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「まあ、私から教えても良かったんだけど、せっかく今日は家にお母さんがいるし、お母さんから教えてもらったほうがいいかなって、そう思ってさ」
いつもののはらに戻ったのはらが笑顔で言う。
「うん。別にいいよ」
のぞみさんが言う。
「よろしくお願いします」ちょこんと頭を下げてさなぎが言う。
「そんなにかしこまらないでよ、さなぎちゃん。そんなに大したお話じゃないんだからさ」
笑顔のままでのぞみさんが言う。
「えっと、じゃあ、お話するね。私たちが幸せになる方法についてのお話」
そう言いながら、のぞみさんは真っ白なソファのさなぎとのはらのいる真ん中のところに強引に「ちょっとどいてね」と言いながら座ってきた。
それからのぞみさんはさなぎを見ながら「まずはその一、あんまり怒らないこと」とにっこりと笑いながら言った。
「あんまり怒らないこと」
さなぎは言う。
『ふんふん。怒らないこと。なるほど』
さなぎのポケットの中で妖精さんが小さな声でいう。
「そう。怒らないこと。普段、生活をしていて、日常の生活の中で、ああ、私はなんて不幸なんだろう? とか、どうしてこの人はこんなことを私にしたり、言ったりするのだろう? とか、どうして私はこんな(求めているものとは違う)生活をしているのだろう? とか、まあ、いろいろとあると思うんだけど、とりあえずは怒らないこと。これが幸せになるためにまずは基本になる生きかた。あるいは方法だね」とのぞみさんは言う。
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