第2話 対話
多くのSPに囲まれながら俺は黒塗りの高級車に乗せられていた。もちろん、その車体の端には日章旗がはためいている。少し外に耳を傾けると、停戦しているか両陣営の罵声や威嚇が聞こえてこのまま帰ってこなかったらと思うと
No.1「それは、それでいいかもな」
運転手(こいつ、一体何を考えているんだ、)
SP「そろそろ着くぞ」
フロンドガラスにはいつもテレビで毎度お馴染みの場所が映し出されていた。そこには、綺麗な青空下にある立派で壮大な建物があり栄華を象徴しているようだったが、この国が終わる日には些か明るすぎる。そんなことを思いつつも黒のベンツはバリケードが開かれると地下へと招かれていった。
大きな駐車場のど真ん中に停められると、助手席に座っていた人が
SP「着いたぞ」
ドアが開けられると目の前には50代小太りで頑張って育毛してるおっさんが現れていた。
官房長官「お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
(まさか、官房長官がお出迎えとは)
そのまま俺はそいつについた行った。長い通路を通り、そのまま上に上がる階段なのか、重そうな扉が開けられるとさらに下に続く階段が暗闇を指している。
(流石は官邸だな。核兵器にも耐えられるようになっている。)
また長い通路を通ると、いきなり広い空間が現れ、真ん中には小さいテーブルと椅子が二つ置かれている。片方にはテレビで見るよりも疲れ切って窶れたシワだらけのおじいちゃんみたいな人手を差し伸べた。
総理「お待ちしておりました。わたくしは日本国内閣総理大臣の東川です」
No.1「私は北上晃と申します。まさか自分みたいな人が総理と会えてとても光栄に思います。」
総理「それでは、お話ししましょう。今後についてどうぞ御座りくだいい」
官房長官「早速、本題ですが貴方達の今回の騒動に対する要求とは一体なんでしょうか。」
北上「いきなりですね、、、、」
官房長官「こちらとしても早めに”対策”したいので、、」
北上「ならば、私と総理の二人にしてもらえませんか」
すると、官房長官は総理と目を合わせると
官房長官「ならば、失礼します」
そのまま、SP達を連れて部屋から出て行った。
静寂な空気が部屋を漂う中、
総理「これで大丈夫ですか?」
北上「はい、問題ありません」
総理「では、さっそくあなた達の”目的”を聞いてもよろしいですか」
北上「私たちの目的はシンプルですよ、総理。
貴方にはある法案を出してほしいのです」
総理「法案ですか?ちなみにそれは?」
北上「はい、単刀直入に申しますが総理にこの日本を解体して欲しいのです」
総理「はい?、今なんと、、、」
北上「でしうから、この日本を”解体”して欲しいのです」
(は?、、、、何を言っているんだ。私の退陣や私を利用して好き放題するのではなく、、、"解体"だと、今の勢いさえ有れば自分が総理になることも容易く、それだけではない、第二のヒトラーとして君臨できるのも可能なのに、なぜ"解体"なんだ。日本を恨んでいるから、、かもしくは何処かしらの工作員なのか。どちらにせよ最悪なことに変わりないな。)
総理「そんなことできませんよ。まず、日本国憲法が、、、、、」
北上「大丈夫です。私が何十年もかけて、できる”舞台”を整えましたから」
総理「しかし、日本解体というのは、、、」
北上「まぁ、正確に言えばこの政府の主権を東京にのみ留めて欲しいのです」
(決定だな。こいつは工作員だ。それ以外の地域はその国に引き渡せとか要求してくるんだろ。、、、、、、くそ、まさかとは思っていたが一体どれだけ大胆な行動をするのだこいつは、、、、)
北上「難しい顔をなされたていますが私は、これが国のためだと思っております」
総理「なんだと?、
”戯言をゆうのも大概にしておけよ!”
もう、終わりなんだから最後ぐらいどこの国から来たのか教えろ」
北上「もう一度言いますけど私はこの国のことを誰よりも深く考えている国民の一人でございますよ」
総理「ならば、何故権力を求めないんだ。お前たちの勢いならこのまま国を乗っ取れるんだぞ。お前が独裁者で私利私欲を満たしたり、変な理想を叶えることすらもできる。それなのに、、、なぜそんな"解体"という両方にとってメリットのない事が言えるんだ。中国かそれとも北朝鮮またはロシアか」
北上「はー、、総理。私はそんな単純な考えを持ってここには来ておりませんよ。しかもこれは両方にとってメリットのある話でもあるんですよ」
総理「どういうことだ」
北上「総理は日本の現状についてご存じでしょうか」
総理「日本の現状だと、、、当たり前だ。俺はこの1億2580人を導く国のトップであるんだ」
北上「ならば、その国のトップは現状の解決方法をご存じですよね」
総理「それは、、、緊縮財政による経常利益の黒字化を、、、」
北上「総理、それはただ問題を先延ばしにしてるだけですよね。議席確保のためにも社会改革が必須だからといって解決方法を持たないままとりあえずあやふやなことをいって、あとのことは総理になってから考えようという根端です。間違いございませんね」
総理「それは、、、、、」
北上「大丈夫ですよ。その為にも私が案件を持ってきておりますから」
総理「何が案件だ。それと日本解体とどう関係しておるのだ」
北上「ならば、総理に質問ですがこの財政危機の発端はなんでしょうか」
総理「少子高齢化による働き手不足、南海トラフによる地方産業の停止。それと、、、まさか」
北上「はい、その高齢者の大半は地方にいて災害の被害もほとんどが地方。さらに復興による補助金、もちろん年金もあり挙げ句の果てにはその地方に対する交付金も増額しております。それを払っているのはどこでしょうか」
総理「、、、、東京などの日本の大都市だ」
北上「もう、お分かりですよね。さっき申した緊縮財政でこれ以上地方を保持するにはもう限界が来ているのです」
総理「だからといって、日本の主要都市や貿易港、工業地帯、さらには国防上の上で失うデメリットの方が明らかに大きい」
北上「ですが、その主要工業地帯は海に飲まれてしまい、それ以外の主要都市も人口が減少し始め出るところが現れ始めているのです。もはや、彼らは我々東京に住んでいる人々の足を引っ張っているおるのですよ。必死に働いたのに税金として取られその一部として補助金をやっているのが現状です。政府は"変革"しなければなりません。
もしかしたら公約通りで支持率も上がるかもしれませんね。"東京は"ですが」
総理「だが、、、、、そうだ食糧はどうするんだ」
北上「食料なんて他国から輸入した方が安いではありませんか」
総理「だが、国防上、、、、、」
北上「それなら、こうしましょう。
都道府県は政府から離れる代わりに従属する、すなわち自治権を公布するので す。それなら、よろしいですよね」
総理「だが、しかし、、、、」
北上「総理、あなたは"自ら勢いがあるとか私の退陣"なんか申していましたよね。もし出来ないなら私自らがしてもよろしいのですよ」
総理「、、、、、、、」
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