#3「レゾンデートルの花」

ニコニコ:https://www.nicovideo.jp/watch/sm30450081


YouTube:https://youtu.be/wGazUD6dd3Y


作詞:40mP

作曲:40mP

編曲:40mP

歌唱:GUMI English


 第3回で紹介したいのはこちら、『レゾンデートルの花』である。『からくりピエロ』『トリノコシティ』『シリョクケンサ』などでお馴染みの40mPの楽曲である。40mPは、軽快なバンドサウンドや爽やかなピアノのメロディーが人気のボカロPであり、その一方「イナメトオル」名義でシンガーソングライターとしても活動を行っている。

 そんな彼が2017年に投稿した『レゾンデートルの花』だが、これまでの40mPに見られた作風とは少し異なる。爽やかなピアノサウンドというよりは、ロック寄りの力強いギターサウンドがアップテンポな楽曲によく響く。何よりも特徴的なのは、そのボーカルである。

 今回この楽曲のボーカルを担当しているのはGUMI Englishである。GUMI Englishは、その名前の通り英語の歌唱用に特化したGUMI、正式名称Megpoid(めぐっぽいど)のことである。Crusher-Pの『ECHO』などの楽曲で使われており、知っている方も多くいるのではないだろうか。

 英語歌唱用に生み出されたGUMI Englishであるが、この『レゾンデートルの花』は日本語の歌詞を主とする楽曲である。つまり、GUMI Englishに日本語を歌わせた楽曲ということになる。だが、ボーカルの違和感はまるでない。むしろ、GUMIの持つ人間らしさを引き出している。途中に存在する英語歌詞も、GUMI Englishの持ち味を最大限に活かすことで、より自然な歌を作り上げているように感じる。曲調とボーカルが調和することで、楽曲にクールな印象を与えているのだろう。

 歌詞やタイトルにも注目していきたい。タイトルにある「レゾンデートル」とは、フランス語で「存在理由・存在意義」といった意味を持つ言葉である。また、投稿コメントには「そこに咲く意味を求め。」と書かれている。クールなサウンドには、自分の存在を問う苦悩が映し出されている。


「歩き疲れて下を向いて 見つけた小さな花だって

 生き抜くために闘って そこに咲く意味を求め」


 これはサビのフレーズの一部分である。道端に咲く花も生き抜くために闘っている。自らの「レゾンデートル」を求めて。生きるものすべてが、自分の存在理由を求めてもがき続けている、そんな現実をこの楽曲は突き付けてくる。


「無限ループする日常を抜け出す出口もなくなって

 終わらない夢と現実の狭間 彷徨い続ける

 

 ここにいる意味を求め」


 夢は追えば追うほど苦しくなるものである。製作者である40mPは普通のサラリーマンとしての生活を持ちつつも、音楽活動を続けてきたという経験を持っている。そんな40mPだからこそ、夢と現実の狭間の苦しさを歌詞に込めることができているのではないだろうか。その夢と現実の狭間に存在する日常の中で、自分自身を探しながら闘い続ける人たちにこの『レゾンデートルの花』が咲いてほしい。そんなことを、この曲を聴きながら感じていた。

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