも
力技ばかりだなと呆れて絆創膏を自分で貼る。
「よし今度こそ掃除をしてやるぞ」
「うん、ありがたいんだけどマジでするの。あれリア充ジョークとか思ったんだけど」
「リア充ジョークって訳の分からないことを。このままするのは落ち着かない。
それだけだ」
「うわぁー、リア充とは思えないクールさ。
でもいいよ。そんなことしなくても」
ご厚意を受けようともしない須津結真。なんといえばいいかと悩んでいると、言葉を尽くしてもダメな気がする。なら強行突破しかない。
「強情だな。なら趣味だ」
「し、しゅみ?」
呆然となった彼女は放った言葉をほとんどそのままに返すのだった。
「そう。だから俺がしたいからやる。
そういうことで掃除をやらせてもらうからな」
そんな厚かましい態度を取ったことに迷惑だったかなと思いながら振り返る。
呆然となっていた彼女は立ち尽くしていた。――そして数分後、ようやく片付けた頃には夜の帳が降りていた。体力があるほうではないのでドッと疲れを感じながらも料理も作っていた。
「どうしてカレーに変則的なものを入れるの」
「いい質問をする好奇心旺盛。よく聞けよ、カレーは味噌汁だ」
「もしかして食いしん坊キャラだったの!?」
冗談かなにかと思いながら横目を向けると、からかいの類いではないのな目を見開きで悟った。
「食いしん坊キャラというのは違うからな。
別にカレーにはオーソドックスだけとか決まったものだけじゃない。具材はなにを入れても上手く溶け込めるんだよ、これが意外とな」
切った野菜を放り込み混ぜていると横から覗き込んでくる須津結真。うへぇーとか嫌悪感を隠そうともせず漏らしている。
これを食材の坩堝とか感じているのだろうか。
「だから大根とかカボチャにキノコ、ほうれん草。それにセロリやトマトなんかも入れているんだね。……おいしいの」
そう尋ねられて俺は首を縦に振る。
「ああ、おいしい。どれも入れるのが美味しいな。なにかの本で読んだんだけどランキングで入っているぐらいだから心配するな。
個人的にはサツマイモやナメコはオススメだ」
実際にどれも合うので色々と試してみるのも新しい発見もあり楽しめる。肉がないヘルシーな食材だけを選んだキノコカレーとかも。
しかし日を通るまで待つのも退屈なので、その間にサラダも作っておく。
そして数十分ほど経過してから火を止めてカレーのルーを投入する。火をつけたままだと固まってダマができてしまいからだ。
ときどき軽く混ぜてから弱火で五分ほど加熱。
「うわぁー、おいしいそう」
心の底から須津結真がそう呟く。
「それじゃあ。きな粉を入れるか」
「ふーん隠し味だね」
スーパーで購入した、きな粉を取り出す。
掃除が終わってからスーパーで買い出しをした。どれも食材がなかったのは軽い衝撃だった。
思い出していると須津結真は手を顎に当てる。なら疑問符を応えておくか。
「いや健康のためだ。カレーにはクルクミンと言う成分があってだな」
「えっ。う、うん」
「認知症予防になるらしいんだ。
それをさらに倍増させる組み合わせが、きな粉」
「私たちって、まだそれを気にするの早すぎないかな?まあいいけど」
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