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「ただいま」
玄関からそんなお父さんの声が聞こえた。
「お帰りなさい」
そう言ってみらいがすぐに玄関に向かって歩き始める。
そんなみらいお姉ちゃんのあとについて、さなぎも一緒に玄関まで移動する。
「ふー、疲れた」
玄関で靴を脱いでいるお父さんは鞄を持ってくれているみらいお姉ちゃんに笑顔でいう。
「お疲れ様。晩ごはん、できてるよ」
にっこりと笑ってみらいお姉ちゃんは言う。
「いつも迷惑をかけるね」
お父さんは言う。
「なに言ってるの。別に私は大丈夫ですよ」とみらいはいう。
お父さんはみらいお姉ちゃんが作ってくれた晩御飯を温め直して、すぐに食べた。それから洗いものをして、お風呂に入って、パジャマに着替えをしたお父さんは「じゃあ、おやすみ」と言って、寝室に行くとすぐにベットの中で眠ってしまった。
「私たちも、もう寝ようか、さなぎ」
ふぁー、とあくびをしながらお風呂上がりのみらいお姉ちゃんがいう。
「うん。わかった」
とお風呂上がりのさなぎは言った。
それからさなぎはみらいお姉ちゃんと一緒に、先にお父さんが眠っている寝室に行って、そこにあるベットの中にみらいお姉ちゃんと二人で一緒に入って、いつものように眠りについた。
「おやすみ、さなぎ」とみらいお姉ちゃんが言った。
でもさなぎはみらいお姉ちゃんにおやすみなさい、と返事をしなかった。なぜならさなぎはもう、ぐっすりとした安心できる眠りの中に、薄い暗闇の中で、落ちて行っていたからだった。
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