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『もちろん、私も一緒に入りますよ』
そんなことをお風呂の脱衣場で妖精さんは言った。
服を脱いださなぎはみらいお姉ちゃんと妖精さんと一緒にお風呂場の中に移動をした。
まず、みらいお姉ちゃんと一緒にお風呂に入る前に髪の毛と体を洗うことにした。さなぎはもちろん、(シャンプーハットは使うけど)自分で自分の髪の毛を洗うつもりだったのだけど、「私が洗ってあげるよ」とみらいお姉ちゃんは言って、その言葉の通りにさなぎの肩まである黒髪をごしごしと両手で洗ってくれた。
「ありがとう。お姉ちゃん」
カエルの顔の形をしたお風呂用の椅子に(大人しく)座っているさなぎはいう。みらいはその背中まである自慢の長い黒髪を今は頭の上にタオルを巻いてまとめている。妖精さんはそんな二人の様子をいち早く、一人だけお風呂のお湯の上にぷかぷかと浮かびながら、『ふー。いいお湯ですね。生き返ります』と言いながら、微笑ましく眺めていた。
「さなぎ。あののはらって子のこと、好き?」
さなぎの頭の泡をお湯で流しながら、みらいは言う。
「うん。大好き」
目をつぶっている、さなぎはいう。
「そっか。友達だもんね」
みらいは言う。
「うん、友達。この町にきて、初めてできた友達なんだ」と嬉しそうな声でさなぎはいう。
すると、いきなり背中からぎゅっとみらいはさなぎのことを抱きしめる。
その行動が、あまりに突然(そして普段はあんまりしないみらいの行動)だったので、「きゃ!」とさなぎは小さな悲鳴を上げた。
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