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のはらの大きな目はいつも『真実』を見ていた。
のはらは嘘を見抜く目を持っていたし、のはらの見ている前で嘘をつくことはきっと、誰にもできないことだとさなぎは思っていた。(実際にみらいお姉ちゃんは何度ものはらに嘘を見抜かれて驚いていた)
そののはらの目にも妖精さんは見えなかった。
妖精さんは確かにここにいる。
そのことをさなぎは疑ったことはない。
今ではのはらも、さなぎの言っている目に見えない妖精さんのことを信じてくれるようになった。(のはらはさなぎが嘘を言っていないと確信しているようだった)
「ここにいるんだよね?」
そう言って、のはらはゆっくりとその人差し指をさなぎの頭の上にある空間に向けて移動させていく。
「そうです。その辺り」
さなぎはいう。
それからそののはらの指が妖精さんとぶつかりそうになった瞬間、ぴょん、と妖精さんが跳ねて、のはらの伸ばした指を避けた。
『危ない。ぶつかってしまうところでした』
と冗談っぽい口調で妖精さんは言った。
「どう? 私の指、妖精さんに当たってる?」のはらは言う。
「当たっていません。妖精さんは逃げてしまいました」さなぎはいう。
「あ、逃げちゃったんだ。ごめんなさい。指でつつかれるの、嫌だったんですね」とのはらは目に見えない妖精さんにそう言ってあやまった。
『いえいえ。いいんですよ。でも、つつかれるのは嫌なので、今後はそう言ったことはやめてくださいね』と妖精さんはさなぎの頭の上に着地しながらそう言った。(その妖精さんの言葉をさなぎはのはらにちゃんと伝えた。なのでそれからのはらは妖精さんに触れようとすることはしなくなった)
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