咎人の世界

バブみ道日丿宮組

お題:ドイツ式の罪人 制限時間:15分

咎人の世界

 罪というのは、すべての人が持ってる。

 なんでも生まれた時点で咎人らしい。

 手の甲に刻印がされ、それぞれが違った罪を背負って生きてる。

 これは増えることもあって、右手に刻印されてるなら、左手。逆なら逆に。そして、首の後、頬という感じに増えてく。

 私の母は8つあった。

 男を誘惑した。子どもをきっちり育てられない。罪から逃れようとした。

 そういうので7つ追加された。

 父はそんな母を見捨てて、どこかへいった。

 そのおかげで今度追加で刻印がされることになった。

 全部が全部、嘘だ。

 真実にあることは1つもない。

 私は健康に育ってる。罪をきちんと償ってる。

 けれど、逆らうことはできない。私たちは国に反逆できない。逆らえば、刻印から血が流れ、激痛が走る。とてもじゃないが、動けるようなものじゃない。

 私は幼稚園の頃に発動したーー親に従う。

 わがままを働いたために、反逆とみなされ効果が出た。

 ごめんなさいを言い続けることしか、あのときはできなかった。

 子どもであるために、刻印の追加はなかったがこれ以上増えたら、きっと私はわたしでなくなる気がする。

 罪とは従うべきルールで、多くなればなるほどに自由はなくなってしまうのだから。

 

 学校が終わり、母の仕事場にお邪魔すると、そこでは銃が乱射されて、人が瀕死にされてた。

 私たちは、肉体のダメージでは死ぬことはない。病でのみの死を刻まれてる。それもまた刻印の効力。瀕死になっても、決して死ねない。

 だからこそ、母や他の人は痛がる咎人に向かって、銃を撃ちまくる。

 殺すという概念がない。でも、いい気分じゃないのは確かだろう。

 母たちの表情には感情がない。心を閉じてる。

 咎人を咎人が罰する。それが母の仕事だった。

 痛みを受ける刻印を受けるものは割といる。学校でいじめられるのもそれだ。最もいじめる人も刻印で決まってるので、大きな問題にはならない。

 別に仲が悪いというわけではないのだから。

 仕事が終わるまで、私は仕事場の椅子に座ってその仕事を見続けた。

 私もこの仕事を押し付けられるのか、また違うことになるのか。

 それは学校を卒業するまでわからない。

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